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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
【第二部】 1904年、フィンランド湾、クロンシュタット
244/350

3皿目

 提出品の調理は終わった。

 僕には、これからが本番(・・・・・・・)だ。


「お腹、空いてるよね? 順番は何だけど、まあ、とりあえず先に食べてて」


 わらび餅の生地自体に、砂糖は入れてない。

 カロリーは少ないけれど、まあ腹は膨れるだろう。

 その間に、主食を作ればいい。


「では、貰おう」


「じゃあ、僕も後で食べるよ」


 対応もそこそこに、僕は小麦粉と卵、油を取り出す。

 それと先程の残り、すり下ろしたじゃがいもも回収する。

 水は……ほんの少し足せばいいかな。

 ボウルにすべてを入れ、粘りが出ない程度にかき混ぜる。


「――よし」


 フライパンを熱し、まぜた生地を投じて焼き始める。

 ほどなく、じゃがいもの焼ける匂いが漂いだす。


「それは?」


「パンケーキ」


 ひとまずの答えを、僕は言う。

 

「――もっとも、あり合わせのではあるけど」


 あり合わせの、けれども十分な主食だ。

 少なくとも、夕飯までお腹を保たせるには。


「食べさせる、て言ったからね。した約束は守る方なんだ」


「少々意外だな」


「まあ、特に無理のない範囲の話だからね」


 言いながら、フライ返しで生地をひっくり返す。

 いい具合の焦げ目だ。

 じゃがいもとフライドポテト(フリット)でかぶるけど、まあいいだろう。

 残り物で足りるならそうする。

 僕にとっては、ただそれだけの話だ。


「――できたよ」


 そうして、三皿目(・・・)は完成した。

 焼きジャガイモと小麦粉、卵、油との音楽。

 あり合わせの材料でできた、簡素なパンケーキが。

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