打倒聞仲!血染めの驟雨!
聞仲が兵を率いて動く。
姜子牙と黄天下は生き残れるのか?
私は姜子牙。
私と黄天下は聞仲を相手に死にものぐるいで戦っている。
既に聞仲の率いている千人以上残っている兵士達が一帯を囲み、逃げも隠れも出来ない状況でいた。
「せめて一矢報いる!」
「二人合わせてニ矢だ!」
聞仲の繰り出す剣を私は、打神鞭を伸ばした状態で雷を纏わせ、剣状にして受け止める。
そこに黄天下が間合いに入り込もうとするが、聞仲に接近する事は自ら命を狩られに行くような恐怖が襲う。
イメージトレーニングで幾度と繰り返した経験が無駄ではなかった。
あの経験が無ければしょ太刀で斬られていた。
しかし実戦は異常な集中力と消耗が激しい。
忌眼発動中も瞬きでもしたら次は無くなっているだろう。
それでも私と黄天下はイメージトレーニングで一度足りとも聞仲に勝てなかった。
しかし今は二人がかり!
既に私は四不象と聖獣変化をし、黄天下も倶利伽羅の力をフル活用している。
にも拘らず二人係で赤子の手を捻るような扱いで、格の差を見せつけられているのだ。
「この程度か?この程度であの趙公明が討たれるはずがない。お前達は何をした?」
「何をしたって言われてもなぁ!私にもよく、わからんわ!」
正直、私は意識無かったから知らない。
唯一、あの場にいた黄天下から聞いた話しでは、太公望が現れて倒したとか。
「時間の無駄であった。お前達の命は我が主、紂王様に捧げる贄とする」
直後、足下が揺れだして立っていられなくなった。
「な、何だ!?」
「地震か?姜子牙?」
「違う、聞仲を見ろ!」
それは聞仲から漂う強烈な存在感が地上を揺らす・・・
否!震えさせている。
「たまげたなぁ〜。どうだ?怖気づくか?黄天下?」
「この俺が真王になるための壁はこれ程高かったのだな。しかし乗り越えなければならない。それが俺の道だ!」
「それでこそ私が従属する王様だよ」
私と黄天下は雷と炎を纏い、聞仲に向かって攻撃を仕掛ける。
「お前ら如きでは俺を傷付ける事は勿論、近付く事も出来ぬ」
瞼を綴じ、聞仲は目を見開くと、
「!!」
突っ込んでいた私と黄天下は強い力で押さえつけられるように、地面に圧し潰された。
「じ、重力か!奴は打神鞭を使わずとも能力を持っていたのか!」
「くそぉ!う、動けねぇぞ!」
その時、紂王城から鐘が鳴り響いた。
「二度目の鐘か。約束の時まで、後一度。長いは必要あるまい」
聞仲は紂王との約束で、三度の鐘が鳴る前に決着を付け、二人の首を献上する事を条件に趙公明の魂を返上して貰う事になっていた。
だから敗北は勿論、必ずこの場で始末しないといけなかった。
「盾突いた事を後悔せよ」
うつ伏せ状態で動けぬ私達に向かって聞仲は二本の剣を頭上に向かって放り投げる。
それは重力の壁に触れと軌道を変えて急降下した。
私と黄天下に向かって。
「くそぉ!逃げられぬぞ!ヤバい!」
「ウゴぉおお!くそぉ!」
完全にまな板の上の鯉。
私らは何も出来ぬまま敗北してしまうのか?
イメージトレーニングで戦った聞仲を遥かに上回り過ぎて、成すすべないぞ!
そもそもこの場合の重力とは重さを与える能力。
今は聞仲が指定した空間全体に重さを与え、通常の数十倍?数百倍の重さを与えておるのだ。
力をフルに解放していなければ「ぺちゃんこ」だ。
しかも落下して来る剣は見た目では信じられないと思うが1トンはあるかも。
「くぞぉおおおお!!」
悔しく、どうしようもない状況に諦めが過った時、突然私と黄天下を圧し潰す重力が消えて解放されたのだ?
「な、何が?私らは助かったのか?」
「待て!姜子牙!何か変だ!何か嫌な感じが、俺の本能を震わせやがる」
それは聞仲も感じ、顔を青褪めていた。
そして振り向き、紂王城を睨む。
「ま、まさか!紂王様、貴方は!貴方って方は!!」
すると城を中心に真っ赤な血蒸気が空を埋め尽くし、そしてポタポタと雨が降り始めたのだ。
血の雨が!
「ヤバい!」
私は黄天下を自分の元に引っ張り、打神鞭を振り回して球体の防御壁を張る。
同時に聞仲も自分の周りに防御壁を張って身を守っていた。
この異様な感じのする血の雨から!
雨は一瞬だった。
通り雨の如き大雨が降ると、静けさが一帯を覆った。
その後、雨に濡れた兵士達の悲鳴が響き渡り、辺りを見回すと、兵士達が苦しみながら悶え苦しみ、溶解していく。
「も、猛毒の雨だったのか?」
「違うぞ!黄天下、アレを見ろ!」
「なっ!?」
私達の目の前で、地面から抜け出しながら出現する新たなカミシニ兵達。
数百?数千?数万??
しかも、その姿は信じられぬ事に全て趙公明の姿をしているではないか!
「う、嘘だろ?まさか趙公明の奴が化けて出てきたと言うのか?」
「しかもこの数は何なんだよ!まさか?さっきの雨が全て?」
私と黄天下、更に聞仲を中心に趙公明の集団が囲み、一歩一歩迫っ来ていた。
「聞仲だけでも手に余ると言うのに、何なのだよ!この状況は!」
が、この状況は聞仲にとっても意に反していた。
仲間である趙公明が聞仲に襲い掛かって来たのだ。
「姿形は我が友であっても、その中身は異なる。我が道を塞ぐのであれば容赦はせぬ!」
聞仲は趙公明達に特殊能力で重力の防壁で押し潰す。
さらに打神鞭に直撃させて内部破壊させた。
「な、仲間割れか?」
「そうでもなさそうだぞ!」
私と黄天下にも襲い掛かる趙公明達。
「くぅう!」
確かに強いが、私らの知る趙公明には及ばない。
察するに倶利伽羅の力を持たぬ第六仙血級といったところか?
「うぉおお!打神鞭!」
雷を込めた打神鞭が弧を描き、目の前の趙公明を両断させた。
「一体なら何とか倒せそうだ。しかしこの数は異常だ」
「姜子牙!油断するな!前を見ろ」
「えっ?」
私が両断させた趙公明の肉片が動き出したかと思うと膨張し、徐々に再生しながら趙公明が再生し、さらに両断した肉片の分だけ増えていた。
「う、嘘だろ?」
目の前に最強無敵の聞仲と、倒しても倒しても増殖する趙公明の大軍。
コレはもうどうにかなるレベルではないのでは?
その頃、紂王城では一人、紂王が自身の手首を切っていた。
その目は怪しく、口許は笑みを見せていた。
一滴、一滴と落下する血は床に落ちる前に消えると、その血は戦場の空から振った。
すると趙公明の姿をした傀儡が出現し、その場に生きる全ての者に襲いかかる。
「待ちきれなくなったよ。聞仲。大丈夫、直ぐに世界は覆われるよ」
増殖する趙公明は、無尽蔵に増え続けるだろう。
この新生殷国だけでなく、この地上を埋め付くほどに。
その血種は既に撒かれてしまったのだ。
次回予告
突如振った血の雨。
趙公明が増殖し、最強最悪の聞仲。
一体、この状況は?
法子「収拾つかなくなってない?これ?」




