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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1898年、サンクト・ペテルブルク
76/350

門外秘

 言いながら、僕は気づきかけていた。


 僕より与し易い相手はいくらでもいる。

 そのことを、目の前の男が察せていないとは考えづらい。

 ならば、敢えて僕である理由(・・・・・・・・)とは何か。


「ニューヨーク・タイムズ」


 唐突な言葉に、僕は面食らう。

 宮廷の外での英語は、ずいぶんと珍しい。


「文字通りアメリカの新聞だがな、2年前に買収で経営が変わった」


 それとこれと、どう関係あるのだろう。


「んで経営者の方針で、世界単位でやってくことになった訳だ。で――中にはもちろん、重い(・・)ネタもある。まあ掲載が10年先か20年先か、はたまたクズ箱行きかは分からんがね」


「記者には見えませんが」


「話は最後まで聞きな、兄ちゃん。俺はそいつらの、まあ下っ端同志のつながり程度にだが、少しはコネがある訳だ」


 宮廷。よそ人の僕。

 外国の新聞が、公表を控えるほどのネタ。

 僕の中で、疑惑がつながる。


「――王家の呪いについて話し合う程度には、ですか」

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