武器と防具
「とりあえず武器と防具を新調しよう」
魔物じゃない狼相手ですら殺されかけたんだ。
もっと強い武器じゃないと今度こそ殺されかねない。
なんなら魔法付与された魔剣なんかあったらかっこいいじゃないか。
多少懐の温かい俺に迷いはない。
以前訪れた鍛冶屋へ向かう。
「既製品でいいんだ。俺で装備できるナイフか剣が欲しい。できるだけ距離を保ちながら戦えて、俺でも扱えて、長時間持ってても疲れないもの」
「要望が多いな。とりあえず、これ持ってみろ」
おっさんから鉄の剣を受け取る。
――と同時に切っ先がカウンターにめり込んだ。
「お前の筋力じゃゴブリンキラー以上は無理だ。研いどいてやるからよこせ」
毎日鍛錬してるのにな・・・。
俺はしぶしぶゴブリンキラーを差し出した。
「テオも何か武器買ったらどうだ?石つぶてじゃこの先きついだろ」
「んーいざとなったら土属性魔法で何とかなるよ」
ノームの祝福を攻撃目的に使うと強いらしい。
・・・だったらなぜ狼に食われたし。
「ほらよ、ずいぶんと血が付いていたがどうした?」
「あぁ、外で狼を倒したんだ」
「そりゃすごいな。それじゃそれはゴブリンキラー改めウルフキラーだな」
はははと武器を返される。
俺は代金に銀貨5枚を支払う。
ウルフキラーを装備した。
「あとは防具だな」
隣の防具が置いてあるコーナーに移動する。
俺の筋力では体を支えられる鎧は軽くないと持たない。
「軽いもの、軽いもの・・・軽くて動きやすいもの・・・」
くさびかたびらも考えたが、金属チョッキは結構重い。
俺のような非力な一般人が装着すれば2、3日で肩を痛めてしまう。
「なぁ、テオがくれた鉱石を刺繍するわけにはいかないのか?」
普通の鉄では糸はできても刺繍糸程度で強度はない。束ねて使おうとしてもぽっきり折れてしまう。
「やれるけど、この服を覆うほどの鉱石となると、強い魔物になるよ?」
金属チョッキがムキムキの魔物になる想像がついた。
「・・・そうだったな、却下だ」
「おっちゃん、ここって厚布の鎧って売ってないの?」
軽くてしなやか。剣も通さない上にかっこいいのだ。
「あれはスキルじゃない職人技だからな。数も限られるし、何より高いぞ」
「だよな・・・じゃあ皮の鎧」
昔ながらの鎧ではない。機能性に優れた作業着のようなものだ。その証拠に付属のヘルメットがよく似合っている。
「まぁ着てみろ」
勧められるまま装備したが、思ったより重く俊敏に動けない。
何より作業員な風貌が俺には似合わない。
「いつか自分の服に魔力付与してもらおう・・・」
当面はいつでも俊敏に逃げられるようにしていこう。
「テオは買わないのか?」
「せっかくディーが新しく縫ってくれたからね。それに多少の傷ならすぐに治せるし」
あれは多少じゃない!
まぁ防御力欲しさに皮の鎧なんて購入した日には街ゆく人の視線を独り占めできるだろうな。
イケメン作業員が歩いてるって話題になりそうだ。
「さて、忙しいから終わったなら帰れ。なんでも初級ダンジョンが復活したとかで武器も防具も注文が来てるんだ」
俺とテオドールは顔を見合わせにやりと笑った。
聞けば明日にも有志の先遣隊が出発するそうだ。
俺たちの初仕事がどんな風に評価されるんだろう。
俺たちも付いていくことに決め、明日に備えてサンサン亭の宿屋に泊まった。




