竜吉公主!己に刻みし誓い!
竜吉公主の結婚。
それは天国か地獄か?
私は竜吉公主
私は今、人生の土壺にハマった感。
最低最悪!
何なのですか?この状況は??
私は旦那となった洪錦と下界で二人暮らししていた。
と、言うのも天界の両親には顔向け出来ない相手だし、きっと許さない。
ゆ、許さないのはよいのよ?
強引に別れさせるなら、やってみなさいよ!
ただ、これは試練だと思っている。
この苦行は、恵まれた私への試練。
このような凡人の男仙と夫婦なんて。
笑い者よ!!
だから誰も住み着かないような土地で二人暮らしをして、誰にも知られずに生きる。
「おお〜!美味いなぁ〜!竜吉公主の作る食事は何を食べても頬が落ちてしまうぞ〜」
「な、何を言っているのよ!私は食事なんて出来たもんじゃないわよ」
「そうなのか?なら、たっぷりの愛が入っておるのかな?うむむ?ありがたい」
「ナッ!?」
顔面が熱い!
火傷しそうなくらい頬が火照る。
私は顔を背けると、口元だけが緩む。
この男は口が上手いのか!
詐欺師か!
たらしなのか??
それでも私の胸の高まりは止まない。
この感情は、分かっている。
怒りよ!
私の男運の無さへの激昂!
私は洪錦と散歩し、咲く花を見て、手作りの団子を食べ、そして手を繋ぐ。
「わ、私は何かまやかしの術をかけられているのか?」
「俺はそんな術は使えねぇぞ?」
「素直か!」
そして月日が経ち、どちからでもなく。
「ほ、本当に良いのか?いや、俺達は夫婦なんだから、いつかはとは思ってはいたが、いつも目が覚めては夢だった。けれど頬を抓ると痛いぞ」
「黙りなさい。光栄に思いなさい」
「俺は、お前を絶対に離さない。愛しているぞ!愛して愛して愛して!」
「だから!黙れ!」
「!!」
洪錦の唇が重なり合う柔らかい感触に押し当てられ、言葉が止まった。
そして真剣な顔で私を見て、そのまま押し倒して来たのだ。
朝、私は思い出していた。
初夜
甘美な言葉が私の脳をとろけさせる。
それにしても、この男は!
怒りがこみ上げる。
「お前はどれだけの女をたらしこんだのよ!何てテクニックを持っているの!何か敗北感が半端ないわ!」
「何を言っているのだ?俺は昨日まで童貞だったのだぞ?お前が俺を男にしてくれた」
「えっ?」
赤面して、もう何も返事出来ずに、ただニヤニヤしながら、彼に抱きついていた。
私は悟る。
名声も富も、容姿や家柄も関係ない。
本当に結ばれる相手と巡り合い、そのチャンスを逃さない者が真の勝利者なのだと。
幸せ者なのだと。
時は経ち、世の中は更に激しい戦争が止む事なく繰り広げられていた。
見て見ぬ振りをする。
今の幸せを満喫する人生の邪魔は無用。
だがそうはいかない。
私と洪錦は万仙陣の戦いに参加していた。
洪錦と共に陣内に突っ込んで数人の仙人を倒し、夫婦無双が広まった。
そんな時、この戦場で私は従兄弟の二郎神君とナタクを見かけたの。
二人は私が知る幼少の頃とは違い、逞しく、かなり腕がたつようになっていた。
「二人共よく育ったわね〜」
しかしそこで私は、彼らの近くで共に戦う神仙を見た時、突然全身が震えあがった。
な、何??
全身が凍りつく??
息が詰まりそうになり、私は意識が飛んで気をしまった。
目覚めると洪錦が心配そうに私を看病していた。
「どうしたのだ?誰にやられた?許さぬぞ!」
「ち、違う」
私はまだ震えながら、思い出していた。
「この戦場を任してよいか?」
「それは構わんが。もう敵軍には長けた神仙はおらんし、俺だけで十分だよ」
「ありがとう。私は父上に合わねばならない事が出来た。急用にな」
「何があったかは知らぬが分かった」
そして私は戦場を後にした。
しかしこの選択岐路が、私の人生を変える事になる。
金霊聖母が、この戦場に興味をもち、この地へと近付いて来ている事を知らなかったから。
迫る厄災とすれ違うように私は一人、天界の父上がいる崑崙城へと向かっていた。
私は到着するなり、閉ざされた通路を急ぎ足で向かう。
その通路は最高神。
始祖の血を保つ一族しか立ち入る事の出来ない道。
「また」
私は過去、幼い頃に一度、この通路を通った。
その事は父上も母上も、誰も知らない。
私が不用意に入り込んでしまったから。
そこで私は見てしまった。
父上の隠していた秘密。
それは今の世界を覆すほどの秘密。
破滅へと導く秘密。
私は今日まで、震えながらその場で見てしまった事を胸に閉まっていた。
「けれど、それは神民、いえ、全ての生きとし生けるもの全てへの裏切り。たとえ最高神である父上とて触れてはならない禁忌」
私は決意を胸に、確信のために確認しにきた。
父上、お願いですから道を踏み外す事だけは止めてください。
「!!」
そこで私は見てしまった。
しかし、そこには私が過去で見たモノは存在せず、何もなかったのかと思えるほどに。
けれどそれは移し替えたに過ぎないのか、或いはもうその場から解き放ってしまったのか。
「父上、何て事を・・・私はこの事実を世に伝え、裁かねばなりません!これは世界を震撼させる大罪なのですから」
私は城を出て、父上が滞在する部屋の扉を開く。
その場には、父上と母上が私の来た理由を知った上で、待っていた。
「父上!罪を悔い改めてください。貴方の行いは、今行われている下界の戦争など些細な事」
無言の父上に、代わりに母上が口を割る。
「竜吉公主、貴女は何も知らない。黙っていなさい。貴方の父は、間違いなど犯してはいません」
「母上も全てご存知でしたか?そうですか」
私はもう怒りの限界。
世界を総べる最高神の大罪を、子である私が止めずして誰が諌めるのでしょうか。
すると父上は私に真剣な目で答える。
「確かに私の行いは今の世界を裏切る行為であろう。しかし、猛毒も転じれば大薬になると信じて、私は世界を総べる最高神として判断したのだ」
「貴方の行いは世界を滅ぼす危険な思想。私が止めて見せます!」
「それはともかく、良いのか?」
「何の事ですか?話を逸らすのは」
すると母上は私に水晶を見せたのです。
その水晶には今、私が任されていた戦場が写し出されていた。
そしてそこには、
「そんなまさか!!」
戦場は私が救援していた軍が大敗し、相手の軍の中に一人の神仙女が洪錦の首元を掴み上げていたの。
(や、止めて!)
しかし彼女の手は洪錦の首をへし折り、そして片方の手刀で心臓を貫いていた。
「きゃあああ!」
私は取り乱すようにその場を飛び出し、下界へと急降下した。
「許さんぞぉー!あの女ぁああ!」
その神仙の名は金霊聖母。
私の接近に金霊聖母は気付くと、
「また新手。しかもかなりの強者のようね。面白いわ!かかってきなさい」
見上げた先に、怒り形相の私がの仇と襲いかかる。
天地か割れるような衝撃を受け止めた洪錦との一騎打ち。
凄まじい強敵。
「先に私が殺した虫けらの女ですって?ならば一緒に逝かせてあげるわ!この私の手で!」
そして私は、敗れて胸を貫かれた。
死を受け入れ、諦めた時、その魂は昇天した。
「!?」
昇天したはずの私の魂は、肉体を再生され、そして見知らぬ結界の中に閉じ込められていた。
「ここは何処?私は一体、どうなってしまったの?」
私は知る事になる。
私の身体は死の間際、天界の母上によって時の結界の中へと封印されていた。
この世界は同じ時を繰り返す世界。
抗い、抜け出そうとしても、全ての作業が繰り返す時の中に戻され消えてしまう。
死にかけた私の修復をこの結解でするつもり?
それとも逆上した私を閉じ込めているの?
「だ、出せぇ!出せぇー!」
結解に響き渡る私の叫び。
いつか、この世界から抜け出せた時、私は必ず誓う。
洪錦を殺した金霊聖母をこの手で討ち果たし、
そして父上の大罪を子である私が決着をつけるから!
次回予告
愛する洪錦を殺した金霊聖母への敵討ち。
しかし相手は俱利伽羅の王。
その誓いは叶うのか?




