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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
125/350

駆け引き

「考えをお聞かせ頂けると、僕としても気持ちよくお話(・・)できますよ。出来ればあなたのお名前も伺いたいところですが、そこまで贅沢は申しません」


 名乗り出てくれるなら、聞くことは聞こう。

 その上で。

 覚えるに値するかどうかは、対応次第だ。


 一歩だけ、僕は彼我の距離を詰める。

 値踏みするように、僕は後を続ける。


「もう分かっているでしょう、僕が逃げやしないのを。でも100%かどうかは分からない。聞いてくれれば、万が一の気まぐれを起こさない、と言ってるんです。お互い、損な取引じゃないはずだ」


 不思議な手応えを覚えていた。

 ほとんど踏みしめるような確信を。


「さあ、教えてください。僕のどこに、牙を感じたのかを」


「……分析、です」


 男の声は、どこか弱々しい。

 無論、僕はその先を促す。


「と言うと?」


「最初は本当にただのカンでした。でも今は違う。その直後、私はためらった。そこを突かれた。あの速さ、それに思い切り――まぎれもなく牙、です」


「お褒め頂き、どうも」


「――ひょっとしたら私は、今ここで、あなたを撃ち殺すべきなのかも知れません」


 相手に脅しの色はない。

 ただ苦悩の色がある。

 その直観はたぶん、かなり正しい。

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