超絶なる九尾の妲己!
これは妲己の物語。
それは歴史上、最も激しき大戦の幕開けとなった。
我は妲己。
我は妖狐一族にて産まれし巫女じゃった。
永きに渡る先代より、尾の数は妖狐一族にとって至高の一物。
その尾1本に宿る霊力は並みの妖狐の数倍の力を持ち合わせ、2本、3本もあれば神族にも匹敵する。そして我は、その尾を産まれながらに九本持ち合わせていた。
赤子より全ての妖狐の民に崇拝され、この一族の希望と持て囃された。
さらに我の美貌。
誰が何と言おうと、振り向き様に鼻を伸ばし、その目を釘付けにする絶世の美少女なのじゃ!
だから物心ついた時には、我も自覚しておったよ。
我は特別なのじゃと。
「チヤホヤするのじゃ!我は妲己じゃ!」
誰も逆らえない。
むしろ自ら我のために奉仕を望む。
そんな我を妾にしようと企む蛮族には眼にものを見せてやった。
有り余る霊力が一度解放されれば山一つ塵も残さず消し去った。
いずれは地上界をも統べるのではないかと騒がれる逸材。
何一つ手に入らぬものはなかった。
そんな我の運命が狂ったのは、我が人歳で十六の歳を数えた時であった。
既に大国となっておった我の国が何者かの集団に襲われたのじゃ。
「身の程知らずのウツケども。その愚かな行為をその命で償うのじゃ!」
我が戦場に現れると、一族の軍兵が槍に貫かれて息絶えていた。
中にな尾が三本、四本の者もいたはず?
すると我の姿を見つけた曲者共がぞろぞろと囲むように集まって来た。
「不用意に近寄るとただではすまんぞ」
直後、我の九本の尾が光輝き、高熱を放ち敵共を焼き払う。
「最初から我が出向けば、一族の者達が無駄死にする事はなかったな。すまぬ」
が、我は信じられる状況を目の当たりにした。
それは焼き払い消滅したはずの曲者共がその姿を取り止め、まだ近付いて来るのじゃ。
その衣も鎧も消えたが、肌から見える血管が浮き上がり、その目は真っ赤に充血し、尋常ではなかった。
「不死身か?何なのだお前達は!」
再び高熱を打ち放ち、まるで高熱の剣のようにその体を貫くも、痛みを感じぬのか妾に向かってくる。
「ぶ、不気味だ。何故、死なぬ?」
すると、その中の一人が突如苦しみだし、その身が風船のように膨らみ、大量の血を撒き散らしながら破裂した。
「な、何事じゃ?何が起きている?」
見れば他の連中も同じく破裂していく。
まるでタイムリミットが尽きたかのように、目の前で消えていく敵共に、怒りよりも不気味に思えた。
(何か嫌な予感がする)
その直感を信じて直ぐにその場から立ち去るべきであったと後悔する。
目の前に襲いかかって来た一人が目の前で破裂して、その返り血が我に触れた。
「!!!」
その血の臭いに眩暈がした。
そして急激に霊気が失われていく感覚をおぼえ、魂が抜け出るような嫌な感じがした。
(ち、血か!?)
奴らの血が何か特別なのじゃ。
その血は妾の力を無効化し、命を削る。
「う、うぉおおお!」
気力で意識を保ち、魂を食い止める。
が、そこで我は力尽き倒れた。
(い、意識が、遠退く・・・)
身体を誰かに持ち上げられる感覚がして、宙に浮かんだと感じたところで我は尽きた。
どれくらい経ったのか?
妾は意識が戻ると同時に飛び起きた。
「!!」
そこは全く見知らぬ場所。
薄暗い部屋。
そして微かに霊気が抜かれる感覚がする。
「何者じゃ!我を連れ込み幽閉して鑑賞でもする気なのか?この美貌を持つ美少女の我だから、その気持ちはわからなくもない。しかし無理矢理連れ込むのは礼儀がなっていないぞ!どこのどいつじゃ!」
すると近くで物音がした。
(近くに敵か!?)
しかし我はそこで見た者達は、
「お、お主らは?」
そこには我と同じく捕らわれた少年少女達が震えながらその場にいた。
「貴女も奴らに捕まったのね。騒いでも無理よ。それに暴れて力を使うと命が削られるわよ」
「お、お主は何者じゃ?」
その娘は美しき髪の長い娘。
しかし頭上に見えるのは龍神族特有の二角。
「お主は龍神か??」
「そうよ。貴女は妖狐一族ね?私の名はサクヤ。貴女と同じように奴らに捕らわれたの」
「奴らは何者なのじゃ?」
「私にも分からないわ。しかし私の父、龍神族が黙ってはいないわ!必ず助けに来てくれると信じているから」
すると、妾達の話をきいていた別の少年が首を振って言葉をかけてきた。
「それは甘い期待だと思うぞ。娘達よ?儂らがいるこの場所は強い結界が張られているようだ。少なくとも内から外に連絡は出来ぬ。恐らくは外からも儂らの居場所を特定は無理だろうな」
「お主は何者じゃ?」
その者は唯一の少年じゃった。
「儂か?儂は姜子牙。仙道を極めるために修行しておったら、お主達同様に連れて来られたのだよ」
「何と!」
そして姜子牙が残る泣いている娘を指差して言った。
「因みにそこで泣いている娘も儂らと同じく連れて来られたらしいぞ。さっき名を聞いておった。玉面と言うそうだぞ」
「呑気じゃな?」
「そう見えるか?ただ慌てていても、この状況が変わらぬと思って無駄な体力を使うのが面倒なだけだよ」
「そ、そうか・・・」
変な奴だと思った。
後に妾と、その者達は死よりも辛い実験に使われる事になるのじゃ。
次回予告
妲己と攫われて来た他の三人の子供達。
これから何が待ち受けるのか?




