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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
157/350

日々好日

「ええ。あまり急ぐ必要がないことは、ゆっくりやっていこうと思います」


 急がないこと。


 薪を手に入れること。

 お湯を沸かすこと。

 給茶器(サモワール)に茶葉を入れること。

 朝の紅茶をコップに注ぐこと。


 何てことはない。

 日々の生活で急ぐことなど、ほとんどありはしないのだ。


「――と言っても、ここじゃ急ぐことなんてなかなか無いですけどね」


 流刑と言っても、せいぜいこんなところだ。

 ……あくまで貴族にとっては、ではあるけれど。


「ひとつ、強くなられましたな」


「と言うと?」


「ここに来たばかりの貴方は、何か急き立てられるようでした。その身に応じかねるものを背負っていた、とでも言えばいいのか――いや、年寄りの繰り言とお思い下さい。自ら変わられたのでしたら、その方がいいのです」


「なるほど……確かに、少しは落ち着きましたね」


 十二月党員(デカブリスト)の乱に関わっていたという老人。

 まんざら、張りぼてではないのかも知れない。

 ただ、これが年の功なのか、それともこの老人ならではなのか。

 身内が乏しかった僕では、ちょっとよく分からないのだけど。

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