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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第3章 初級ダンジョン
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一時帰宅

「おーい、俺のお帰りだぞー」

「あー!ディー兄ちゃん!」

奴隷商の玄関で掃除をしていた弟分たちが駆け寄ってくる。


「兄ちゃんどうしたのー?仕事クビになったー?」

「違うぞ。兄ちゃんはとってもがんばったからお給料をもらったんだ。ドル爺は奥か?」

俺は弟分たちの頭を撫でると店の奥へと入っていった。


「なんじゃ小僧、もうクビになったのか」

「どいつもこいつも・・・給料のお裾分けだ。みんな変わりないか?」

「ふん、1週間も経たずに何かある訳ないじゃろ」


俺は色々あったよ!


命のやり取りをしたせいか、たった数日で精神がすり減っていたのがわかる。


「今日は顔を見に来ただけだ。今度は少し長めに働いてくるよ」

「ふん、金だけおいていくとは偉くなったもんだ。毎日肉屋から食材も届いとる。たまには作っていけ!」

ふん、と部屋を出ていくドル爺。


それは、ご飯を作って食っていけ、ちゃんと片付けまでしていけよ!というお誘いだな。

ついでに弟分たちの服が破れていないか見て行こう。




「いいか!ここでは自分のことは自分でやるんだぞ。できなくても泣いちゃダメだんだからな!」

テオドールに弟分たちがここのルールを教えている。

喋り方が少しドル爺に似ていて笑える。



弟分にテオドールを任せて食堂に行くと黄色い髪をした少年が忙しく調理をしていた。

「ニック、今日はお前が食事当番か」

「あ!ディー、来てたのか。ディーが肉の配達頼んでくれたおかげで毎日肉が食えているよ、ありがとう」

台の上には配達された肉が置いてある。

今日届いたのはベーコンのようだ。


「久しぶりに作って行けってドル爺に言われてな。手伝うことあるか?」

「はは、ドル爺の言葉で食べていけ!だね。そっちに野菜があるから皮むきしてくれると助かるよ」

そこには麻袋に入った色々な種類の野菜が置いてある。


この野菜から察するに、今日はコンソメスープだな。

俺は椅子に座ると包丁でジャガイモの皮をむいた。




「・・・俺さ、外に出て、この環境が恵まれてるって感謝しちゃったよ」

「ははは、なにそれ」

ニックが発酵の終わったパンのタネを台に並べながら笑う。


「いやほんとだよ。俺金持ちになったらここの弟分全員買い占めたい」

「ぶっは。やめとけって。ドル爺に「お前らは働けるように育ててるんだぞ!」って怒られるって」

善意で養いたいんじゃない。

ダンジョン内で生活する中で必要なものが足りなさ過ぎて、何人か引き抜きたいだけだ。


「特にニック、携帯食料1週間近く食ってるとお前を連れて行きたくなる」

先程から1人で50人分の料理を1人で作るハイスペックコック。

これでスキルを使ってないというのだから驚きだ。


「ははは、光栄だね。でも俺は旅するのは御免だな。ルミナ姉みたいに落ち着いた環境で働きたいよ」

確かに。まだ幼い弟分たちを暗いダンジョン内で生活させるのは忍びない。



「しょうがない。俺がここに通うしかないな」

ニックは笑顔でうなずいていた。



食堂での夕食。弟分たちがパンを分け合っている。

ニックの作ったパンは真っ白でふわふわだ。

俺が作ると発酵不足で膨らみが足りないが、ダンジョンで焼いてみるのもありだな。

あれを捏ねるのは良い鍛錬になる。

そしてじっくり煮込んだコンソメスープ。

ここに来てすぐのころはこれの匂いを嗅いでは懐かしくて泣き、味が違うと寂しさから泣いた。



「ディー兄、働いたの?お金もらったの?」

アルとミィが仲良くスープとパンを食べている。

「そうだぞ、兄ちゃんの初任給のお裾分けだ。今日はしっかり食べてくれ」

わーいと声が聞こえてくる。


テオドールからは1時間銅貨4枚、1日で銅貨96枚、つまり銀貨9枚と銅貨6枚を給料としてもらっている。

24時間計算だが、こいつの身の回りの世話もしているんだ。当然だろう。


あとは危険手当として、魔物退治の際は銀貨1枚を追加してもらっている。

布は必要経費ということで、その都度支給してもらうことにした。

「計算めんどいーもう僕が倒す?」とか言っているが、俺の取り分が減るから却下だ。



「ディー兄は何して働いてるの?」

ミィが頭をコテンと傾ける。



「そっ…それはな、ぬいぐるみとか、可愛いリボンを作って、気に入ったお客が付くのを待つんだ」



うん、間違ってない。お客(魔物)だけど嘘じゃない。



兄ちゃんスゲー!と歓声を浴びながら、夜は更けていった。



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