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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
86/350

取返し

「――もし、もっと宮廷に近づくのなら」


 予測でも予言でもない。

 単に事実を指摘する口調だ。


「あなたは、数人の為だけの生ではなくなる。ことによっては人々の暮らしも、ロシアそのものも背負うことになる。――それでも、モスクワで暮らせるつもりなの」


 さすがに今度は、即答できるようなことじゃない。


「――買いかぶりだよ」


 少しだけ経って。

 ようやく、僕は間をとろうとする。


「何も宮廷を乗っ取るようなつもりじゃない。あくまで僕は、皇后の――」


「ユーリ」


 またしても、僕は制される。


「それはあくまで(・・・・)、あなた一人で行ったときのことでしょう。私たちが一緒に行ったなら……いいことかどうかまでは分からない、でも多かれ少なかれ、影響は与えざるを得ない」


 彼女は、ついていくかどうかを聞きはしなかった。


 おそらくは、戻れない道を渡る行為であること。

 僕にその自覚があるのか否か。

 彼女はただ、そのことだけを問うていた。

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