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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第9章 ベニチェア王国
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旅立ちと買い物

「パパさまー起きてー」

ペチペチと俺の布団を叩くヨルヨン。

朝から癒しかよ・・・。

「あ、二度寝してる。ヨルヨン、もっと強く!」

「はい!おとうさま。パパさまー!」

えい!えい!と叩く。

可愛いな・・・前々から思っていたが、ノームの末裔の掛け声ってえい!なのか?


ということは・・・あの魔王も・・・。


「ーー覚めた。めちゃくちゃ目が覚めたわ」

俺はさっさと起き上がると身支度をした。



朝食を済ませると馬で登場した部屋に行く。

あそこに出入り口であるノームの彫刻があるからだ。

部屋には豪華な刺繍入りの服を着た、いかにも貴族なトライドットと、魔王、インテグラ、ノルトラインも揃っていた。


「いよいよ出発かーまたおいでね。ディー君、これおやつ。ヨルちゃんと食べて」

ノルトラインにチョコレート入りの携帯食料をもらった。

「行ってらっしゃい。怪しい人をパーティーに加えてはいけませんよ」

冒険者たちの古い出発文句をかけられる。

確か英雄伝では勇者が出発するときもこの言葉が書かれていた。


そういえば、すでに船旅でパーティーを組んだっけ。

・・・あれは怪しい人じゃなくて知らない人だからな、セーフセーフ。



「では町の近くまで飛ばしてやろう」

「え?飛ばー」

ふおお!と魔法陣が足元に浮かぶ。


「えい」


やっぱり魔王も掛け声「えい!」かよ!


光に目を閉じると、次の瞬間には町が見える森の木陰に立っていた。

つーか、こんな早く町に行く方法あるなら早起きする必要なかったじゃん!


「ここがお外・・・」


ヨルヨンが周りをキョロキョロ見回している。

「そっか、ヨルヨン外が初めてだったね」

テオドールがヨルヨンの頭を撫でる。

「僕も初めて外に出た時びっくりしたよ。外は明るいし暗くなるし、寒かったり暑かったりするんだよ」

「そうなのですか!」

ヨルヨンがキラキラした目でテオドールを見ている。


あの地下帝国はほんとに快適だった。

この先、ダンジョンで魔物を作ることになっても、仮にすごく快適にダンジョンを改築しても・・・俺は外にこいつらを連れてご飯食べに行こう。

はしゃぐ2人を見て、なんだかそう思えた。



「まだちょっと距離があるしルーイたちを出そう」

腕を伸ばし、影を出現させる。

魔法らしい魔法を使ってる・・・ちょっと楽しい。

「私も出そう、えい!」

トライドットがパチンと指を鳴らすと、影の中から馬が現れた。


おぉ・・・タクトスキルのかっこいい使い方・・・。


俺も指パッチンで影が出せるように練習しよう。



ルーイたちを走らせ、アモーレの町に戻る。

重さの関係でヨルヨンは俺と一緒に乗っている。

お尻の下にはモンスターボックスに使ったクッションを敷いているので痛くないはずだ。


「パパさま!風が!ドライヤーよりすごいです!」

「あはは、すごいだろ!ヨルヨンも風になったんだ!」

「はい!なってます!」

銀髪を揺らし、深紅の瞳を輝かせている。

ヨルヨンの初めてがいっぱいの旅が始まったんだ。

俺もこの旅を楽しもう。



「このまま町の中心地まで行きましょう。色々買うなら商業ギルドに行った方が良いでしょうし、歩き回る必要もありませんから」

ヨルヨンはコルクボードのサンダルを履いているが、これで長時間歩くのは大変だ。

気遣いのできる紳士がいると旅の予定が立てやすいな。



町の門を超え、パラソルの露天を通り過ぎ、中心地へと向かう。

高級建築が増えていき、一角を超えると見える範囲の建物が全て背の高いレンガ造りとなった。




「ここだな」

着いた先は三叉路のど真ん中。

一等地に佇むでかい建物、商業ギルドのショッピングセンターだ。

この中に服飾、魔法雑貨、サービス業、旅行代理店など様々な商店が入っている。


トライドットが馬から降りると、ドアウーマンが駆け寄ってきた。

「いらっしゃいませ。馬をお預かりします」

「ああ。ほらテオ、ディー君も・・・」


「ほらヨルヨン、・・・よいしょ」

「ありがとう、おとうさま」

「ちょっと離れてなー俺も降りるぞー」

テオドールにヨルヨンを任せ、俺もルーイから飛び降りる。


「・・・ふふ」

「どうしたのドット兄様?」

「いえ、なんでもありませんよ。さぁ行きましょう」

俺たちは馬を預け、商業ギルドの中に入っていった。



「いらっしゃいませ」

店員の女性がニコニコと挨拶をする。

「個室を。それにバトラーを付けてくれ」

「かしこまりました」

「バトラーのバーバラにございます。なんなりとお申し付けください」

・・・呼んでないのにきた。

お待たせしないスタイルか。


壮年のおば様店員バーバラに付いていくと、茶色に統一された落ち着いた雰囲気の部屋に通された。

俺たちは赤みがかった茶色のソファーに座る。

「本日はどのような商品をお探しでしょうか」

「この子に合う靴、それに日常に使うもの全て揃えてくれ」


まさかの呼び出しスタイル。

何それ、王族?

片田舎の貴族しかやったことないけど、貴族ってこんな感じなのか?


「すぐに手配致します」

・・・そっかーこんな感じなのかー。

何事もなく引き受けるバーバラさんすげぇ。


「あぁ、それとベニチェア行きの列車の手配を。買い物してからになるから今日の午後からでいいかな?」

ちらっと俺に目配せする。

「そうしてくれ。あとドライヤーがあると便利なんだが」

ヨルヨンの髪を乾かすんだ。



「ドライヤー・・・でございますね」



・・・あ。

ドライヤーも高級品だった!

火と風の二重付与。

速乾タオルの普及で多少手の届く所まで来たとはいえ、まだまだ高かったはずだ。

あの高級品に囲まれた生活をしたせいで感覚が麻痺していた。


「まだ持ってなかったのですか。丁度いいのでヨルヨンが持てるサイズの物を購入しましょう。それと毒無効とスキルキャンセルのマジックアイテムを。あぁ、購入したものが全て入る子供用の鞄も頼まないといけませんね」


うっはー・・・住む世界がちげぇ・・・。

毒無効とか貴族御用達の高級品見たことないわ。

「か、かしこまりました」

ほーら、バーバラさん震えてるよ。


その後も姿見鏡や日用品、可愛い布と毛糸、ついでにハンドクラフト関連のスキルアップの書も頼んだ。




バーバラさんと入れ替わるように給仕係のお姉さんが紅茶を置いていった。

「働いてる人、女性にしか会ってないな」

商業ギルド内をちらっと見た時も女性だらけだった。

「この大陸は元々女の人が多く生まれるんです。それに加えて数年前のメラニアでの戦争で男手が大陸を渡ってしまってね」

「あー戦争があると渡り料金安いもんねー」

戦争で人が少なくなった大陸に渡る時は安く、安定した先進国に行くのは高いのだ。

テオドールも各地をウロウロしていただけあって詳しいらしい。

ちなみにホール大陸からこの大陸に来るより、ホール大陸からアーステア大陸に行く方が安い。

戦争のこともあるが、田舎だからだ。



すぐにバーバラさんが商人を引き連れて戻ってきた。

「そうだ。誕生日プレゼントを渡していなかった。ここでの買い物は私からのプレゼントにさせてもらうよ」

「ドット兄様ありがとう。ヨルヨン、似合うものがあるといいね」

「はい!おにいさま、ありがとう」

心温まる光景だ。

俺も財布がもっと温かければ同じことを言ってみたい・・・。



最初は靴からだ。

「当店の最新モデルをお持ちしました」

礼服に合うフォーマルな編み上げショートブーツ。

磨き上げられた牛革が見事に黒光りしている。

そしてサイドゴアのショートブーツ。

サイドゴアとは伸縮性のない革素材のブーツの側面に、ゴム素材をつけて着脱しやすくしたものだ。

主に女性用でしか見たことがないが、編み上げの紐をいちいち結ぶよりかなり楽なはずだ。

こちらも黒色のブーツにゴールドのリボンが装飾されていて可愛らしい仕上がりだ。


「ヨルヨン、履き心地はどうかな?」

「はい!とても動きやすいです」

「そうか。では全部もらおう」

貴族の買い物怖い・・・いま値段聞かなかったぞ・・・。


次は収納カバン屋だ。

「と、当店の最新モデルにございます・・・」

黒と白のストライプのミニショルダーバッグ。

本体はストライプだが蓋のカバー部分は黒色で、フォーマルでもカジュアルでも使えるほどオシャレだ。

しかも100kg収納付き。

収納スキルは100kg以上は付与が難しいそうだ。


「おにいさま。これすごく可愛いです」

「良かったね。ではこれをもらうよ」


その後も女性であれば髪を美しく!と香料の入ったシャンプーとトリートメント。

子供の頃からのケアが大事なのです!と化粧水などの日用品も買った。



ドライヤーは筒にグリップを付けた軽くて不思議な形をしていた。

スイッチを押すと温風が出てくる。

「わー・・・マジックアイテムって不思議だな」

「これならヨルヨンでも使えます!」

ヨルヨンが側面の装飾を撫でている。

気に入ったようで何よりだ。



「こちらが毒無効の指輪とスキルキャンセルのハンカチにございます」

特に装飾もないただの銀の指輪に、ただの黄色のハンカチ。

「指輪とハンカチはそれぞれ3つ。指輪の1つはこの子に合うサイズをもらおう」

それ俺らの分もあるよね?

よく見たらトライドットの左手中指には同じ銀の指輪がはまっていた。


貴族ともなるとこういうことにも注意しないといけないのか。

まぁ食中毒にもならないって聞くし、便利そうだ。


次々に運ばれてくる高級品を値段を聞かずにどんどん購入していく。


「こちらがスキルアップの書でございます」

持ってきたのは【プレゼントにピッタリ!かわいいニット&クロシェのあみぐるみ!特典付録付き】と【大人から子供用まで。本革を使って、たったひとつのお気に入りを作ろう!レザークラフト入門。初回特典付き】だ。

ヨルヨンがいたから子供用の何かを作ると思われたのかな。


「あれ?ニット&クロシェ?」

「こちらはカギ針でニットのように目の詰まったぬいぐるみを編むためそう呼ばれています」

おお!とうとう対立するスキルが垣根を越えて書物を出したか。

見た目は相変わらず付録雑誌だけど、ちょっと楽しみだ。



あみぐるみ用と思われる柔らかな毛糸がモコモコと箱に詰められている。

レザークラフト用の本革も鮮やかな赤色から光沢のある青など、色付きまで入っている。

布も沢山あるが、中でもギンガムチェックという白地に柔らかな色で格子柄を付けた綿100%の生地が気に入った。



これ絶対パジャマにしよう。


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