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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1898年、サンクト・ペテルブルク
79/350

配分問題

「さあ、もういいだろ。そろそろ、そっちの番だぜ」


「……分かりました」


 気が進まないのは確かだ。

 でも、大袈裟に隠すほどのことでもない。


「あの予防接種の量じゃ、少し足りなかったんですよ」


「――手前が、そのしわ寄せを受けた、てのか」


「ええ。お陰で、僕以外の子供たちは無事でしたよ」


 もっとも、その動機まで述べる気はない。

 ジョゼファにとって、村の子供たちの方が大切と考えたまでだ。

 その判断がかえって、彼女を悲しませてしまったのだけど。


「こいつは弱ったな……」


「物は受け取ってたんです、配分はこっちの問題ですよ。そちらが勝手に負い目を感じる筋合いじゃない」


 これは僕の意地の問題だった。

 手前勝手に寄せられる同情は、決して愉快なことじゃない。


「いや、そう言う訳にはいかねえな。――その腕、見せてみろや」


 その反応は、同情よりはるかにマシだった。


「いいでしょう」


 僕は右手の力をゆるめ、左腕から離す。

 握りしめていたせいか、少しだけしびれが残る。

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