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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
15/350

間際

 いっそのこと、ジョゼファにすべてを打ち明けるべきなのだろうか。

 僕の出自を。これからのグルジアの歴史を。 

 そして、彼女がたどるはずの道を。


 ――この最後に頭をよぎった考えが、僕を押しとどめた。

 歴史上、赤い魔女、ジョゼファ・スターリナの両頬には痘痕(あばた)があったとされる。

 文字通り、天然痘の後遺症としての痘痕が。

 この村が病に襲われていないのは、ここ一年で確認済みだ。

 ……ひとたび襲われれば、その対抗策が恐らく存在しないのも。


 あらためて、彼女の頬を見る。ごく普通の、飾り気のない頬を。

 いったい今、どう考えればいいのだろう。

 僕の歴史と彼女の歴史。

 この二つが同一かは、まだ分からないのではないか。


 もし違ったなら、果たしてどうなのだろう?

 僕はただ、この一年で積み重ねてきた信用を失うだけだ。

 いや失うだけならいい。下手をすると正気さえ疑われかねない。

 後ろ盾の存在しない僕にとって、それはただただ致命的だ。


 僕のすべてを、彼女に打ち明けること。

 今の僕にはそれが、ひどく危険な賭けのように思われた。

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