『ここは、風鈴堂』─音の鳴らない、ひとひらのギフト──【ラジオ大賞企画参加作品・全キーワード使用】
こちらは『第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞(https://www.joqr.co.jp/ag/article/164182/)』企画への参加作品です!
・文字数(空白・改行含まない):1000字 (ちょっきり!)
・全キーワード(年賀状/オルゴール/合い言葉/自転車/雨宿り/ギフト/ホットケーキ/風鈴/サバイバル/木枯らし/舞踏会)使用!
前回も全キーワードを使ったので、今回も頑張ってみました~♪
制限がある企画って楽しいですよね~♪>φ(*´▽`*)カキカキ~♪
木枯らしが街をかすめる午後、喫茶『風鈴堂』の軒先で、自転車を押す高齢の女性が雨宿りをしていた。
「よかったら、中で温まってください。外、冷えますから」
準備中の札は出ていたが、僕は迷わず扉を開け、店の中へ招いた。
カウベル代わりの風鈴は、また鳴らない。
彼女は少し戸惑いながらも頷き、席についた。
「今夜、ここで”冬の舞踏会”を開くんです」
テーブルの片隅には舞踏会の案内カードが置かれていた。
「大人も子供も集まって、音楽とお茶を楽しむだけの会ですが……準備でバタバタしてて」
僕は笑いながら、紅茶のカップを彼女の前に置く。
「素敵ね。そんな会があるなんて…」
彼女はそっとカップを持ち上げ、琥珀色の紅茶をひと口ふくんだ。
「…こういう時間、久しぶり…」
ホットケーキの甘い匂いと、あたたかな湯気が満ちる中、オルゴールが静かに回り始める。
「ええ。僕も好きなんです、こういうの」
──ふと、彼女のバッグに年賀状の束が覗く。
「毎年、教え子に送るの。『人生はサバイバルだから』って書き出して……それぞれに続きの言葉を添えるのよ」
彼女は束を大切そうに指で撫でながら、目を細めた。
懐かしい名前たちのざわめきでも聞こえるかのように。
──その一言に、かつては荒れていた昔の自分を思い出す。
あの時にくれた同じ言葉が、僕をここへ立たせているのだと気づいて──
「……きっと、届いた子たちは嬉しいと思いますよ」
まるで合い言葉のような運命を感じたけれど──次のステップは踏み出せなかった。
「そうかしらねぇ…」
静かに流れるワルツに、店は少しだけ幻想的な気配を帯びる。
彼女の視線が窓へ向かった。
「あら…まあ、雪だわ…」
見ると雨粒は白く変わり、ひとひらの雪が舞っていた。
「それに虹なんて…こんな日もあるのね」
さらに驚いたことに、雪の向こうに淡い七色の橋が架かっている。
「ねえ、舞踏会…私みたいなお婆さんが参加しても、いいかしら?」
彼女は年賀状をしまい、少し照れたように笑った。
思ってもいない言葉に、僕も自然と笑った。
「もちろん。むしろ…誰かにとって、思ってもいないギフトになると思います」
けれど、それはきっと──とても素敵なことだ。
そう返すと、彼女の頬がやわらかくゆるんだ。
──ちりーん、ちりーん・・・
その瞬間、扉がそっと開き、一筋の冬の気配を『風鈴堂』に招き入れた。
風鈴の澄んだ音は、銀の粒に触れてきた誰かが、温かさを返す合図のようにも聞こえた。
(了)
こちらは作中の先生が出す年賀状のイメージですが、私から皆さまへの感謝と応援を込めた年賀状でもあります!( *´艸`)<かなり早いんですけどね~w
皆様がいらっしゃるから、私はこうして生きて、ここにいられるのです。
今年も残り少なくなってきましたね。どうかご自愛くださいね。
お読み下さり、ありがとうございました!(*人´ω`*)
・・・あっ!もし感想をいただけるのでしたら、貴方の思われる、
『人生はサバイバルだから・・・』の続きのお言葉を望んでもよいですか?
(もちろん無理に、とは申しません。書かれなくても全然、大丈夫です!m(__)m)
書かれるお言葉は、貴方の想われる方か、または自分に向けての言葉?、それとも共に人生というサバイバルを生きる仲間への言葉?、はてまた暗い言葉・諦めの言葉も出てくるのでしょうか?(;^ω^)<無茶を言って申し訳ありません・・・(でもスゴク楽しみなんですw)




