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戦国おっさん! ~タイマーと現代知識チートで、織田信長の軍師になります  作者: 武蔵野純平
桶狭間の戦編

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第12話 賑やかな朝食

 朝の浅見隊の訓練は続く。


 ランニングの後に筋トレ。

 スクワット、腕立て、腹筋、背筋、懸垂、ジャンピグジャック。


 全員を井戸の水で水浴びをさせ身ぎれいにして朝ご飯である。


 足軽長屋に戻ると板敷きの床にすでに食事の準備が出来ていた。

 木目の質素なお膳が、きちっと左右に並ぶ。


「「「「「おお!」」」」」


 朝食を見て浅見隊全員が喜びうなる。


 山盛り玄米ごはん。

 野菜がたっぷり入った味噌汁。

 煮豆。

 香の物。


 現代人の感覚なら質素に感じるが、戦国時代では豪勢な朝食だ。

 普通は玄米ごはんと味噌汁だけなのだ。


 食事の支度をしたのは、下女として雇った富さんだ。


 富さんは、武家の後家さん――未亡人だ。

 旦那さんは、戦でお亡くなりになった。

 子供たちは成長し織田家に仕え始めたので、浅見隊の下女募集に手を上げてくれた。


 特に美人というわけではないが、武家の女性らしくキリッとしている。

 俺としても武家のやり方を知っている富さんの存在は心強い。


「さあ、座って下さい。浅見様は上座に」


 お富さんはテキパキと指示を出す。


 俺は上座、いわゆるお誕生日席に座る。

 続いてワラワラと浅見隊の兵士たちが座る。


「富さん。支度をありがとう」


「どういたしまして。さあ、召し上がって下さいまし」


 俺が礼を述べると、お富さんは気持ちの良い笑顔とさっぱりした口調で返事をする。

 ここは尾張国だが、お富さんの雰囲気はちゃきちゃきの江戸っ子っぽい。


「では、いただきます!」


「うおお!」


「メシだ~!」


「こらー! いただきますと言え! 支度をしてくれたお富さんに感謝しろ!」


「え?」


「へえ?」


「あー、いただきます」


「いただきます」


 俺が『いただきます』と言っても、誰も続かない。

 習慣がないのか?

 それとも躾の問題か?


 こういった日常的な部分も教えよう。

 身につけて損はないはずだ。


 四Sや五Sっていうのがタイマーのバイト先であったな。

 整理、整頓、清掃、清潔、躾。


 これから毎日根気よく、浅見隊の十人に教えていこう。


 食事が始まると、さらにヒドイ。

 箸の持ち方もバラバラで、中には箸を握ってかき込んでいるヤツもいる。


「箸をちゃんと持て! メシは逃げないし、お代わりもある! しっかり、ゆっくり食べろ!」


 鉄は熱いうちに打て!

 俺も面倒だし、浅見隊の面々もうるさいと感じるだろうが、これはブートキャンプ――新兵訓練なのだ。

 手は抜かない。


「ちゃんと箸を持って食べれば、もっと良い食べ物を出すぞ! 魚も食える! 肉も出す! それに浅見隊は朝昼晩の三食だ! ちゃんと食べろ!」


 俺の言葉に隊員たちの目の色が変わった。


「マジですかい!」


「そいつは豪勢ッスね!」


「箸はこう持つんだ! ちゃんと持て!」


「オイ! 箸の持ち方を教えろよ!」


 よしよし!

 ニンジンが効いた!


 ギャアギャアと賑やかな朝食が続く。


 お富さんは、俺の隣で俺の給仕をしてくれる。

 俺たちの様子を見て表情が和らぐ。


「まあまあ、元気の良いこと」


「すいません。ぼちぼち行儀や礼儀作法も最低限教えようと思います」


「大変ようございますね。ところで浅見様、費えの方は大丈夫ですか?」


 費え。予算である。


「何とかしますので、食事は旨いものを頼みます。あと、大豆は絶対に欠かさないで下さい」


 俺は朝食を食べながら『部隊を率いるって大変だな……』と戦国武将の苦労をかみしめた。


「こらー! 食べ終わったら、ごちそうさま! 片付けろー!」


 うーむ、前途多難だ。

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