私は背中を押しただけ
法子の参戦。
世界を滅ぼす紂王の最終兵器直前に、絶望的だった姜子牙と黄天下の戦いを左右するのか?
戦いを戻すわよ。
私は増殖趙公明を相手に戦っていると、私達の目の前で塵となって崩れていく。
何が起きたの?
けれど、その理由は直ぐに分かったわ。
上空を見上げると、空一帯に巨大な眼を中心に無数の瞳が幾つも出現したの。
そして巨大な眼の真下には、巨大な紅九尾の狐が咆哮していた。
「何あれ?九尾なの?」
同時に塵となった趙公明達の身体が吸い込まれるように上昇していく。
「あの九尾が増殖した趙公明の力を吸収しているのね」
「そうようね。何かビンビン皮膚に痛み感じるわ」
鉄扇ちゃんは金色の魔眼を最小限に使い、全身を守っていた。
他の皆も同じように身を守る事で、生存を許されたの。
この地上一帯、恐らくはあの何処まで広がっているか分からない無数の眼から入る視界の空間は、カミシニの血の領域。
神々、妖怪、その属性の者は命を削られ枯れるように命を奪われているに違いないわ。
このままでは間違いなく地上界はカミシニしか生きていられない世界になってしまう。
いえ?同属のカミシニすらもあの上空の瞳に見詰められると、その身が崩壊して吸収されていた。この新生殷国全土から広がっていく無数の紂王の眼差し。
「何なの?まさか自分以外根絶やしにするつもりじゃないわよね?」
「それならまだ可愛いもんだぜ」
私が孫悟空を見ると、続けて阿修羅が一番危惧している事を答えたの。
「あんな膨大な力を支えられるとは思わない。きっとこのまま地上世界の生きとし生きる者全てを吸収してエネルギーに変えて、けんかいにまで膨張させ・・・」
「地上、いや!天界まで吹き飛ばすつもりかもな」
私は孫悟空と阿修羅の予想を聞いて寒気がした。
まさか自分自身を糧にして世界を破壊するなんて。
何のために?
馬鹿なの?
「世界征服ならまだ可愛いわ。けど自殺願望で無関係な人達まで巻き込むなんて馬鹿げてるわ!しかも世界規模で」
私は皆を見ると、全員の消耗を見る。
「皆、まだ戦えそう?」
「そうだな。後、一発ってとこか」
この場にいる全員が恐らくそう。
いくら魔眼の力を最小限に使って戦っていたとしても、あれだけの増殖趙公明相手に戦っていたのだから無理ないわ。
一発
と、その時!
私は再び上空を見上げると、何かか飛び回っているのが見えたの。
「あれって、やっぱり!」
それは私達がこの戦地にくる前に天界の水晶で見ていたカミシニの二人だった。
この地上界で唯一、カミシニ相手に戦う戦士。
どうしてカミシニ同士で戦っているの?
仲間割れ?それとも他に理由が?
ここに来るまでは半信半疑だったけれど、戦場で戦う二人の姿を見て、ビビって来た。
あの二人は悪いカミシニじゃないって。
そう私の何かが伝えた時、私の、私達の取る行動は一つだけよ。
「皆!彼らを全面的にサポートするわ!」
「ぉおお!」
私は上空に広がる眼から放たれた高熱光線の中に飛び出していた。
(地上に落下する前に軌道を変えて自分の頭上へと集める!)
まるで太陽のように見える膨大な力の塊が頭上にあるのを感じて、
日焼けしない?
髪の毛チリチリならない?
何て考えながら、
「皆が私を庇って戦ってくれていたお陰で、私の力はまだまだ全開よ!」
私の瞼が開かれると、その金色の魔眼が解放されていた。金色のオーラが私の如意進行の中心に集まると、逆三角形の表示が「止まれ」から上向きの表示へと変わる。
「そっくりそのまま返してあげるわ!」
凝縮した力の塊は震えながら窪みが出来て膨れ上がった凸の頭から、頭上目掛けて大砲のように跳ね返されたの。
天を昇る光線が紂王の巨大な眼を貫通した。
同時に世界を覆う程の無数の眼が消滅しながら消えていく。
「ふぅ~よ。もう限界よ、私」
私は力が抜けて変化が解けると、私の鎧になっていた玉龍くんが麒麟の姿になって私を背に乗せて離脱する。
「お疲れ様です。法子様」
「あはは、ありがと」
けど私は背中を押しただけ。
後は頼むわよ?皆!
そしてカミシニの二人!
そんなこんな。
次回予告
ついに新生殷国の戦いの最終決戦
姜子牙と黄天下は紂王を倒して生き残れるのか?




