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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第10章 アーステア大陸
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猫耳家族

「あら、騒がしいと思ったらみんな帰ってたのね」

テントに女性が現れた。


「・・・猫耳メイド?」


おいおい誰の趣味だ?

クリーム色の髪にクリーム色の猫耳がピョコっと生えている。

インテグラの所にいたメイドのような古風なメイド姿ではなく、ちょっとフリフリしたリニューアルメイドだ。


「あーこれ、呪いでやられちゃってね。解呪の指輪で解けるはずなんだけど、このままがいいって言われて・・・」

ピコピコと猫耳を揺らしている。

まさか本物だったとは。

・・・いやまて、このままがいいって言ったやつ誰だ。



「『ニットとクロシェを混ぜる悪魔め!お前も獣と混ざり合うがいい!!』ってかけてきたのよねー」

はぁーと手を頬に添えるが、それよりしゅんと下がった猫耳が気になって会話にならない。

「ん?ニットとクロシェを混ぜた?」

どこかで聞いた気が・・・。

「あー!それ!あみぐるみじゃない!私が本出したのよー」

スキルアップの書の製作者だと?!


「うんうん!よく出来てるね。色変えも綺麗にできてるねー」

「ヨルも作ってもらったの」

これ!と黄色いノームのあみぐるみを見せている。

「あら可愛い!目も揃ってるし、クロシェのスキル持ちなのかしら?」

「い、イザベラ、それはー」

「いや、俺のスキルはソーイングと糸作成だ」

ラースが気まずそうに止めようとしたが、俺は自分から答えた。

スキルについて触れられたくないなんて子供の頃だけだ。



「違うスキルなのに読んで作ってくれるなんて嬉しいわ」

「可愛い絵が沢山描いてあって読んでて面白かったよ。でもクロシェを追放されたとか色々騒動が書いてあったが、大丈夫だったのか?」

「そうなの。そのせいで追われる身になっちゃった・・・。紛争地域を転々としてたのを自警団に保護してもらってね。代わりにメイドとして働いてるの」

くるりと回ってみせる。

スカートがふわりと揺れ・・・背後にクリーム色のしっぽが!

もっかい、もっかい見せて!

ふわふわとしたしっぽを追いかけて背後に回ろうとすると、ラースがイザベラの隣に立った。


「で、今は俺の奥さんです」

「え?」

「子供は先日7ヶ月になりました」

「ええ!?」


ぽっと顔を赤らめるイザベラ。

ということは、「このままがいい」って言った犯人はこいつか。

もふもふを独り占めとは、ずるいぞ!



「すごかったぞ、ラースの求婚劇」

「呪いかけた奴の頭、スキルで四散させてたな」

血塗ちまみれで『俺の家族になってください』だったか。あれでおっけーするイザベラさんも変わり者だよなー」

「あのラースが子持ちだなんて、世の中何が起きるかわからないな」

「愛がなせる技っす」

サムズアップするラース。

自警団もあははと軽快に笑っている。


え・・・まさかスキル瞬足で頭踏み抜いたの?

なに物騒なことやってるんだこいつは!

そして誰もツッコまない!

なんで?!俺がおかしいの?!



「お姉ちゃーん!アーちゃん泣きそー!」

ワタワタとテントを捲り、タオルを抱えた猫耳メイドが現れた。

「また猫耳メイドが・・・」

しかもツインテール。

「ん?私は付け耳よ。生えてるのはお姉ちゃんとこの子ねー」

ピラっとタオルを外す。

「あふー」

ピコピコと猫耳を揺らす赤ちゃんが腕の中から現れた。



・・・かっわ!!!


俺は思わず顔を覆った。



「はーい、アメリアー。ママいましたよー」

「あぷ」

「あらソフィア、ありがとー」

猫耳乳児を優しく抱きしめると、母親が見つかって安心したのか小さな手でしがみついていた。


待って、なんでこんな・・・かっわっ!!



オムツの膨らみで丸いおしりからは、耳と同じクリーム色のしっぽが生えている。

「イザベラさん、その子は・・・」

「あー呪いって解かないと子々孫々まで遺伝するみたいなの。知らなかったわ」

よしよしと猫耳ごとアメリアの頭を撫でている。


俺も知らなかったよ。

猫耳乳児がこんなに可愛いなんて・・・。



「解呪の指輪をはめたけど遅かったっす。だからこの子が『人と違う』なんて泣かないように、みんなで付け耳をしてるっす!」

スチャ!とラースも薄緑の猫耳を装着した。

無茶な行動をするが、家族に対する愛情は本物のようだ。

ラース、お前の猫耳はこの子の物だ。

「これからは猫耳族として生きていくわ。ところで、お客さん?」


あ、名乗ってなかったか。

「俺はディートハルト・フェンターク、ここの・・・」



ざわっ



「ディー・・・なぜその名を?」

「え?あの、スキルカードに俺の名前が・・・」

お父様にスキルカードを渡す。

「ほらここです。結婚したり領地の得失によって名前が変わるそうです」


「・・・この名を名乗るな。私たちは誇り高いアペリティフの民だぞ」

「お父様、あの、もしかして・・・首狩りのフェンタークって・・・」

「ディー、それを、どこで?」

お父様・・・笑顔が怖い!


「だから言ったでしょ。隠したところでいつか知ることになるって」

あーあ、とエスロットがため息をついている。

「ディー、誰が言ったのか教えなさい」

「・・・ベニチェア王国のアナリーゼ」

「・・・チッあの無能外交官か」

あのお父様が舌打ちしたぞおい。

というか、ド田舎アーステア大陸にすら轟く無能ってどんだけ有名な無能なの。

「ディー、この件は改めて話をしよう、な。ここではアペリティフを名乗るように。いいね」

お父様からじわじわと魔力が溢れているのが見える。

愛息子にかけていい威圧じゃないよ!




「みんなお昼ご飯作ったから食べてねー」

テントを出ると、炊き出しが行われていた。


でかい鍋にポトフが煮込まれている。

豚バラの塊に大きめに切った野菜をコンソメとローリエで味付けしたシンプルな鍋だ。

「お肉大っきい」

「ヨルヨン、粗挽き胡椒をかけて豚バラをナイフとフォークでひと口に切って食べるんだよ」

「はい!パパさま!」

丸太がDIYされた長机と長椅子に座って食べる。

しっかり煮込まれた豚バラは柔らかく、ナイフを入れると簡単に切れた。



「・・・美味しい」

故郷の味だ。

もう食べられないと思ったコンソメスープと同じ旨味がスープに溶け込んでいた。



「喜んでもらえてよかったー。野菜も少なくなってきたし、残さず食べてね」

イザベラが猫耳をピコピコさせながら配膳している。

「坊ちゃんの歓迎会っていうか、お帰り会でも開きたいところですが、台所事情がこんな感じでして・・・」

「さすがにグリーティスの田舎町じゃ難民全員を満足に食べさせるだけの食料は無いんですよ」

エスロットが忌々しそうに皿を見ている。



イザベラがくすくすと笑いながらパンを配膳する。

「隊長さん、ポトフを睨んでると美味しさが逃げますよー」

「貴女が作ったのだからこの程度で味は落ちませんよ」

さらっと女たらしなことを言うエスロット。

隣にいたラースがスプーンを落とした。

「んなっ!隊長!俺の奥さんなんだからね!?」

頑張れラース。

気をつけないとパパの座を取られるぞ。


「隊長さんまたお姉ちゃん口説いてるー。たまには私も口説かれたいなー」

「ソフィアはもう少し大人になったらな」

「ですよねー。はぁー」

ここでも乙女は年上の大人が気になるようだ。

背が高くガタイのいい自警団に囲まれると、自分が子供に戻されたような気分になる。




ポトフを食べ終え、みんなで皿を洗う。

ここでは料理はイザベラ、洗い物は自警団がやっているそうだ。

みんなでやればあっという間だ。

「で、さっきの話。お帰り会いいんじゃない?獣狩りで仕留めたイノシシ肉しかないけどねー」

ソフィアがツインテールを揺らして俺を見る。

乙女、いい子だな。

でも台所事情がまずいならそんな事しなくても・・・。

「あとビールしかない」

「最高じゃないか」

なにその会。

俺メインゲストで呼ばれたいよ。



「坊ちゃん酒飲むんすか」

「もう15歳を過ぎましたからね」

アペリティフでは15歳から大人なんだ。

「あーそれってミハイルが18歳からしか結婚できないのに、『俺はマーサと結婚するんだ!アペリティフでは15歳が成人だー!』って暴れたやつだよな?」


「隊長、なにそれ詳しく・・・」



「何か言ったか?」



俺たちの後ろでお父様がゴゴゴゴと魔力をダダ漏れさせている。

「さーお帰り会だ。肉焼くぞー、香辛料どこかなー」

ササッといなくなるエスロット。

「酒取ってきまー」

バシュっと消えたラース。

みんな状況判断早すぎだろ。


「私もお料理しようかなー・・・」

「・・・料理手伝うよ」

俺はソフィアと厨房へと消えることにした。


両親の馴れ初めを一部だが初めて聞いてしまった。

どうやらお父様は昔やんちゃだったようだ。

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