表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/61

59 ミーンミアSIDE(その7)



ඔබට ස්තුතියි ミーンミア視点つづき ඔබට ස්තුතියි




 そこに立っていたのはロフェイだった。


 ロフェイだと名乗った彼女ではなく、わたしと同じギルドのロフェイだ。先日の平手打ちのこと、理不尽に思ったに違いない。きっと怒っていることだろう。


「遅くなって悪かった、ミーンミア」

「お……怒ってないのですか?」


 首を横に振るロフェイ。


「怒る権利なんてオレにあるかよ。逆だろ、ミーンミア。領都への到着が遅れたこと、きちんと謝りたい。もし怒りが収まらないのなら、いくらでもまた平手打ちをかましてくれ。グーでもいいぜ」


 ぽろぽろと涙が出てきた。


「怒ってなんかいません。来てくれて嬉しいのです」


 ここで白狐の獣人の言葉を思いだした。

 ロフェイが好きなのは、積極的な女の人。


 グイグイいかなければならない。

 受付嬢のルーシャ以上に。


 恥ずかしがっていたら、ロフェイは離れていってしまう。

 勇気を持たなくてはならない。覚悟しなければならない。


 どうしよう? 何をすればいい?

 あわわわわわ……早くしなければ。


 そうだ! あれだ。


 昔リムネといっしょに読んだ絵本に、大好きなお伽噺(おとぎばなし)があった。ロマンチックな話に胸がときめいたものだ。あのとおりにやってみよう。互いの国同士が敵対する王子と王女の恋のクライマックス――。王女が王子の胸に飛び込むの。


 わたしもジャンプ。



 ゴチ



 ああ、しまった。わたしは何をやってるの? 至近距離から思いっきりジャンプしたら駄目じゃない。ロフェイの鼻から血が……。


「鼻に頭突きなんて、平手打ちより強烈だな」


 あわわわわわ……早く誤解を解かなければ。

 ますます焦ってしまった。


「すみません、違います。ええと……」


 告白するしかない。


 あのお伽噺ではどうやって告白した? 王子が王女に……。いまは逆パターン。わたしからロフェイに。ああ、死にそうなほど心臓がドキドキする。


 怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。でも頑張らないと。


「ロ………………ロフェイが好きです……」


 このあとのセリフが大切。どう続けようか。お伽噺ではどうだった? 思いだした。王子が王女の大好きなものに喩えて言ったんだ。赤く輝くルビーのように美しいと。


 じゃあ、ロフェイの好きな宝石って何!?


 そんなの知らない。聞いたことがなかった。どうするの? 焦っちゃ駄目。焦っちゃ駄目。焦っちゃ駄目。冷静に! ロフェイが宝石好きだとは思えない。そう、わたしの好きなものでいい。わたしは何が好き? ロフェイ? ううん、それじゃ喩えにならない。何かない? わたしの好きなものを、日常生活で考えてみればいいのよ。早くっ。


「……お洗濯と同じくらいに」


 ぽかんとするロフェイ。


「お洗濯?」


 しまった!! 

 そんなの駄目じゃないのよ。


 けれども合点がいったらしい。優しそうに笑う。


「ああ、なんだ。ビックリした。皮肉だったか。面倒(・・)なヤツだって、ルルロコ嬢からも繰り返し言われてたっけ」


 違うの、違うの、違うの、違うの、違うの。

 わたしパニクりすぎよ!



 もう一度、ちゃんと言おう!



 ところが……。


 邪魔が入った。


 やってきたのは主催者の係員だ。


「なんですか、あなたは」


「オレが代わって戦う」


 係員は首を振った。


「代人を立てる場合、朝までに連絡いただかないと困ります。この台帳に名前の記載がある者のみ、出場できるのです」


「ならば問題ないと思うが?」


 ロフェイの言葉に首をかしげる係員。


「問題ないとはどういう……」


「台帳に名前が書いてありさえすればいいんだろ。ウルスロ町代表者として、誰の名前が書かれている?」


「出場者ミーンミア、代人ロフェイですが」


 ロフェイがギルドカードを見せる。


「オレもロフェイだ。その台帳に記載があるだろ」


 わたしは代人を『ロフェイ』の名前で毎回登録していた。正直なところ、彼女の本名なのかどうかは怪しかった。でもそれがこんなところで役に立つなんて。


 係員はいったん戻っていった。

 主催者側の協議後、ロフェイの出場は認められた。


 ロフェイとアウズの対決が始まる。


「散々待たせやがって! ぶっ殺してやる」


 アウズはかなりイライラしているようだ。


「気をつけてください、ロフェイ。敗者にトドメを刺すような残虐な人です。それにかなり強いようです」


「わかった」


 ロフェイは落ち着いていた。まるで勝利を確信しているようだった。


「開始!!」


 主審の声で対戦が始まった。

 最初に仕掛けたのはアウズ。

 手の先に魔法陣。


 あの魔法陣はサンダー系最大魔法のメガサンダー!?

 メガサンダーはロフェイを直撃した。


「ロフェイーーーーーーーーーーー」


 ロフェイは立ちあがった。

 心配するわたしに笑みを投げた。


「問題ない。少しびっくりしただけだ」


 穏やかでないのはアウズの表情だった。


「タフなヤツめ。ならばこれでどうだ?」


 あの魔法陣は石爆弾系最強の……。

 ロフェイに知らせないと。


「ミティオライトボムが来ます! 必ず避けてください!!」


 ロフェイの一瞥。首肯の意味だろうか? いいえ、わたしの忠告が聞き入れられることはなかった。避けることを選択せず、ロフェイも魔法陣を出したのだ。


 あの魔法陣は……石爆弾系最弱のストーンボム。駄目よ。ミティオライトボムに歯が立ちっこない。


 二つの魔法が衝突。大爆発が起きた。


 しかし不思議なことにストーンボムの勢いは止まらない。爆発被害はすべてアウズが受けたのだ。ストーンボムがミティオライトボムに勝った? 嘘でしょ?


 アウズはポーションを使用し、ふたたび立ちあがった。

 憤怒の形相でロフェイを睨んでいる。またもや魔法陣。


 あれは……。


 今度ばかりはロフェイの勝利を確信した。アウズが出した魔法陣の模様は、メガファイヤのもの。そしてロフェイの魔法陣の模様は、二つも格下のミニファイヤのもの。


 両者の魔法が激突。


 ロフェイのミニファイヤはメガファイヤ以上。負けるわけがなかった。


 倒れたまま動かなくなったアウズを主審が確認。

 ロフェイの勝利が告げられた。


 圧勝だったと言っていい。ロフェイは得意なファイヤを出さずに勝負を決めてしまったのだ。わたしは大歓喜。なんて人なの、ロフェイ!


 会場の中央からロフェイが歩いてくる。

 もちろん彼に「おめでとうございます」を言った。

 彼は笑みで返してくれた。


 そして……。


 さっきは失敗したけど今度こそは。

 白狐の獣人から話を聞いている。だから早く!

 ロフェイが受付嬢ルーシャに奪われる前に。


 いま頑張らなくちゃ。


 積極的に。積極的に。積極的に。

 グイグイと。グイグイと。グイグイと。


 ああ、緊張する……。

 心臓が破裂しそうなほどバクバク言っている。


 眼前に立つロフェイの顔を見あげた。

 駄目。無理。まともに目を合わせられない。

 すぐに俯いた。もうわたし涙目だ。


 あわわわわわ……どうしよう、どうしよう。


 焦りで頭の中がパニック。

 でもちゃんと言葉にしなきゃ。


 思い返すのよ、お伽噺を。

 王女のセリフなんだっけ。

 そうだった。


「ひ、酷い人です。わたしに魔法をかけてしまうなんて。でも許します。わたしをさらっていってください」


 わたしのお気に入りのセリフだった。

 声はちょっと震えたけど。

 お願い。この気持ち、伝わって!


「ミーンミア…………」

「ロフェイ…………」


 良かった。伝わったのね。

 わたし、緊張で死ぬ思いだったんだから。


 どうしよう。

 ロフェイの顔が近づいてくる。

 ああ、キスされる。


 わたしは静かに目を閉じた。


「なあ、もしかして酔っ払ってるのか?」


 えっ?




ඔබට ස්තුතියි ミーンミア視点ここまで ඔබට ස්තුතියි



ここまでお読みくださり、ありがとうございます!!

もし続きが気になるという方がいらっしゃいましたら、

【評価】と【ブックマーク】で応援をお願いいたします。

下の ☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に変えてくださると、

最高にうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ