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39 ミーンミアSIDE(その4)



ඔබට ස්තුතියි  ミーンミア視点 ඔබට ස්තුතියි




 マハ・コーリシャス郊外(・・)の船着き場に到着。


 ようやく窮屈なボートから解放される。しかしロフェイとヘスナートのことが心配だ。それでも先に進まなければならない。ウルスロ町のギルドの面目が失われることのないよう、二人から託されたのだ。


 ロフェイもヘスナートも必ずあとから来てくれる。信じよう。それまでわたしが頑張らなければ。


 一人ずつ下船していった。そして最後はわたしの番。


「お嬢ちゃん、一人かい? だったら気をつけな」


 スピードボートの陽気な操舵手が言った。わたしは笑顔を返す。


「操舵手さん、ありがとうございました」



 ここからマハ・コーリシャスの都内まで、乗合馬車があるはずだった。しかしウルスロの町と同様、ホッタールのため運行停止。徒歩で本日中に到着できるかどうか。かなり厳しいかもしれない。困ってしまった。


 そんなとき親切な人たちが現れた。


「マハ・コーリシャスまでだったら乗せてあげるよ?」


 四人組だった。馬車を個人で持っているらしい。


「本当ですか。ホッタール中でも走れるのですか?」


「そりゃ、大通りを堂々と走ることはできないだろう。だけど心配いらないよ。僕たちはちゃんと裏道を知ってるんだ」


 なんという幸運! きょう中にマハ・コーリシャスのギルドに行かなければならなかったけど、これで間に合いそうだ。



 馬車は大通りを外れていく。


 次第に家々が疎らになっていった。


 やがて人けのない林道に入った。


 ちょっぴり怖かった。この四人組が実は強盗だったら……なんて考えてしまうのだ。だけど違う。人けのないところに来たのは、ホッタール時だから当たり前。


 早くマハ・コーリシャスに着かないかな。


 馬車が停まった。


 どうしたのだろう。


 馬の休憩? 道を間違えた? 車輪の故障?


「さっさと済ませるんじゃぞ」

「うるせっ、ジジイ」


 四人組のうちの『老夫』と『虎髭の男』が交わした言葉だった。

 わたしには、なんことだかさっぱり。


 真面目風な『若い男』が笑う。

 その笑みはわたしに向いていた。


「ねえ、僕たちと遊ぼうよ」

「はあ?」


 首をかしげた途端、背後から虎髭男に羽交い締めされた。

 どういうこと? これって、これって…………。


 若い男がわたしの服のボタンに手をかける。

 まずボタン一つが外された。


 このままではマズい!


 カカトをあげ、背後にいる虎髭男の膝頭を蹴った。腕の力が緩んだ隙に、虎髭男の腕から脱出。氷魔法のミニアイスで若い男に攻撃。


「へぇー。魔法、使えるんだね」


 若い男はあまりダメージを受けていないようだ。

 続けてミニファイヤを放つ。ちなみにロフェイの得意魔法だ。


 若い男は防御魔法で威力を軽減させた。

 それでも多少は効いているようだ。

 ならばと、ミニファイヤを連続で打つ。


 ふたたび背後から忍び寄る虎髭男。

 今度は捕まらない。

 マジックニードルを飛ばしてやった。

 虎髭男は痛みに転げ回っている。


 ところが……。


 背後から若い男がミニサンダーを打ってきた。

 そう。敵は二人。

 防御できずに喰らったわたしは、地面に倒れた。


 たちまち二人の男に取り押さえられた。


 下船時に操舵手に言われた言葉を思いだした。

 『お嬢ちゃん、一人かい? だったら気をつけな』

 いまさらだけど、こういうことだったとは。


 また服のボタンに手をかけられた。

 わたしは身動きできない。


「モタモタしてると人が来るぞ。早く終わらせんかい」

「ジジイの言うとおりだ。服なんか引き裂いちまえ」


 そんな老夫と虎髭男に、若い男が首を横に振る。


「こんなところに人なんて来ると思う? こういうのって、一気に済ませたらもったいない。じっくり楽しむのがいいんだ」


 四人組の一人である『女』と目が合った。わたしを見て笑っている。同性だからと助けるようすもない。若い男に言う。


「あんた、変な趣味だねぇ」


 ボタンが一つずつ外されていく。

 すべてを失われてしまう。お願いだから誰か助けて。



 ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ……。



 服のボタン全部が外れてしまった。

 ロフェイが遠くなっていくのを感じた。

 目尻から涙がこぼれ落ちた。


「ロフェイィーーーーーーーーーーーーーーーっ」


 大声で叫んだ。



 ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ、ロフェイ……。



 すると遠くから声がした。


「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーい」


 ロフェイの声ではなかった。女の人の声だった。

 つまりロフェイの返事ではなかった。じゃあ、いまの声は何?


 空から何者かが着地。


 頭にスカーフを巻いており、口と鼻はマスクで隠されている。露わになっているのは、ほぼ目元だけ。しかし驚くほど美しいものだった。


 若い男と虎髭男の視線が、その者に向く。


「おやおや、僕たちのもとにご馳走がもう一つ追加かな」

「デケえ。いい乳してるじゃねえか。上玉だ」


 わたしを押さえつける力が緩んだ。

 するすると彼らの手から抜け出ることに成功。


「アイツ、逃げやがったぞ」

「いいじゃないか。獣臭いのより人間の女の方がいい」


 若い男は彼女に寄っていき、その腕を掴んだ。


「ねえ、遊んでいこう」

「汚い手」


 彼女が呟くと同時に……。


「わぁっ」


 彼女を掴んでいた若い男の手が千切れた。

 一瞬のことだったので、よくわからなかった。


 彼女は刃物など持っていないように見える。

 魔法陣も見えなかったから魔法のはずはない。


 では、いったい何が起きた?


「あんたたち邪魔」


 彼女の言葉とほぼ同時に、大爆発が起きた。やはり彼女が使ったのは魔法? でも魔法陣が出ていなかった。どういうこと?


 眉をひそめる彼女。


「やだわ。殺すつもりはなかったんだけど……皆死んじゃったみたい」


 彼女と目が合った。つくづく麗しい双眸だった。


 先程わたしがロフェイの名を叫んだとき、確かに返事があった。あれはたぶん彼女の声だったと思う。たまたまロフェイと同名だったってこと?


 とにかくお礼を言おう。


「助けにきてくれて、ありがとうございます」

「助けにきたわけじゃなかったんだけどね。あれらを殺すつもりもなかったし」

「あのう、あなたのお名前、ロフェイ…………ですか」


 少し間を置いてから彼女が答える。


「そういうことでいいわ」


 この人、何者?



ඔබට ස්තුතියි  ミーンミア視点つづく ඔබට ස්තුතියි




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