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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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24/101

24.御前試合


「おい! 聞いたか!? 20年ぶりに復活する騎士団の御前試合!!」

「ったりめぇだろ!! 実質師団長3人の最強決定戦!! 観に行くに決まってんじゃねぇか!!」

「ばか。観戦も希望者が殺到する事が予想されるってんで、抽選らしいぜ」

「マジかよ!? その抽選どうやったら参加できんだ!?」

「何でも3日後の午後から━━━……」



はて? 御前試合とな??



王都にある私とトモコの服屋。その近くの通りを歩いていると聞こえてきた話し声に足を止める。


コリーちゃんの家に行った帰りの事である。


聞き耳をたてると、街は“騎士団の御前試合”の話でもちきりで、どこもかしこも人々はその話題で盛り上がっているではないか。そんな話はロードから一切聞かされていないが、一体どういう事なのだろう?


こうしちゃいられないと、一旦止めた足を動かして店へと戻る。





「トモコ! 騎士団の御前試合って何!?」


店に飛び込むと同時に叫んだ私に、トモコは驚いたように顔を上げた。

幸いお客さんはいなかったが、今はそれどころではない。


「街中が御前試合の話題一色でね、でもロードからはそんな話聞いてないし、一体どういう事なのか教えてほしいんだけど!?」


そんな面白そうな事を黙っていたとなると、ロードの罪は大きい。


「帰ってきて早々叫ぶから心臓が止まるかと思ったよ~」


びっくりしたぁ。と胸を押さえながら眉をハの字にするトモコに、驚かせてごめん。と謝りながらも話を聞く。


「トモコは知ってたんでしょ? 御前試合の事」

「そりゃああれだけ騒がれていればね……って、みーちゃん知らなかったの?」


嘘でしょ!? という顔をして見てくるのでいたたまれない。基本引きこもりなんだから仕方ないじゃないか。


「まぁロードさんも過保護だから、みーちゃんの耳に入れないよう努力したんだろうね」

「何で教えてくれないの!?」

「そりゃあみーちゃんに教えると、絶対見に行きたいって言うでしょ」

「言うよ!! だって騎士団の御前試合でしょ。そんな面白そうな事見逃せないよ!」


だからだよ。とトモコは苦笑している。

首を傾げながらも、トモコは見に行くんでしょと聞けば、


「勿論だよ!!」


と大きく頷いたので、お前な……。と物言いたげに見つめる。


「みーちゃんも誘う予定だったよ!? でもロードさんが邪魔するんだもん」

「だから何でロードが邪魔するの!?」

「みーちゃんが問題起こすからでしょ~」


さも当然のように言ってくるが、トモコにだけは言われたくない。


「トモコだって問題しか起こさないでしょうが!!」

「ええ!? 私は巻き込まれる側で、問題を起こす側はみーちゃんでしょ~!?」


その認識にこっちが「ええ!?」だ。

しばらくどっちが問題を起こすかで言い合っていたが、お互い不毛な言い争いだと気付いた為にすぐ終息した。


「ところで、“御前試合”ってどんな事するの?」

「みーちゃんそこなの!? “御前試合”っていえば、勿論国王陛下の前で騎士が試合するんだよ~」


と胸を張っていうので、首を横に振る。


「それは分かってるよ。そうじゃなくて、試合の形式。総当たり戦なのか、トーナメント方式なのか、チーム戦なのかとかあるでしょ? それに、20年ぶりに復活って話だし、何か歴史あるものなのかなぁって」

「ああ。そっちね! 確か噂によると、4年に一度行われていた伝統行事で、そこで実力を示した騎士は出世するとかなんとか? 確かロードさんも御前試合で認められたからエリートコースに乗ったらしいよ~」


4年に一度ってオリンピックか!

しかしロードがエリート……なんて似合わない響き。


つまりこの御前試合は、実質騎士団の昇進テストということか。


「なら、最初にふるいをかけて、ある程度実力のある騎士だけが御前試合に出れるって事かな?」

「そうだろうね~。予選に何時間もかけていられないだろうし。とはいえこの御前試合、3日間かけて行う大イベントらしいよ」




◇◇◇




我が家に双子が生まれてもうすぐ1年。

大司教や聖女、世界会議にランプホーンの神罰の再来等々、イベント盛りだくさんのルマンド王国に、またもや騎士団の御前試合というイベントが開催される。なんというお祭り好き国なのだろうか。


「神罰も聖女も大司教もイベントじゃねぇだろ。つーか何で来やがった」

「心外だよロード君!! 来ちゃダメなの!? 自分の夫が主役のイベントに妻が応援に来たらダメなの!?」

「そりゃ嬉しいが、オメェは何やらかすかわからねぇから心配の方が勝つんだよ。しかもガキ共まで連れて来やがって」


イベント当日、お弁当を持って意気揚々とやって来たイタリアのコロッセオのような場所(※普段は演劇やダンス、他様々なイベントを行う場所です)。

そこにはすでに観客が押し寄せ、何万人いるのだろうと数えるのも拒否したくなるような大量の人々が今か今かと試合を心待ちしており、かなりの熱気を帯びていた。


コロッセオの中に入れるのは抽選で当たった者だけで、私も先日抽選に並んで正当に権利を得た一人なのだ。


ちなみにコロッセオの周りには屋台が出ていて、そこもお祭り騒ぎである。

本当は屋台で美味しい物を買いたいが、抽選とはいえ席は早い者順に決まるので、良い席をゲットしたい私はこの行列を抜け出せないでいた。

そんな折りに様子を見に来たロードに見つかったというわけだ。


「大体何で行列に並んでんだ?」

「そりゃ試合を見る為に決まってんでしょ!!」


お腹側にディーク、背中にロビンを背負いながら、ポケットからチケットを取り出しドヤ顔をすれば、長い溜め息を吐かれたではないか。


「何? 私何か変な事した??」

「あのなぁ、オメェは関係者なんだからチケットが無くても……「あっ 第3師団長様だ!!!!」ぅげッ ミヤビ! こっちだ!!」


話している途中でロードに気付いた人々が騒ぎ出した為、ロードに腕を引っ張られて列から出てしまったのだ。


「あーーー!!!! 折角並んでたのにぃ!!」


遠ざかっていく行列に後ろ髪引かれていると、「バカッ オメェは並ばなくても席はあるから、とにかくこっちに来い!!」と連れていかれたのである。


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