始祖神??東華帝君!
金光聖母に仙界が滅ぼされるかに思えたその時、呂洞賓が覚醒した。
仙界を単身襲撃に現れた金光聖母に対し、その王たる器を持つ力の差に仙界が滅ぼされるかに思えたその時、地下の封印を自力で破壊し解放された呂洞賓が現れた。
しかし、その姿は誰もが知る呂洞賓とは別の存在になっていたのだ。
「今の俺なら、俺が何者なのか分かる」
呂洞賓の姿が凄まじい力を発すると、その力は目の当たりにする者達全てを震わせる程の者だった。それもそのはず。
紛れもなく呂洞賓の力は王たる器を持つ倶利伽羅の力を覚醒させていたのだ。
その姿を見た全員が、戸惑う。
「な、何者?」
それは呂洞賓であって、呂洞賓とは異なる。
雰囲気も、質も異なる未知の存在。
太白金星ですらも、その存在に敵なのか味方なのかも判断出来ずに警戒していた。
その中で、西王母のみが、
「まさか、お前が?お前が甦ったと言うのか?我が対なる者」
対なる者?
金光聖母が呂洞賓の登場に興味を抱き、そして指さして問う。
「まさか仙界にも倶利伽羅の器を持つ者が控えていたとは思わなかったぞ?しかし覚醒間もないように見えるが、それでは私様には到底及ばぬぞ?オマエ」
しかし呂洞賓は無視して黙り、そして西王母を見て答える。
「永らくお前に世を任せていたが、今より俺がこの世界を貰い受ける」
「何だと!」
それは下剋上宣言であった。
主であったはずの西王母に対して敵意を向けると、この世を引き渡すように告げたのだ。
「お前が甦ったからと言って、私の世界は私のモノだ!後からぬけぬけとほざくな!愚か者め!」
しかし呂洞賓は冷静に答える。
「お前は俺の手で回されていたに過ぎぬ。俺は待っていたのだ。今日、この日。この時を!カミシニとして再び甦る為に、そして前世の姿として復活するために永き時を待ったのだからな」
「何だと!?」
それは、この者がカミシニとして復活する為に、一度は人として転生する必要があったと言う事。そして西王母が世界を手中に収めるために動いていた事も全て計画の範疇として、その全てを最初から奪うつもりでいたのだと。
その為に使ったのが、弟子であった鍾離権の存在。
生前の弟子であった鍾離権に、自らの生まれ変わりを見つけ出し育て上げ、そして復活させるように仕向けていた。
「西王母よ、カミシニでも無く、始祖神のまま生き永らえていたお前では、決して俺には敵わぬ。殺しはせん。黙って俺の下で働けば良い。お前の集めた手下共々な?」
「くっ!」
悔しくも、確かに西王母は今の呂洞賓に対して勝ち目のないと理解していた。
横目で頼りの綱である玉面乙女を見るも、まだ意識を取り戻していない以上、逆らえば殺される事は間違いなかった。
「話しは済んだか?仲間割れは良いが、この私様を放置プレイとはなかなかの男だな?お前は!」
「そう言えばお呼びでない者が入り込んでいたな。忘れていた」
「生意気な!」
金光聖母は飛び出して、その豪腕で殴りつけるが、その拳は呂洞賓から発する倶利伽羅の力に弾かれたのだ。
「倶利伽羅同士の殺し合いとは、多少は私様を楽しませてくれるのだろうな?そろそろ良いだろ?お前は何者だ!」
すると呂洞賓は口元に笑みを見せると、自らの名を名乗った。
「冥土の土産に教えてやろう。我が名は東父王・東華帝君」
その名を聞いた時、この場にいる全ての者が凍り付く。
(だ、誰だって?)
あんまり知られていなかった為か、誰もその名にピンとは来なかった。
が、西王母と対する元始祖神であり、人として一度甦り、カミシニとして新たな生を受け、倶利伽羅の王であり、王の器なのだから、とりあえず半端ない事は理解した。
「この私様を相手にした事がオマエの運のつき。後悔しなさい」
しかし聞仲の師であり、最強の倶利伽羅である金光聖母を相手にその勝敗は?
金光聖母も目の前の敵に対して甘くは見ていなかった。
震えるような威圧感を全身で感じて胸踊らせていたくらいに。
「お手並みを拝見させて貰おうかな?元始祖神の男よ!」
すると金光聖母は掌から出血が噴き出すようにとびちると、浮遊する金色の剣に変わっていく。
「串刺しにしなさい。飛金剣!」
まるで豪雨の如く剣が向かって来ると、東華帝君は掌を横一閃に振るった。
手刀から繰り出された歪みが向かって来る無数の剣に同じ物量の剣を当て返したのだ。
「金丹火候青龍剣法」
それは呂洞賓が鍾離権より学んだ仙剣術であり、元はといえば東華帝君の奥義なのだ。
「やるの〜?ならコレならどうだ」
右手から噴き出す血が龍を生み出し、左手からは大虎を生み出すと、互いを交差させて東華帝君に向かって襲わせる。
「血断・竜虎如意!」
生きた龍と大虎が東華帝君に向かって襲い掛かると、東華帝君は手にした剣を振るうと濁流のように飛び出した青龍が向かって来る龍と大虎を飲み込み、互いに暴れまわりながら消滅した。
「やはり小手先では倒せぬか。倶利伽羅の器に選ばれた以上、遊んでかかると火傷しそうだわ」
そして両手に剣を握ると、東華帝君もまた同じく両手に剣を握って対する。
「女相手に本気を出すまでもない」
「その言葉、忘れないことね?この私様を他の女と一緒にするなよ」
互いの剣が衝突した時、
「!!」
互いに破裂するかのように消え散った。
互角?
互いに腕が痺れ合い、相手の顔を見てその目付きが代わる。
「良い獲物だ」
「狩られるのはお前だ」
二人の身体から浮き上がる龍の紋様が濃くなるにつれ、この場にいる全ての者達が目眩を起こして膝を付いていく。
そして遠く離れた新生殷国で、まるで二人の戦いが共鳴するかのように震え出す。
「こ、これは?何事だ!?」
張奎が目の前にいる趙公明に問うと、
「同じだ。お前と黄武虎が戦った時にも私達は同じ震えを感じたのだぞ」
「何だと?なら、これは倶利伽羅の器同士が交えていると言うのか?」
「恐らくな」
そして聞仲も震える血の騒ぎに胸騒ぎを感じた。
「まさか師匠か?相手は何者だ?」
そして、
「お、俺の右腕が変だぞ??」
それは黄天下が震えるように熱く高まる右腕を押さえつけていた。
「それは黄武虎が何かを感じているのか?何かが起きていると言うのか?」
「父上が教えているだと?」
「そうかもな」
物語は加速し始める。
この二人の戦いが、新生殷国と仙界の命運をかけた戦いになることは間違いなかった。
次回予告
物語は再び、姜子牙達の戦いへと戻る。
姜子牙達の前に現れたのは金光聖母の?
法子「えっ?まだ戦いの結末終わってないわよ??」




