均衡の戦い勃発!!
王魔との戦いの後に、まさかの真敵が現れたのだった。
俺は牛角魔王。
まさか、俺と王魔との戦いの最中に現れたのが、俺達が倒すべき玉皇大帝。
それにカミシニの神となった楊戩だった。
しかしこれは好都合、一石二鳥か?
奴らを倒せば、この戦いは終わる。
終わるはずなのだが、この妖魔王である俺が、奴ら二人の発する潜在能力を前に怯んで動けずにいた。
姿は嘗て戦った二郎真君と楊戩。
しかし、その中身は完全に別者。
天界最高神と、カミシニの神。
「とんだ化け物だな・・・」
既に俺の体力は限界寸前。
戦えるのか?
すると俺達の前に、新たな神が降りる。
「あの方の邪魔はさせません。お前達は私が相手をしましょう」
「!!」
その者は、仙界最高の長。
西王母だった。
忘れていた。
この者の存在を。
忘れるには、あまりにも強大な威圧感。
あの二神だけでなく、この西王母もまた別格の力を持っていた。
「さて、邪魔にならぬようにゴミ掃除といきましょう」
くっ、来るか!?
「お前達相手にこの私が直接手をくだす必要はありません。この仙界の門番に任せるとしましょう」
「何っ!?」
すると西王母の足下から地面が盛り上がり、そこから何者かが姿を現したのだ。
「ウグォトオオオオオ!」
「!!」
その者は岩石に身体を覆い、起きあがる事に身体の岩が崩れ落ちていく。
そして、その中より煌めく輝きは、金剛石であった。
金剛石の身体を持つ巨人。
その者の姿を見た時、この俺だけでなく金剛魔王と玉面乙女が思い出したのだ。
奴が何者なのかと。
嘗て、地上界を支配していた七十二の魔王。
その中でも、最高の十魔王がいた。
俺は美猴王、蛟魔王、獅駝王、鵬魔王。
そして水廉洞闘族団の仲間達と一緒に地上界制覇を目指していた。
その中で、俺達を苦しめたのがこの金剛魔王だった。
俺達が総掛かりで戦い、勝ち取った勝利だった。
その金剛魔王が甦り、西王母の手下として俺達の前に再び立ちはだかるなんて。
沙悟浄に聞いた、孫悟空が仙界に入って見たと言う巨人の影の正体が、金剛魔王だったのだな。
「だが、俺達は退かぬ!この俺の前に立ちはだかる障害は全て突き抜けるまでだ!」
「ウゴォオオオ!」
金剛魔王が振り払う拳が俺に迫る。
俺は後方に飛び退けて躱すが、さらに追撃の如く迫って来る。
「父上を守るは俺様だぁー!」
紅孩児が牛角帝の鎧を纏い、剣を手に金剛魔王の頭上に斬りかかる。
「クッ」
が、その固さに弾き返される。
同時に剛力魔王が大剣を手に金剛魔王の膝に向けて斬りかかる。
「ウグッ、やはり、固い」
金剛魔王の硬度は、この地上界最高硬度。
金剛石と同等。
唯一の弱点は超高熱であるが、金剛魔王を覆うカミシニの障気が防御壁となって、直ぐに消失してしまい本体にまで届かない。
しかし何かおかしい。
そうか、金剛魔王はプライドが高く、誰の下に付く事も嫌う魔王だった。
それが西王母の下で門番等に身を置くなんて、あり得ぬ。
その答えは、あの金剛魔王は生きる屍。
西王母の命令にのみ動く獣。
誇りなどない只の傀儡なのだな。
金剛魔王は俺達に向かって、金剛石を石礫の如く飛ばして来た。
「クッ!」
硬度と、カミシニの猛毒。
受け止めるだけで、体力が奪われる。
俺は全ての石礫を、刀で受け止め、受け流し、防御をする。
紅孩児と剛力魔王も何とか堪えている。
ん?そういえば玉面乙女は何処に?
「!!」
その時、俺は金剛魔王を操っていた西王母の頭上から、玉面乙女が接近している姿を見たのだ。
「妾の義姉、サクヤの命を奪ったお前は決して生かしてはおかぬ!この妾の手で殺してやるわ!」
「愚かな。お前を甦らせてやった私に逆らって生きていられると思ってか?いえ、お前はそもそも忌眼を覚醒させるための仮りの器として甦らせた道具に過ぎなかった。もう用済みです」
西王母の放つ覇気に、玉面乙女の身体が弾けるように消し飛んだ。
「!!」
が、その姿は水の写し見。
本体は、西王母の間合いに入り込んでいた。
「ふるえ~ゆらゆらと。貫け、水球弾!」
水球が弾丸の如く西王母を襲う。
「このようなもの、私に通用するものか!」
「そうだと宜しくてね」
防壁を貫く水球は西王母の身体を傷付ける。
水球は回転し、まるでドリルのように壁を掘り、砕けると同時に新たな水球が次々と一点集中で貫き、貫通した。
「抜かったわ。かつて地上界を支配した魔王の中でも、謎多き力を持った水術最強の女妖怪。お前に若さを与えた事で、お前自身が無意識に抑え込んでいた本来の力が解放されたのだったわね」
「妾は、誰にも縛られぬ。誰の道具でもあらぬ。妾はもう自由。そう。妾は己の意思でお前を始末し、復讐する」
「飼い主に噛み付くとは、本当に妖怪は下賤よのぉ。誰に逆らっているのか教えてやろう」
西王母は掌を前後に振ると、無数の剣が出現して玉面乙女に向かって飛ばされる。
「ぬっ?」
しかし玉面乙女は向かって来る剣を全て紙一重で躱し、近付いていた。
「どういう事?何故、躱せる?しかも全て動きを読んでいるように思える・・・動きを読む?そうか、なるほど。どうやらお前には亡霊が取り憑いているようだな」
その言葉通りであった。
玉面乙女の瞳は紅色に輝き、そして水龍が身体を覆っていた。
「そう。妾にはサクヤが付いておる。サクヤが死ぬ前に、妾に与えてくれた。サクヤの力、サクヤの血。サクヤの魂をな!」
玉面乙女はサクヤ龍王の持つ龍神の血と、未来予知の龍眼を与えられたのだ。
そして今日まで、龍神の血を己の力として使いこなせるように修行をしていた。
「流石は地上界を支配していた妖魔王。サクヤ姉さんが信じてお前に力を与えた事はある。それに最高峰の水術師。カミシニの血を失った今、今度は龍神の血をも己の血と融合させて馴染ませたようだな。見事だよ」
それは蛟魔王の、お墨付きだった。
「西王母。妾がお前を始末する」
「・・・・・・」
どうやら、西王母は玉面乙女に任せて置けば良さそうだな。
なら、俺は目の前の敵(金剛魔王)を討つ。
「ん!?」
すると俺の前に紅孩児と剛力魔王が立つ。
そして俺に下がるように止めたのだ。
「父上は王魔との戦いでの消耗が激しいだろ。だから、あのピカピカの奴は俺様に任せろ!」
「私、戦う。奴、過去に、戦った。大丈夫」
どうやら俺は、今回の戦いは必要ないようだ。
なら、大人しく体力回復に努めよう。
玉皇大帝と楊戩。
西王母と玉面乙女。
金剛魔王と紅孩児、剛力魔王。
このいずれかの戦いの均衡が崩れた時に、万全の状態で戦えるようにな。
次回予告
金剛魔王と戦う紅孩児と剛力魔王。
しかし今の金剛魔王は、操られるだけの殺神傀儡だった。




