表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第3章 初級ダンジョン
20/101

魔物作り

「よし、魔物を作ってみよう」


翌朝、いや、朝なのかな。

すでに身支度を整えたテオドールが元気にこっちを見ている。


あれだけの土属性魔法を使ってもこの元気、きっと魔力量は相当なものなんだろうな・・・。

「あ、ディー。・・・え、もしもーし、二度寝しないでー」

再び眠りについた俺を揺さぶる。

環境が変わって熟睡できなかったんだよ・・・。眠い・・・。




1時間後、身支度と食事を終えると小部屋から出てダンジョン最下層の広間に来た。

「ほんっとに!絶対に弱い奴だからな!チンピラが棒で倒せるくらいの雑魚出せよ!」

岩の陰に隠れ、俺は叫んでいた。


「大丈夫だよーそれより僕だけだと失敗するんだってばー手伝ってよー」

困った様子で腰に手を当てて口をとがらせている。


武器はゴブリンキラー、テオドールはダンジョンの小石だ。

・・・宿屋で投げつけた椅子の方が攻撃力あったのではないか?



「失敗ってなんだ。まさか魔王召喚するような魔素が・・・」

「逆逆―。ぜんっぜん作れないんだよーほら」

そう言うと持っていた鉱石をこちらに放り投げた。


「うおおぉぉ・・・ん?あれ」

何も起こらない。


「うーん、僕って鉱石作るまでは上手にできるんだ。問題はその先、魔素を取り込んで魔物に変換される術式が足りないみたいなんだ」

苦手分野ってやつだろうか?

妹もファイヤーアローの投擲制御はうまくできても威力アップは苦手で練習が必要だって言ってたからな。



「欲望の渇きって術式なんだけど、要するに【これに入りたい!】って思わせる術を鉱石に入れる技術かな。魔素が一定以上入れば勝手に魔物になるらしいよ」

「なるほど大体わかった。それで俺が【欲しがる物】に変えれば魔物になる訳だ。ぬいぐるみじゃないといけないのか?」


「そんなことないよー剣とかでも行ける。だから鍛冶屋に協力者を探しに行くことにしたんだ。そのアドバイスくれた人の娘さんに、欲しいものっていえばぬいぐるみだよって教えてもらったんだー」



・・・あほだこいつ。なんで話の前半と後半を一緒にしたし。



「それで「鍛治屋でぬいぐるみ事件」が起きたのか・・・」

「事件ってなんだよー僕だって真面目にやってるのにー」


「もう面倒な事せず鉱石を磨き上げればいいだろ。こんなくすんだ見た目だから欲望がわかないんだよ」

「だーかーらー、そんなことできたら何年も苦労してないってー」

わかってないなー、と両手を広げるこいつにイラついてもしょうがないか。

こればかりは得手不得手があるんだろう。


「しょうがねぇ。で、どの鉱石を使うんだ?」

「小さければ弱いはずだから、これ!」

渡されたのは銀色で親指の爪くらいの小さな鉱石だ。


「うーむ・・・またぬいぐるみを作ってもいいんだが、あれは向かってくると怖いんだよな」

「あーそうだね・・・」

きゅー!と突っ込んできたリスを思い出した。

ちょっとかわいいけど、実際にやられると結構怖い。


「とりあえずどんどん実験するしかねーな。まずはリボンに刺繍してみるか」

そういうと鞄から裁縫セットと端切れを取り出した。


今回は道具屋でもらった布は使わない。裁縫セットに入っていた布の端っこを使う。

一般的な布だが、俺にかかれば上品なリボンに見せることだってできる。


長細く切った布の端を内側に折り込み、端から縫い上げていく。

縫った後に布をひっくり返すように縫い目を内側に入れてもいいが、今回はリボンだ。等間隔の縫い目もアクセントとなるよう、色の違う糸を使って縫っていく。


リボンができたら、次は鉱石の糸で刺繍だ。

今回は簡単に花の模様にしよう。それも超簡単なやつだ。

中心から外に向けて線を引くように花弁を縫うだけ。

5つの花弁の花を3つくらいバランスよく配置して、終了。



「ま、こんなもんかな。うちのチビ達なら欲しがるだろ」

「わーかわいいね。ディートハルトは可愛いものが好きだねー」

うちのチビが欲しがるって言っただろ。

大人の男がこんな可愛いの欲しがるわけないだろ、喧嘩売ってるのか?


「で、これをどうするんだ?」

「その辺りに投げよっかー。そのうち魔物になるはず」

アバウトだな。


ピラピラと出来上がったリボンを揺らす。

ポイっと投げるが、重さのないリボンは足元に落ちた。


「確認だが、ほんとに弱い魔物になるんだよな。ダンジョンで作ったから強い魔物になりましたとかなしだぞ」

「もー疑り深いなー大丈夫だってー・・・あ」

テオドールの視線を追うと、足元でリボンがふわふわを浮いていた。


「わー!はやーい!こんなすぐにできるなんて!」

この一言で確定した。

こいつの大丈夫は信用しない。絶対だ。


全力で岩陰まで走るとテオドールと二人並んでリボンを観察した。

ふわふわとリボンは浮かんでいる。よく見ると周りに黒い物体を伴って。


リボンを天女の羽衣のように体に巻き付ける黒い物体は、ぽわん、ぽわん、と時々地面を跳ねるように歩き始め、徐々に実体化していった。

出来上がったのはリボンをふわふわ纏った薄黒いスライムだ。


「スライムかなー。でも見た目が全然違うね」

「俺は初めて見るからどう違うかわからないけどな」


「あとは2~3日もしたらあの魔物に魔石ができるはずだから、倒そっか」



俺たちはこっそりと居住区の最深部の小部屋に戻っていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ