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戦国おっさん! ~タイマーと現代知識チートで、織田信長の軍師になります  作者: 武蔵野純平
桶狭間の戦編

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第17話 どっちが野盗なんだか……(永禄二年七月)

 ――二月後。永禄二年七月。


 俺たち浅見隊は野盗狩りを続けた。


 野盗狩りは美味しい仕事だ。

 戦利品で浅見隊隊員の装備が充実する。

 商人を助けると礼金をもらえる。

 そして殿から褒美がもらえる。


「大将! 野盗がいやした!」


「かかれ!」


「「「「「おお!」」」」」


 今日も今日とて絶好調である。

 野盗と見れば襲いかかり身ぐるみを剥ぐ。

 どっちが野盗なんだかわからない。


 浅見隊の面々も慣れたもので、青竹の長槍と戦利品の槍や刀を上手に使い分けるようになった。

 怪我人は出たが死者は出ていない。


 基本野盗は生け捕りであるが、激しく抵抗する野盗は……止む無しである。

 既に俺も数人の野盗を手にかけた。


「殺しは慣れておかないと、イザって時に体が動かないぜ」


 又左の教えである。

 この教えを又左に告げられた時の衝撃は大きかった。


 だが、又左の言うことはもっともで、俺は何も反論出来なかった。


 現在の相手は、ただの野盗だ。

 野盗は組織だった戦い方はしない。

 戦のアマチュアなのだ。


 合戦になれば、戦のプロである武士が出てくる。

 合戦でプロに対した時に躊躇して体が動かないのは最悪だ


 俺は死にたくない。


 だから野盗を斬り、突き刺し、首をはねた。

 野盗狩りを続けるうちに、俺の現代的な甘い感覚は粉々に打ち壊され、戦国時代の感覚が俺の体に染み込んだ。


 そして俺の目の前には、下穿き一丁で縛られた野盗がいる。

 こいつらを清洲城に連れて行けば、殿から褒美が下されるのだ。


「よーし、帰るぞ!」


「「「「「ういっす!」」」」」


 帰りの道すがら、小頭の甚八が俺に話しかけてくる。


「兄貴。今日も儲かりましたね!」


「そうだな。暑くなってきたからな。富さんに滋養のある物を頼んでおくよ」


「へへっ。メシが楽しみですね!」


 この戦国時代の標準的な食事事情は、一日二食で山盛りの玄米を味噌汁や香の物でかき込む。


 だが、浅見隊の食事は違う。

 一日三食で穀物、魚、肉、野菜をバランスよく食べる。

 特にタンパク質を重視していて、大豆、魚、肉が出る。

 浅見隊の栄養状態は非常に良い。


 日々のトレーニングと食事によって、浅見隊隊員の体格は非常に良く、パワーと持久力を兼ね備えたバランスの良い肉体に変わりつつある。


 俺も一緒にトレーニングしているおかげで、細マッチョな体格に変化し、既に野盗狩りでは敵なしになっている。


 浅見隊と自分自身の体力・戦闘力アップ!

 経済事情の改善!


 戦国時代に転生して二か月ちょっい過ぎたが、一定の成果が出た。

 俺は充実感を得ている。



 横を歩く小頭の甚八が、上機嫌で話す。


「しかし、織田の殿様はお金持ちですね。俺たちにバンバン褒美を下さる!」


「ああ。津島があるからな」


 織田家は津島という商業都市を抱えているのでお金があるのだ。

 津島は港町で、船が出入りする。

 商人も多い。

 織田家の金蔵というわけだ。


 だから、野盗狩りは商業重視の織田家にとって大切な仕事だ。

 それなりに予算をかけてもオッケーなのだろう。


 殿や池田殿としては、少人数で小回りの効く浅見隊は使いやすいので、『どこそこに行け』と気軽に頼みやすい。


 織田領内に野盗が出たと報告があれば、即俺たち浅見隊が駆けつける態勢が出来上がった。


 野盗狩りの依頼がない日は、訓練をした後、清洲や津島の町に出て見回りをする。

 喧嘩やもめごとの仲裁をすると商人から礼をもらえる。

 礼をもらえて、浅見隊の名が売れて、商人とのつながりも作れる。

 一石三鳥だ。


 こうして、俺は槍の又左と浅見隊を引き連れ、尾張中を走り回る日々を送っている。

 浅見隊の維持費を――主に食事代――差し引いても、かなり俺の手元に銭が残る。


 そんな中、殿から新たに命令が下った。


「浅見隊の人数を増やせ! 三十人にせよ!」


 これである。

 銭が手元に残って来たなと思ったら、人を増やせと。

 それも十人から三十人だ。

 また、銭が飛んで行ってしまう。


 とはいえ、嬉しい側面もある。

 殿が浅見隊の活躍を認めたのだ。

 浅見隊の活躍を認めたから、隊の拡張を指示した。


 こうして少しずつ実績を作って成り上がっていくのだ。

 最近は欲が出て来て、自分の領地が欲しい。

 新参者の俺には遠いが、実現可能な目標だ。


 さて、タイマーで募集をしようと思ったが、前回募集をした時に又左が気になることを言っていた。


『間者っぽいヤツがいた』


 偶然、俺は間者っぽい人物を採用しなかった。

 運が良かったとしか言いようがない。


 タイマーも完璧ではないということだ。

 気をつけなければ。


(今回はタイマーを使わずに、村や町でスカウトしよう! あてになりそうなヤツがいるし……)


 俺は、最近浅見隊に出入りするようになった人物を思い出していた。

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