表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国おっさん! ~タイマーと現代知識チートで、織田信長の軍師になります  作者: 武蔵野純平
桶狭間の戦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/48

第28話 遠い首 桶狭間の戦

「「「「「おおおおー!」」」」」


 織田軍二千が吠え、今川軍に襲いかかる。


「なんだ!?」


「敵襲!?」


 今川軍は完全に油断をしていた。

 俺たちに対応出来ていない。


 桶狭間の戦――奇襲成功である。


 俺は今川義元がいると思われる陣幕を槍の穂先で切り裂く。

 陣幕の中には鎧を脱いだ武将と旗本が十人ばかりいた。


 旗本が武将の前に入り守ろうとしている。


(こいつが義元だ!)


 俺は状況から、この鎧を脱いだ武将が今川義元と判断した。


 今川の旗本から誰何が飛ぶ。


「何奴!?」


 俺は槍を構え答える。


「織田家家臣! 浅見爽太! 今川義元殿とお見受けいたす! 御首を頂戴いたす!」


 俺の大声に今川の旗本たちが激高する。


「下郎が!」


「織田ごときが何を申すか!」


 冷静な者もいて、義元と思わしき武将を逃がそうとする。


「早う! 太守様! お下がり下さい!」


「馬を引け! 太守様を乗せろ!」


 太守様! この武将が今川義元で決まりだ!


 俺は大声で友軍に呼びかけた。


「今川義元がいたぞ! 義元はここだ! 浅見隊! かかれ!」


 馬で逃げられては不味い!

 味方を呼び寄せて鏖殺する!


「御大将!」


「兄貴!」


 小頭の弥平と甚八である。

 俺はすぐさま指示を飛ばす。


「あれが義元だ! 浅見隊! 押しだせ!」


「浅見隊行くぞ!」


「蹴散らせ!」


 訓練を積んだ浅見隊は俺の指示に手脚のように従う。

 浅見隊三十人が槍を揃えて突撃すると、義元の近くにいた旗本がバタバタと倒れた。


 横合いから突然騎馬が突っ込んできた。

 馬印は赤鳥紋!

 今川義元の旗本の騎馬、つまり親衛隊の増援だ。


 騎馬は十騎ほどだが、浅見隊は陣幕で見えていなかった。

 ブラインドから横腹を突かれて隊列が崩れる。

 隊員が二人槍に突かれたのが見えた。


 十騎の騎馬は、俺と義元の間に割って入る。


「邪魔するな!」


 俺は手に持った槍を振り回して突貫する。

 騎馬といえども戦国時代の馬は小さいし、人も小さい。


 戦国時代にとしては、大男の部類に入る俺が槍を振り回して突っ込んできたのだ。

 今川の旗本騎兵に動揺が見えた。


「防げ!」


「太守様! お早く!」


 不味い!

 今川義元を空馬に乗せようとしている。


「どけ!」


 俺は槍を横に振り回し、馬に乗った旗本の顔面を強打。

 旗本は頭から地面に落ちた。


 甚八が落ちた旗本に駆け寄り、トドメを刺そうとする。


「兄貴! 首を――」


「捨て置け! 義元だ! 義元の首だ! 他は捨て置け!」


「合点!」


「おおお! 義元ぉぉおおおお!」


 俺は吠えながら槍を振り回す。

 一人、二人と馬上の旗本をたたき落としたところで槍が折れた。


 腰から刀を引き抜き振り回す。


 周囲は乱戦になっている。

 もう陣形もへったくれもない。


 織田家のどこかの隊が大声で今川軍を槍で叩く。

 今川軍が泣きそうな顔で防ぐが、横から新手の今川軍が沸いてくる。


(不味い! 意外と遠い!)


 今川義元の本陣奇襲に成功はしたが、旗本を中心に頑健に抵抗している。

 すぐに獲れるかと思った今川義元の首は遠い。


 俺は必死で刀を振り回すが、次から次へと旗本や兵が沸いて出て義元に届かない。

 二万の大軍は伊達ではない。


(マジか! このままでは!)


 俺は焦りだした。

 ずっと今川義元を見ていたが、ついに今川義元が逃げ出すのが見えた。

 鎧もつけず馬に乗り、わずかな供回りを連れて逃げ出したのだ。


「くそっ! 義元が逃げたぞ! 今川義元が逃げたぞ!」


 俺は大声で叫び続けながら義元が逃げた方角へ進む。


「義元が逃げた!」


「今川義元が逃げたぞ!」


「今川の大将が逃げた!」


 織田軍の将兵だろう。

 あちこちで義元が逃げたと叫んでいる。


 これで今川軍は総崩れだ。

 織田軍の勝利である。


 だが、義元の首をとらなければ、完勝とはいえない。

 今川軍は再び尾張に攻め込んでくるだろう。


(ええい! 歴史と違うぞ!)


 俺は陣幕が立っていた場所を抜けた。

 少し離れた場所で必死に馬を走らせる今川義元が見える。


 二万の将兵がごった返し、混乱しているので、馬を真っ直ぐに走らせられないのだ。


(届くか……? いや、届かせる!)


 俺は追撃を決意した。


「浅見隊! 義元を追うぞ! 又左! 藤吉郎! 弥平! 甚八! こっちだ!」


「おう!」


 俺の呼びかけに又左が槍を振り回し血煙をまき散らしながら駆けてきた。

 弥平と甚八も、それぞれ手勢を率いてくる。

 他にも浅見隊の見知った顔が駆け寄ってきた。


「藤吉郎は?」


「わからねえ……」


 俺の問いに又左が渋い声を出した。

 藤吉郎とは、はぐれてしまった。

 ここは戦場だ。

 仕方ない。


 無事でいてくれよと祈り、俺は浅見隊に追撃を命じる。


「浅見隊! 追撃だ! 走るぞ!」


「「「「「おう!」」」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■お知らせ■

m3xp8tkadjxaklfuf50kcny8up9_qa2_dw_jq_94mv.jpg

私の作品【蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服】がコミカライズされました!
マンガ一巻発売中です!
全国の書店、Amazon、電子書籍サイトにて、ぜひお買い求め下さい!

蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服1(Amazon)


■クリックで応援!■

★★★小説家になろう 勝手にランキング★★★

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ