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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第5章 上級ダンジョン
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魔王現る

2層の小部屋で魔物熟成させること1日。

とうとうこの日が来た。


そう、俺たちの作戦【魔王が出現して魔物が現れた!】の実行のためだ。


何匹か倒されてしまうかもしれない。

しかし、せっかく倒されるのだ。

どうせなら魔石となって思い出と共に持ち帰ってもらわねば。



「大変だー魔物だー」

テオが壁中に音の反響する通路を通し、そこに叫ぶ。

「もっと心を込めて言えないのかよ・・・」

「ちゃんとやってるもん、よし、行け!」

モンスターハウスと化した小部屋を壊し、魔物を浮浪者の居住区へのなだれ込ませる。


いくら浮浪者とはいえ命を奪うつもりはない。

このままパニックになり、地上に這い出したところで入り口を封鎖する。

そういう作戦だ。


だが・・・

「おい、あいつら動かないぞ、どうした」

浮浪者は魔物を見据えたまま棒立ちとなっている。

もしや魔素の影響で逃げられないのか?



「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」



突然立っていた浮浪者たちが叫びだした。


あ、これ凶暴化ってやつだ。間違いない。



次々と薙ぎ払われていくぬいぐるみ型の魔物たち。



ーーーー俺の可愛い傑作たちがぁぁぁぁぁ!




「くっ・・・テオ!プランBに移行する!」

「了解〜」

俺たちは次の作戦に移った。




男たちがペシャンコになったぬいぐるみが抱えている魔石を拾いあげる。


「・・・小さいが間違いない。俺のじいさんたちが言ってた通りだ」

そういって微笑む大柄の男。

「最下層のボスにはこの腕の礼をできずじまいだったが・・・これで俺たちは冒険者に戻れる」

肘から先の無くなった左腕を撫でる。


「しかし、なんでまた魔物が復活したんだ?おーいお前ら、何か兆候があったかー?」

「いや、あぁそういえば商業隊の護衛に隣町に行ってた連中が妙なことを言ってたな。なんでも初級ダンジョンに魔物が復活したとか」

「なに!本当か!」

「いや噂だよ。なんでもクロスレンチが全部討伐しちまったとかで、今はいなくなっちまったそうだ」

「チッまた商業ギルドの連中か」

ガヤガヤと小屋の中から男たちが出てきた。




洞窟内に低い声が響き渡る

『ほう・・・わが眷属を退けるとは・・・誉めてやろう』

「あ?なんだこれ」

『だがこの魔王【ドゥールバルト】を呼び覚ましたこと、後悔しながらダンジョンの土となるがいい!!いでよ我が最強のしもべ!!』

「おい魔王だって?」

「あ、奥から出てきたぞ」



ダンジョンの奥から現れたのは、素敵な花柄の刺繍を施されたエプロンを優雅に着こなすゴーストの【メイド】だった。



「よし!追い払え!冥途メイドエプロン!」

「ネーミングねー。刺繍はすごいのにネーミングだけはダメだねー」

俺たちは壁の中から浮浪者の一団を観察していた。


思ったより強かった浮浪者たちは俺のぬいぐるみたちをものともせず瞬殺してしまった。

そのためプランB、「魔王が現れてどんどん魔物をけしかけてくるぞ、逃げるんだ!」プランだ。



このために手触りのいい布をエプロンに仕立て、俺の故郷アペリティフの花畑を模した刺繍をふんだんに凝らしたエプロンを作成していた。

エプロンを纏うように黒い魔素が形作り、黒く長い髪を器用にまとめ、ハウスメイドのような服を着た魔物が出現した。


刺繍に使った鉱石の量から他の魔物より強いはず、と別室に隔離していたのだ。



「さぁ!行くんだメイドさん!」



俺たちはワクワクしながら見守った。


―――だが思わぬ事態に遭遇する。


浮浪者たちは連携を組んでメイドに襲い掛かってきた。


攻撃は躱され、死角から強烈な薙ぎ払い。

あっという間にメイドは黒い魔素をふわりとこぼしながら朽ち果てた。


後に残ったのは少し土のついた刺繍入りエプロンと他より少し大きい魔石だけ。

「よぉぉぉし!」

男たちが吠えている。

なんなんだあいつらは・・・。




「・・・まずいな。後はプランCしか残っていないぞ」

「それ、ただの逃亡プランじゃなかった?」

しかも魔王を名乗ってしまったからか、出てこーいとご指名を受けている。


「あんなに強いなんて聞いてないぞ・・・」

もう打つ手がない。

・・・いや、一つある。

俺が奴隷商で培ってきた経験が告げる。

取れるべきプランはもう一つあると。


「下も確認しておくか・・・」

男たちが3層への階段に歩み寄る。



「・・・魔王の出現と魔物の出現を報告すれば報酬がもらえるぞ」



俺の囁きが地上への階段付近でひっそりと反響する。

一瞬の静寂の後、3層への階段付近にいた男たちは入り口に勢いよく振り返る。


「おいお前ら!抜け駆けする気か!」「誰だ!勝手な事すんじゃねぇぞ!」と階段から離れていく浮浪者たち。


3層へ行く階段から人がいなくなる。

「いまだテオ!」

「わかってるよ!えい!」

掛け声とともに岩の壁が出現し3層への道が絶たれる。




『ふははは・・・今日のところは引いてやろう。再び会いまみえる日を楽しみにしているがいい・・・』

最大限の強がりだ。

だって浮浪者ですらあんなに強いとか聞いてない。




「今のうちにダンジョンを活性化させよう」

今回の騒動で少しは減ったとはいえ、そこは上級ダンジョン。

まだまだ影響の出やすい濃度の魔素が漂っている。

ダンジョン全体を閉鎖できなかったからテキパキ作るしかない。



「人もいなくなったことだし、ダンジョンリニューアル頑張ってくるよー!」

「じゃあ俺は魔物作りだな」




2人で1人前の魔王はせっせとダンジョンを整備していった。

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