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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第6章 出会いと船旅
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学ぶ喜び

フランシス視点

私はフランシス。

スキル【鑑定】持ちです。

12歳で戦場に行き、後方の情報収集部隊に所属していました。


しかし、私の国は戦争に負けてしまった。

戦争していた国に国土を、支援してくれていた国に国土の一部と国民を取り上げられてしまいました。


どうせ奴隷として生きるなら自由な奴隷がいい。


分断された祖国から逃れ、私はウォルトア大陸の孤児院兼奴隷商の【メルリオーネの奴隷商】に身を潜めました。

首に付けられた隷属の首輪。

戦闘スキルのない私は生きていけるのだろうか・・・。

幼い私は少し不安でした。



しかし私を待っていたのは・・・。



孤児院とは思えない書物の数々。

初めて見る様々な国の歴史。


温かな光の元で読む本は、なんと心躍るものでしょう。


読み尽くせないほどの本に囲まれ、私は学ぶ喜びを知りました。



(もう、祖国に帰ることはないでしょう)


ここでの暮らしに幸せを見出し、毎日新しい本に手を伸ばしていました。



しかし、働かざる者食うべからず。

そろそろ大人になる時期です。




20才を迎えた私は冒険者育成学校の教師となる道を選択しました。




「先生!毎日パネルじゃつまんない!」

戦闘スキルのある子たちは少しやんちゃです。

一応話は聞いてくれますが、実戦に出たいと駄々をこねています。


でもこうして訓練を積み重ねることで生存率が飛躍的に上がるのです。


一度のミス、そのせいで・・・どれだけ前線の仲間が帰ってこなかったか。



「先生!次私ね!」

褐色の肌と躍動的な筋肉がうっすらと付いた彼女は【エレナ】。

スキルは【ウィンドカッター】、近接戦を得意とするスキル持ちです。


「ではエレナ、はじめ!」

はぁぁ!と気合を入れてスキルを発動しますが、パネルはチョコレートのようにパキパキと砕けたり折れたり。


「エレナ、まだカッターの先端の鋭さが足りないようです。切るというより砕けていますよ」

「もー何でうまくいかないかなー」

戦闘スキルは訓練によって磨いてみないと、その真価はわかりません。


「エレナはまだまだ成長途中なので焦らず基礎を積んでくださいね」

この子供たちは戦場へ行くことなく、夢と冒険の世界へ羽ばたいてほしいものです。



「ねー先生、先生は彼女いるの?」

廊下でエレナに声をかけられました。

「いませんねー。スキルも顔もパッとしませんのでね」

「えーそんなことないのにー」

戦闘スキル持ちの親からは戦闘スキル持ちの子が生まれる。

そんな噂話が浸透し、血筋にゴミスキルを入れたくないのでしょう。

戦闘スキルでなければ結婚できないのが常識となっていました。


「じゃ、私が先生をもらってあげる!」

「それはうれしいですねー」

「あー信じてない」

「信じてますよーエレナが好成績で卒業して一人前になって私を迎えに来てくれるのを」

「お姫様みたいなこと言ってー」

お互い笑いあいます。


私はこの穏やかな職場で生徒たちを送り出すのが仕事です。

ずっと、続けて行ければ・・・そう願っています。




2年後、学校の受付カウンターの上には大きな熊が乗っていました。


首から血を流し、舌を出して絶命しています。


「先生!私一人前になったよ!」

褐色の肌には傷1つなく、その顔は笑顔に溢れています。


どうやらエレナは一人前の冒険者になったようです。


「そう、ですね・・・すごく・・・毛並みがいいです」

・・・熊と目を合わせてしまいました。

とても怖いです。



「そうなの!すごく毛並みがいいの!」


熊の暗い瞳と彼女の対比がとても眩しく思います。



彼女の笑顔につられるように私も自然と笑っていました。


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