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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1896年、グルジア
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興行

 ひとまず、一人だけで済んでよかった。

 それが当初の僕の、偽らざる本音だった。

 一人残らず無事なのが最善ではあったけど、悪くはない結果だ。

 左腕を使う力仕事はむずかしくなった、でもそれ以外ではまだやっていける。


 けれども。


 正直なところ、彼女に罪悪感を持たせてしまったのは予想外だった、

 村の子供たちも彼女の同年代も、僕にはほとんど、どうでもよかった。

 でも彼女が悲しむこと、それだけは本当に辛いところだった。


 このままの彼女を見ていたい。願わくば、長い時をともに。

 ほとんどそれだけのために、僕は力を尽くしていたと言うのに。


 いったい、どうすればよかったのだろう。

 僕が(・・)彼女の悲しみを見ないと言うだけなら、僕がもっと深刻な――あるいはこの上なく楽な――“被害”を受けていればよかったのだろうけど。

 もちろん、その選択肢へむかうことは考えもしなかった。


 あのとき、僕はどうすればよかったのか。

 いくら考えてみても、いまだによく分からない。

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