ナタクの魔眼!?
突如、姜子牙の前に現れた天界の若者。
ナタクの輝く瞳は?
話は遡る。
カミシニが地上界と仙界に跋扈し、天界の神々は対応に踏み止まるしかなかった。何故なら、カミシニは神々にとっては天敵であり、その力が無力と化してしまうから。
それでも神々はカミシニに対抗する為の策を講じ、
模索しながらも遂にその手段を見付けたのだ。
「太陽神の加護を持った武器」
唯一、カミシニを相手に致命傷を与える事が出来る武器。
しかし神々にとっても太陽神は別格とされており、
その武器を手に入れる事は容易ではなかった。
それでも事は急を要する。
手に入れたのは加護を得た三千の剣。
三千もの剣を手に入れる事が神々にとってどれだけ大変かを例えるなら、その地に住む神々の税金が定期百年三十%上がるレベルであった。
つまりかなりの借金返済が必要なのだ。
えっ?何処に返済するか?
それは神様事情なので、詳しく説明する事を今回は省かせてもらおう。
そして三千の太陽剣を所持した武神の兵がカミシニ討伐のために出兵する事になった。
その総大将を任されたのが、中壇元帥ナタク。
ナタクは最高神により太陽神の加護を籠められた剣を手渡されると、三千の兵を引き連れ、地上界へと降りたのだ。
太陽剣の効果は確かにあった。
地上界に跋扈したカミシニ相手に連携を取り、その剣で討伐していく。
斬られたカミシニは体内から沸騰するかのように膨張し、消滅した。
これが転機になるかに思えたが、そう容易くなかった。
神軍にとってもカミシニは天敵。
傷を負わされ、その魔性の返り血を浴びたり触れたら、その身は力を失い、消滅してしまうのだから。それでもナタクの指揮の下、ついに人間界を支配し、
大国を築いた紂王の新生殷国に攻め込んだのだ。
そこで予想外の問題が起きた。
万能に思えた太陽剣がカミシニの身体に触れたにもかかわらず、
その力が失われて粉々に粉砕したのだ。
「!!」
その状況に天界軍は怯み、その後はカミシニ達に囲まれ餌食となっていく。
それでも総大将であるナタクは将として命尽きるまで戦おうとしたが、倒れ、意識の無くなった所を仲間の兵達が命を賭して、人間界に残していた転移装置まで運び天界へと連れ帰ったのだ。
三千もの神軍の敗戦は天界全土に広がる。
そして神々は已む無く決断した。
天界と地上界の境界線を閉ざす。
これで天界は救われた。
同時に地上界はカミシニが支配した世界へと変わっていく。
「ぐはぁ!」
敗戦後、ナタクは目覚めて直ぐに再び地上界に出向こうとする。
止める配下達の手を払い、傷付いた身体で戦場に出向く事は無駄死に。
「俺を信じ、生かしてくれた配下の分まで俺は戦わねばならぬ」
そして残った太陽剣を手にして思い出していた。
確かに太陽剣はカミシニに通用していたが、それは第一仙血、又は第二仙血と呼ばれる下等のカミシニ相手にのみ。
それ以上の力を持つ第三仙血以上のカミシニ相手には刃は肉を斬る事も出来ずに、他の神力同様無効化して脆く砕け散ったのだ。
「それでも俺は戦う・・・」
決意して武装したナタクが天界を出て行こうとした時、伝令が入ったのだ。
「俺は今から地上界に戻る。何者も俺を止められん」
しかし伝令班はナタクに告げたのだ。
「それが、天からの伝令なのです」
「何だと!?」
天とは、ナタクの父・毘沙門天からであった。
普段、父親から呼び寄せられる事は無かっただけに、ナタクは已む無く神殿に出向いたのだ。
場所は天界北方、水精埵の天敬城。
向かう途中、ナタクは困惑していた。
「この俺に父上様が何故?何を仰せになるつもりだ?」
そして神殿の王の間に付き、膝を付けて頭を垂れる。
すると玉座よりカーテンが開き、そこに毘沙門天が座してナタクを見ていた。
「来たか?ナタクよ」
「父上様、お久しゅうでございます」
ナタクと毘沙門天との間では確執があった。
何故なら、幼きナタクを実の父親である毘沙門天が手にかけようとしたと噂されていた。
二人の間に無言が続く。
「ナタクよ。再び地上界に出兵すると聞いた。本当か?」
「ハイ。生き恥晒すよりも、武神として最後まで役目を果たす所存」
「そうか。だがお前程度では無駄死にになるだけだぞ?カミシニ相手に瀕死の重体で運ばれた敗戦を忘れたか?」
「クッ」
何も言い返す事は出来なかった。
確かに無駄死にになる可能性はある。
それでも、せめて地上界を現在支配している紂王の首を取れればと考えていた。
一矢報いる事が目的。
「お前の太陽剣はカミシニの上位種には役に立たぬと聞いたぞ?どうやってカミシニの王を討つつもりだ?」
「・・・」
打つ手は無かった。
そもそもカミシニ相手に有効な手立てが他にあるのか?
そう考えた時に、毘沙門天はナタクの心を読んでか答えたのだ。
「覇王エデンを討ちし者達の持つ魔眼の力。その力はカミシニに通用するのであろう?」
「何故、それを!?」
ナタクはその事は誰にも語ってはいなかった。
ナタクには人間の少女が引き連れたお供と共に不思議な魔眼を持ち、その力はカミシニの血に対して有効なのだ。
「この私が何も知らぬと思っていたか?」
「・・・・・・」
毘沙門天は別名・多聞天。
この天界で起きた事で知らない事は何一つないと言われていた。
そしてナタクは帰還して、目覚める間に天界で何が起きたかを知らされた。
魔眼を持ちし人間の少女とお供達は今、毘沙門天の敷地内にて監禁、と言っても雑な扱いではなく外に出られないようにされている事を。
その理由は今件のカミシニが世界に跋扈した理由に関わっているとか。
「ならば私がもし紂王を討伐出来た際には、あの者達を解放させてください」
「ほぉ?お前が他人に興味を持つとは珍しいな」
「・・・・・・」
また暫く間が出来、毘沙門天は答えた。
「良かろう。但し今のお前では力不足であろう?ならばこれを受け取れ!」
「そ、ソレは!」
すると毘沙門天の広げた掌から金色に光り輝く塔が出現したのだ。
「如意黄金宝塔」
すると毘沙門天は印を結んで唱えると、その如意黄金宝塔が粉々になって粉砕し、神々しい光が辺り一体を覆った。
「ウォおおおお!」
同時にナタクは己の眼に熱い力を感じて、その瞳が眩しく光り輝いている事に気付く。
「こ、これは?」
「お前の魔眼だ。幼少時に俺が預かり今日まで所持していた。それを今、お前に返そう!そしてその力を使い、カミシニの王を討って来るが良い!」
「!!」
ナタクは頭を垂れ、感謝する。
それはナタクにとって信じられなかった。
何故ならナタクは父親に愛されていないと思っていたから。
己の事は道具と思われ、自分自身も道具として使われたとしても、その歪んだ繋がりを支えにしていたからだ。
「このナタク!見事、その役目を果たして参ります」
そしてナタクは単独、新たな力を手に入れ地上界へと降りたのだった。
次回予告
姜子牙の前に現れたナタクの目的は一体?
法子「ズルい!ナタク~」




