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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
【第二部】 1904年、フィンランド湾、クロンシュタット
245/350

あとさき

 そうして、二人きりの昼食は終わった。


 ずいぶんとアンバランスではあったけど、昼食には違いない。

 少なくとも、僕にとってはまずまずだった。

 何しろ、空腹は最高の調味料なのだから。


 これでもう、僕のやることはもうない。

 本音を言えば、するつもりもなかった。


「じゃあ、帰るよ」


 どこにとは言わない。

 ただ、どこかへ帰りたい気分だった。


「合格かどうか、聞いて行かないのか?」


「ああ、それはもういいかな」


 僕にとってはもう、興味のないことだ。


「受かるか受からないかはどうでもいいよ。ただ、準備不足はあったかな」


 オケハザマの戦いは、何度もやる類の代物じゃない。

 そう言いかけて、ここがどこかに気づく。


「――トラファルガーみたいな(いくさ)は、もうゴメンだね」


 表情から察するに、この比喩は微妙なようだった。


「|誰にだって限度はある《額より高くに耳は生えず》、の方がいいかな?」


「ことわざ、何も無理に使う必要はないぞ……」


 言われてみれば、そうかも知れない。

 それで素直に頷くほど、いい気分でもないのだけれど。


「……今夜の宿は向かいの通りにとってる。名前は登録そのまま。もし気が向いたなら、来てくれてもいい」


「気前がいいな」


「心が広いからね――この辺りの庭先、フィンランド湾程度には、だけど」


 そうしてひとまず、ここでの話は終わる。

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