表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第6章 出会いと船旅
46/101

準魔物

船旅5日目


あと2日ほどで港に着くそうだ。

「そろそろ海底ダンジョンの真上を通過するころですね」

フランシスが海面を見ながら呟く。

「海底にもダンジョンがあるのか?」

ノームの末裔働きすぎだろ。


海底ってどうやっていくんだろ。

今度テオドールに聞いてみよう。


「海底ダンジョンを通過する間は外に出ない方がいいでしょう。万が一にも魔物が出たら大変ですからね」

「そうだな、俺たち戦闘スキルないから」


スラスラと出てきた言葉に自分が驚いた。


今までは戦闘スキルについて話す時は、どこか自分の中に引っ掛かりがあった。

でも今は、身の丈を知ったような感覚だ。

人には得手不得手がある。


俺、大人になったなー。


「あぁ、違いますよ。魔石の奪い合いが始まるから大騒ぎになって大変ってことです」

あははと笑っている。

・・・そういえば上級ダンジョンでは浮浪者が目の色を変えていたな。



俺たちは船の中に引きこもることになった。




「・・・ディー、なんか揺れが激しくない?」

「・・・やっぱりそう思うか」


さっきから右に左に揺れるせいで気持ちが悪くなってきた。


「先生たちもどっかいっちゃうし。僕そろそろ吐きそうだよ」

顔色の悪いテオドールが「うぅ・・・」と呻いている。

やめろ!俺まで吐きそうになるだろうが!


「外の風に当たりに行くぞ。甲板手前なら外が嵐でも吹き飛ばされないだろうし」

俺とテオドールはふらふらと部屋を出て行った。




「「「おぉぉぉぉ!!!」」」

外に近づくにつれて男たちの声が聞こえてくる。

「今日、何か催し物あったか?」

テオドールと顔を見合わせる。



外を覗き込むと、空飛ぶ丸太が目の前を通過していった。



「ん?・・・は?」

よく見れば丸太はテラテラとヌメリながら動いている。

それも何本も。



ようやく俺はこれがタコの足だと認識した。



「うっわ!なんだこれ!」

「ーーーなんでここに!来ちゃいけない!」

外に通じる入り口に立っていたフランシスがこちらに走ってくる。


それと同時にべしゃべしゃと何か降ってくる音が外から響いた。


そこには無数の標準サイズのタコがうごめいている。

何故かこちらにめがけて器用に歩いて迫ってきた。



「うわぁぁぁ!キモイ!!」



俺は思わず叫んだがフランシスに引きずられるように船室の一つに逃げ込み、鍵をかけた。


「・・・なぜ出てきたんですか」

フランシスに静かに聞かれるが、これ怒ってるだろ。

「船酔いして・・・外の風にあたろうと思って・・・」

俺とテオドールは気圧されながら事情を説明する。


「・・・はぁ。準魔物が魔石に引き寄せられるのは当然でしょう。そのために君たちには部屋にいるよう言っていましたのに・・・」

やれやれと首を振っている。


準魔物?引き寄せられる?

「どういうことだ?」

フランシスが眼鏡をくいっと上げると、真っ直ぐに俺とテオドールを見据える。



「テオ君がノームの末裔であることは知っています」



何故・・・いつから・・・。

そうだ、フランシスは鑑定スキル持ちと名乗ったはず。

「・・・鑑定スキルか?」

「そこまでの詳細は見られませんよ。でも【ノームの祝福】はノームの末裔の固有スキルですからね」


ーーーーそりゃばれるわ!


「そうなの?知らなかった」

・・・お前は知っててくれ。




ずががが!と大きな音がして廊下が静かになる。

「よっと、先生いますかー?」

ドアが2回ノックされる。

「いますよー。クラーケンはどうなりましたか?」

外で暴れていたタコはクラーケンと言うらしい。


「船長さんが仕留めたみたいです。みんな干物にするぞー!って踊ってるー」

結構大きなタコだったからな。

食べがいがあるのだろう。



翌朝、すっかり解体されたクラーケンは甲板で干物として干されていた。

テオドールとエレナが間近で見せてもらっている。


「・・・何であいつがノームの末裔だって知ってて声かけてきた」

サイコ騎士の件もある。

このまま港に着いたら牢屋行き、という事態だけは避けたい。


「ノームの末裔についてどこまで知っていますか?」

「質問で返すなよ。俺の情報の前にそっちの情報寄越せ」

睨みつけても意味ないのはわかるが、気分だ。



「・・・宝玉の姫」



「は?」

「・・・知らないのなら、そのまま知らないでいてください」

そのまま遠くを見るように視線を逸らされた。

・・・なんなんだ。


「俺がノームの末裔について知らなくて、フランシス大先生は詳しいってのはよくわかったよ。で、俺たちをどうする?」

「どうもしませんよ。たまたま見つけて、お話がしたかっただけです」

ニコニコと人のいい笑顔を浮かべている。


「・・・ノームの末裔には魔石があるそうだな」

フランシスは笑顔のままだ。

「それについてですが、ダンジョンやその周囲にいる準魔物、つまり魔素に影響を受けた獣などは魔石に引き寄せられる性質があります。今回のように不用意にうろつけば命がいくつあっても足りませんよ」

思い当たることはあった。

テオドールを襲ったあの狼だ。


「・・・そんなの知らなかった」

「テオ君は知っているはずですが・・・いえ、もしや、・・・彼が何歳か知っていますか?」

少し焦った目が俺を見る。


「確か36歳だって言ってたな」


フランシスが目を見開く。

「なんと・・・ノームの末裔の寿命は500年と言われていますが、その精神面は6分の1と言われています」



つまり・・・あいつ6歳かよ!!



あー・・・いままでの行動に辻褄が合うわ。

「ふつうは100歳まで親元にいるそうですが・・・そうですか・・・」

何か勝手に想像してるようだ。

悲しげな顔でテオドールを見ている。


今、その親から呼び出されてる最中なんですよ。



ま、教えないけどな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ