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戦国おっさん! ~タイマーと現代知識チートで、織田信長の軍師になります  作者: 武蔵野純平
清洲同盟編

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第41話 太公望の提案

 ――翌日。


 俺たち織田家交渉団は、岡崎城の広間で松平元康殿と再び会見した。


 正面に松平元康殿、左右に松平家の家臣がズラリと並ぶ。

 空気が重い……。

 俺はプレッシャーを感じながらも、これから話す提案内容に自信を持っていた。


(落ち着け……間違いないはず……大丈夫だ……同盟は成る!)


 俺は自分自身に言い聞かせた。


 まず丹羽長秀にわ ながひで殿が挨拶を行い、今日は俺が話をすると告げた。


「今日は、私の隣に座る浅見からご提案がございます」


「むう……」


 松平元康殿は、前回と同じく腕を組み目をつぶっている。

 松平元康殿は、まだ若い。

 恐らく表情を読まれない自衛手段として目をつぶり生返事をしているのだろう。

 松平元康殿のリアクションは気にしないようしよう。


「浅見爽太でございます。松平様、松平ご家中の方々に申し上げます」


 俺が名乗り話し始めようとすると、場がザワリと騒がしくなった。

 松平家の家臣たちが、俺の噂話をする。


「浅見!?」


「今川義元を討ち取った男か!?」


「おお! そいつか! デカいのう!」


「油断するな! 相手は織田家の太公望と噂される切れ者ぞ!」


 太公望は持ち上げすぎだと思う。

 俺が立てた策は、知っている歴史をトレースしただけなのだ。

 カンニングをしたのに、テストの成績が良いことを褒められたような……。

 俺は面映ゆさを感じながら、同盟締結への提案を始めた。


「織田家と松平家の同盟を結ぶにあたり、三つご提案をさせていただきます。まず一つ目! 織田家から松平家に銭を送らせていただきます」


 まずは経済支援。

 松平元康殿に変化はないが、重臣方の頬がゆるんだ。

 家老の酒井忠次殿が、俺の方へ向いた。


「浅見殿。ご質問をよろしいか?」


「どうぞ」


「銭を送っていただけるのは、大変ありがたい。しかし、なぜ?」


 酒井殿の頬はゆるんでいるが、目は油断なく俺を観察している。

 怪しんでいるのかな?


 変なウソはつかない方が良い。

 ここは本当のことを話して誠意対応をしよう。


「我ら織田家は本当に松平家と同盟を結びたいと思っています。さらに同盟を長く続けたいとも思っているのです。松平家は今川家から独立したばかり。失礼ながら、懐事情は厳しいのではないかと推察いたします」


「……」


 酒井忠次殿はノーと言わない。

 ということは、懐は厳しいのだろう。


「長く同盟を続けるには、松平家に強くなっていただきたいのです。今川家と戦えるようになっていただきたい。そのために織田家として支援をさせていただきたいのです。松平家が強ければ、織田家にとって東は安全圏。北の美濃へと手を進められます」


「なるほど……道理ですな……。しかし、そのような大事を勝手に決めてよろしいのですかな?」


 酒井殿はチラリと丹羽長秀殿を見た。

 丹羽殿は鷹揚にうなずく。


「大丈夫です。交渉は我が殿から任されております」


「ふむ……。丹羽殿がおっしゃるなら――」


「ああ、お待ちを。殿が任せているのは、私ではありません」


「え?」


「殿が任せているのは、この浅見です」


「えっ!?」


 酒井忠次殿は、腰を浮かせ驚いている。

 俺はニヤッと笑いたくなるのを、必死に抑えた。


「何か誤解があるようですな……。織田家での席次は私が一番上ですが、この交渉では浅見が一番上です」


「そうなのですか!?」


「はい。この同盟を考えたのは浅見です。殿は浅見に任されました。私は浅見を補佐する立場です。ですから浅見の言葉は織田家の言葉と考えていただいて結構です」


 広間にいる松平家の家臣たちがどよめく。

 松平元康殿が目を開いて、小さな声で言葉を漏らした。


「そうか……。この同盟は太公望殿の案であったか……」


 本丸が動いたことに俺は内心ほくそ笑んだ。

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