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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
11/350

根拠

あなたにとっても(・・・・・・・・)そうか分からないけど(・・・・・・・・・・)


 念を押すように、ジョゼファは繰り返す。


「まず、あなたの“手”」


 言われて、思わず僕は両の手のひらを見る。

 食事を終え、皿とスプーンを置いたばかりの手。

 そこかしこにある傷は、この一年でついたものだ。

 いずれの傷も、まだまだ真新しい。

 ……なるほど。


「一年前、握手を求めてきたでしょう。そのとき分かったの」


 探偵に追いつめられる犯人は、こう言う心境なのだろうか。

 丸顔眼鏡の神父はともかく、ベーカー街の薬物中毒者は世にいた気がする。

 いや、旗色が悪くなると他のことに気を取られるのは、僕のよくない癖だ。


「もちろんこの1年、あなたが真面目なことは認めるわ。でも少なくとも、一年前のあなたは、まともに労働をして来た人間じゃなかったはず」

「……それだけじゃ、僕が“世間知らず”ってだけだと思うけど」


 力なく、僕は答える。それだけではない、とほとんど確信しながら。

 最大限甘く見積もって、猟師に追いつめられた山羊だろうか。

 少なくとも、あまりいい気分じゃないのは確かだ。


「分かってると思うけど、それだけじゃない」

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