黄飛虎と姜子牙
黄飛虎なるカミシニは異常な力を持つカミシニだった。
その黄飛虎が姜子牙の目の前に?
私は姜子牙。
うむむ。
とんでもない場所に出くわしてしまったぞ?
しかも逃げ場なさそうだ。
この付近を旅していた時、翼を持った四体のカミシニ(王魔と四聖達)が飛んで行く姿が見えた。そこで興味本位で接近し、離れた場所からその行動を観察していたのだ。
私の地獄耳から飛んで来た連中は力の強いカミシニの勧誘らしく、二人連れのカミシニが足を止められていた。
が、私はその場から目を離せなくなった。
四体のカミシニ連中は恐らく第三仙血の実力者だと察した。
だがしかし相手はそれ以上の化け物だった。
「何なのだ?奴は?」
四体の第三仙血を拳のみで撃退した挙げ句、その後に現れた別の三体のカミシニ連中をも相手にせず返り討ちにした。
「まさか?初めて見た。アレが?」
それは私が今まで苦戦して来て戦っていた第三仙血を上回る第四?もしや第五仙血と呼ばれる上血種なのか??
「桁が違うわ。ありゃ!」
今の私が何人がかりで倒せるのか?
策をこうじて倒せるものなのか?
少なくとも今の私では無理だ。
そこで音を立てずにその場から立ち去ろうとした時だった。
「さっきから俺を見ていたようだが何用だ?奴らと同じく勧誘か?それとも他に何か目的があるのか?」
「い、いつの間に?」
あの化け物が私の目の前に飛び出して来て道を塞いだのだ。
まずった。
完全に油断して接近しすぎたようだ。
カミシニは気の察知が出来ないはずだぞ?
どうやって私の居場所を知ったのだ?
「わ、私は奴等とは何も関わりもないぞ!お前になんかも関わりたくない!道を退いて貰おうか?私は旅を急ぎたいのでな?さらばだ!」
そして顔を伏せるように立ち去ろうとしたが、私は動けなくなった。
この男から発する威圧感で足が竦み、今にもその場にへたりたかった。
「まだ話は済んでないぞ?お前?う〜ん。何か気になるのだ。俺の過去で関わった事がある者か?」
「何だと?」
「俺は昔、この地上で戦争を起こして戦死したはずなのだが、気付いたら再び甦ってピンピンしているではないか?それどころか力が生前よりも漲っているようにも思える。お前は何か知らぬか?俺の事?どうやら生前の記憶が断片的で殆ど思い出せぬ」
「そ、そうなのか?」
私は口を合わす事にした。
「残念だが、私は人間だ。お前達カミシニは聞くに何百年も前に名を残した伝説の武将らしいぞ?私の寿命など良くて百年、しかも実質十六年しか生きてはおらぬ。お前と私とは縁もゆかりもないぞ」
「ふ〜ん」
何か納得していない様子だった。
「お前、そのわりにはやけに詳しくな?人間にしては?」
「こう見えてもお前たちカミシニが突如人間界に跋扈したせいで、大昔の事を知って学んだのだよ。私は勉強家でな」
「なるほど。そうか、なら俺はお前を手元に置いておきたくなったぞ」
「はっ?」
な、何を言っておるのだ?
このカミシニは??
「俺の名は黄飛虎。俺は今の世の事を何も知らん。だからお前が俺に教えるのだ。この世がどうなっているのか?カミシニとはそもそも何なのか?俺は何者なのかをな」
「な、何ですとぉ??」
コレはどういう状況なのだ?
まさかカミシニを滅ぼすために旅をしている俺が、カミシニの手下になると?
家庭教師みたいなものか?
「俺は生前何者であったのかを知りたい。どのような最期を遂げ、どうして甦ったかを知りたい。その為に俺は天下と共に旅をしながら過去に俺達が生きた文献等を調べたが何一つ残ってはいなかった。完全にお手上げ状態だ。それをお前に調べて貰いたい。出来るか?」
「あの〜?私に拒否権は?」
「そう恐れるな。俺はお前を取って喰うつもりは毛頭ない。どうだ?もしお前が俺の言う事を聞くならば俺もお前に何かしてやろう」
「取り引きですか」
そこで私は考えてみた。
私自身、カミシニについて知らない事は多々ある。
身近でカミシニを調べる事が出来るのは私にとっても得ではないか?
それに弱点なんかも見つかるかもしれんしな。
「しかし名前だけで生前を調べられるものなのか?」
それは恐らくカミシニが現れる前に蛇神の化け物が跋扈し、各地の人間の城を滅ぼしたとか聞いた事がある。そのお陰で歴史書や書物等は残っていないとか。
「お前のは出来ぬのか?」
「うむむ。私にその願いを叶えられるかわからんぞ?いや?待てよ?」
私は思い出した事がある。
私らがいる地上界には人間以外に神族も滞在していて、カミシニとの戦争で滅びた神殿があるとか。人間の城と違い、何かしら情報が残っているかもしれん。
「無駄足になるかもしれんが、もしかしたら調べられるかもしれん」
「本当か?それは有り難い」
「待て待て!慌てるなよ?万が一、その場所に行って何も見つからなくとも私を殺すなよ?良いな?」
「あはははは!良かろう。協定中は俺はお前を殺さない。お前を他のカミシニからも守ってやろう。どうだ?」
「そ、そうか?本当だな?」
カミシニである以上、いずれ戦う運命にあるかもしれんが、協定中は私にとっても都合よく使わせて貰おう。
「分かった。二つ返事で協力しよう。お前は俺を殺さない。そして俺もカミシニについて知りたい事は多々ある。それをお前で調べさせてくれ!」
「了解した」
「・・・即答だな?迷いがないのか?」
「ふふふ。何だろうな?お前は信じられると俺の直感が告げるのだ。悪い事にはならんだろう」
「そ、そうか?」
カミシニに信用されるとは思わなかった。
そして互いに手を握りしめたのだ。
「父上?こんな奴、足手まといでは?」
「ぬっ?」
私は黄飛虎を父親と呼ぶ自分と同じ歳くらいの若者に気付く。
「そう言うな?天下!それよりお前達、挨拶はしろ!」
「俺は黄天化だ!父上が言うなら仕方あるまい。宜しく頼むな?」
黄飛虎と黄天化だと?
「私の名は姜子牙だ」
そんな経緯で私は倒すべきカミシニと共に旅をする事になったのだ。
次回予告
黄飛虎と黄天化と旅をする事になった姜子牙。
目指す先は神族が地上に残した廃墟。
真実は見つかるのか?
法子「あんまり新キャラ登場すると私の出番が遠のくじゃないのさ~」




