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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
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昔話

 三文小説パルプ・フィクションSF(ファンタスティカ)も、19世紀末の今、存在しているとは言いがたい。

 ならば、時間旅行者なる考えもまた存在しないのだろうか? 答えは否だ。

 時間の意味を広くとるならば、『ティル・ナ・ノーグ』も『ふたりの兄弟』も(もちろん『浦島太郎』も)、はるか昔から存在していたのだから。人の想像力は、ジャンルに先駆けもする。


 ファンタスティカのない時代、僕の背景を話してみても分からないだろう--今思えば、この考えこそ傲慢ではなかったか。もちろん、昔話と現実とは別だ。別の話ではあるけど、昔から似た話があったとなると話は変わってくる。

 それはすなわち、話が人の想像力に訴えかけていること、親しみ得る題材であることに他ならない。

 そんな想像が今、僕の行動を後押ししようとしていた。


 思い込みは視野を狭め、空想を必然に変える。話しても問題ないだろう、いや、問題ないはずだ――“彼女への説明”に追い込まれた僕にとってそれは、控えめながらもっともらしい理屈に思えた。


 あるいは、僕は疲れていたのかも知れない。

 異国での共通語リンガフランカ、ロシア語をしか使わない生活。

 二十数年浸かってきた母語の、一切が通じない暮らしに。

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