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戦国おっさん! ~タイマーと現代知識チートで、織田信長の軍師になります  作者: 武蔵野純平
桶狭間の戦編

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第19話 藤吉郎のスカウト活動

 藤吉郎はずんずん村へ歩いて行く。

 村長宅と思わしき村の中で一番大きな家の戸を叩いた。


「織田家奉行! 木下藤吉郎である! 村長! 出られませい!」


「これはお奉行様!」


 家の中から年寄りが転がるように飛び出てきた。

 村長は『奉行』と聞いたので、かなり上の武士が訪問してきたとあせったのだろう。


 だが奉行といっても藤吉郎は台所奉行である。

 台所奉行は食材の仕入れと毒味が仕事。

 重要な仕事ではあるが、それほど格の高い役職ではない。


 さすが後の秀吉。

 ハッタリが効いている。


 藤吉郎は胸を張り声をはる。


「これなるは、殿のお下知で野盗を召し捕った浅見殿と浅見隊である。喉が乾いておる故、井戸を借りたい」


「へへ~! お勤めご苦労様です。井戸はそちらにございますので、お好きにお使い下さい」


「うむ!」


 藤吉郎は井戸から水を汲み上げ手ですくいバシャバシャと顔を洗う。

 俺は藤吉郎の狙いが今ひとつわからなかったが、浅見隊の隊員たちに休憩を命じた。


 俺たちが思い思いに休憩していると、物珍しさからか村の若い衆が五人寄ってきた。


「オイ! スゲエ! 本当に野盗を捕まえてるぞ!」


「こいつが野盗か!」


「悪そうな顔してるな!」


 村の若い衆は、地面に座らされた野盗を取り囲んで口々に罵っている。


 そこへ、藤吉郎がスルッと入り込んだ。


「そうじゃ! コイツらが野盗じゃ。どうじゃ~? 悪そうな顔をしておるだろ~?」


「へえ、お侍様! 本当に悪そうなヤツらです!」


「そうじゃろう、そうじゃろう。この浅見隊の皆さんが捕えて下さったんじゃ!」


「「「「「すげー!」」」」」


 五人の若者は、素直に声をあげる。

 浅見隊の面々は面映いのか、そっぽを向いている。


 さて、どうするのかな? と藤吉郎を見ていると、藤吉郎はスカウトを始めた。


「よう聞け! 浅見隊では隊士を募集しておる!」


「「「「「隊士!?」」」」」


「そうじゃ! 浅見隊の活躍で尾張から野盗がいなくなったのじゃ。そこれで織田のお殿様が、浅見隊に人を増やせとお命じになった!」


「「「「「おお!」」」」」


 藤吉郎の語り口は、上手に抑揚をつけて見事なものだ。

 ついつい話に引き込まれてしまう。


 五人の若者は、藤吉郎が次に何を話すのかと期待している。


「そこでじゃ! お主ら浅見隊に入る気はないか?」


「えっ!? 俺たちが!? 入れるのか!?」


「ああ、入れる。ワシもなぁ、元は農家のせがれじゃった。じゃが、今は乱世! 槍働きでどん百姓でもお侍になれる!」


「お侍に……!?」

「俺が……!?」

「本当か……!?」


 五人の若者が期待に胸を膨らませ目をキラキラさせている。


「まあ、もちろん、誰でもなれるものではない。じゃが、浅見隊は待遇が良い。メシは一日三食でるし、魚や肉も出る」


「「「「「三食!?」」」」」


「どうじゃ? 誰か浅見隊に入りたい者はおるか?」


 一日三食と聞いて、五人の若者の目がギランと光った。

 やっぱり若い子は食い気だよね。


「お主はどうじゃ?」


「いや……、俺は家を継がなくちゃならないんで……」


「おう! そうか! 素晴らしいのう! おとうやおっかさんを大事にな!」


「へえ! ありがとうございます!」


「お主はどうじゃ? メシを三食腹一杯食ってみんか?」


 藤吉郎は、一人一人口説き始めた。

 家を継ぐなど事情がある若者には断られたが、二人が浅見隊入りを希望した。


 あっという間に二人か!

 凄いな!


 俺は二人を小頭の弥平に預け、藤吉郎に礼を言った。


「藤吉郎! ありがとう! さすがだな!」


「なーに! この程度お安いご用さ!」


 藤吉郎は顔をクシャッとさせて笑った。

 焼けた肌に白い歯がまぶしかった。

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