姜子牙の旅立ち!大上狼君の戦い?
姜子牙と大上狼君の前に現れたカミシニの襲撃。
太上老君と姫伯邑考の戦いが始まる。
うぉっととととと!
私は姜子牙だ。
修行中の私達のもとに現れたカミシニ姫伯邑考の襲来。
大上狼君が神界最高の王のみが持つ事を許された七星剣を手に迎え討つ。
「お前を始末し、王たる証であるその七星剣を我が手中に収めよう」
「返り討ちにしてやろう」
強気な大上狼君はその時、私の顔を見て何かを伝えていた。
「えっ?この戦いを目に焼き付けておけと言うのか?」
それは直接脳に伝わる念波だった。
カミシニとの戦い方を見せてくれると言うのか?
今後のために?
なら、お手並み拝見といこう。
だから必ず勝ってくれよ?
大上狼君よ!
そうでなければ私が殺されてしまうからな・・・
姫伯邑考は威厳に満ちた雰囲気で剣を向けていた。
何か本当に王様のように見えた。
「俺は狩りに時間はかけぬ」
剣を振り払い接近すると大上狼君は上空へと飛び上がり躱し、片手に集中させる神気と妖気が融合させた気功波を放った。
「砕け散れ」
大地が揺れる程の威力。
直撃したら大地が陥没して原型を保てぬ破壊力だぞ?
さらに凝縮させた巨大な気の球体を続けざまに投げつける。
しかし姫伯邑考は怯む事なく剣を構え振り払うと、球体は斬り裂かれながら急速に消えていく。
カミシニ相手にはどれだけ強い気だとしても、全て通用しないと言うのか?
すると今度は冷気を込めて上空から氷柱を出現させて落下させる。
姫伯邑考は氷柱を躱し、砕きながら叫ぶ。
「何の魂胆だ?時間稼ぎにもならんぞ!それとも策でもあるのか?」
しかし大上狼君は無言だった。
まさか策があるのか?
何か攻略法があるのか?
それを私に見せてくれるのか?
「ふぅ〜」
大上狼君は手にした七星剣を横に構えると、その力に集中させる。
「銀河の煌きが星をも砕く」
そして突進するように姫伯邑考目掛けて落下して来ると、斬りかかる。
しかし姫伯邑考の余裕は変わらない。
「少しも恐れる事はない。家畜が肉食獣に襲いかかるようなものだ!」
互いの剣が衝突して凄まじい揺れが私の足下を崩し出して、慌てながら安全地帯に逃げた私は二人の戦いを見上げた。
「な、何か変だ・・・」
とても違和感を感じた。
それは大上狼君の戦い方だった。
戦うにつれて、消耗が見て取れたから。
最初こそ凄まじい神気で攻撃していたが、姫伯邑考と交わり、衝突する事に削られていくように見える。あのような戦い方で本当に大丈夫なのだろうか?徐々に力負けしている大上狼君に私は不安が過ぎる。
「クッ!」
姫伯邑考の斬り込みに大上狼君は弾き飛ばされ後方の岩に直撃すると、追撃の一撃が眼前に迫る。
「氷狼の咆哮」
開いた口から吹雪が吹き荒れて行く手を阻むも、姫伯邑考の突き出した剣が胸を貫く。
「ぐはぁ!」
吐血と同時に大上狼君の生気が吸い出されるかのように失われていく。
どうなっているのだ?
私にカミシニとの戦い方、攻略法を教えてくれるのではないのか?
その時、私は飛び出していた。
「止めろぉー!」
飛び込んだ私に姫伯邑考は雑魚を相手にするかのように指先から血球を飛ばした。
「虫けらに用はない」
「!!」
けれど私は向かって来る血球が止まって見えた。
決して遅いわけでもなく、恐らく矢の如き速度に違いない。
それでも集中力の成せる業なのか?
止まって見える血球を摺り抜けるように接近し、ありったけの拳で油断していた姫伯邑考の顔面をぶん殴り飛ばしたのだ。
「ぐわぁあ!」
そして力尽きるように倒れる大上狼君を抱きとめると、苛立ちをぶつけた。
「何しているのさ!あんたなら、もっと戦いようがあっただろ?何で無様な戦い方しているんだよ!そんなの見せられたって、何の役にも・・・役にも?」
その時、初めて大上狼君の意図が分かったのだ。
「まさか、あんた?」
全て察したのだ。
カミシニ相手に神族は無力。
それどころか足枷になるって事。
私は仙果を食らって力を得るつもりでいた。
しかしそれは人を捨てて神に近づく事でもある。
私がこれから戦う相手はカミシニなのだ。
つまり神ではカミシニには勝てない。
人の身である事の方が戦えるのだ。
それを大上狼君は身を以て教えてくれたのだ。
神の力は通じず、その障気に当てられただけで体力は消耗し、血に触れれは生命力が削られる。
今見た全てが敗北の方程式。
たとえ強大な力を持って戦ったとしても、天敵相手には無力なのだと。
すると顔面を殴られた姫伯邑考が立ち上がり、
怒りを込めて私に剣を向けたのだ。
「雑魚が、許せぬ!」
「こうなったら私が戦ってやるよ!やれば良いのだろ?やってやるよ!」
その時、私の変化に姫伯邑考の動きが止まる。
「何だ?お前のその目は?何だ?お前のその臭いは?何だお前のその障気は!」
私には今、変化が起きていた。
全身の血が沸騰したかのように湧き上がり障気を発して、その右眼が銀色に光り輝いていたのだ。
「まさかお前のその眼は?い、忌眼なのか?カミシニの王たる眼をお前如きが持っていると言うのかぁー!」
何を言っているか分からなかった。
しかし私は感じていた。
全身から込み上がる異様な力の流れ。
血流を通して自分自身が別の何かに変わっていく瞬間を。
すると朦朧としていた大上狼君が私に向かって説明した。
「その眼こそお前を人であって、カミシニの力を与える忌眼。奴らカミシニを殺せる力だ!」
私は全て理解した。
私が人でなければならない理由。
私が戦わねばならない理由。
この片方の眼に宿る忌眼がその宿命。
直後、私は飛び出していた。
「ぬぅわああ!」
姫伯邑考は向かって来る私の拳を剣で受け止め、近付かせないように抵抗するが、私の豹変した動きと鋭い攻撃に翻弄される。
「おのれぇー!」
直後、握られた剣が粉砕した。
「ま、まさか!?」
死を覚悟した瞬間、私もまた膝をついていた。
目眩がする?
身体中が悲鳴をあげている?
まさか限界か?
その状況に大上狼君は焦りを感じる。
「まだ忌眼を完全に使いこなせてはいなかったか。やむを得ない」
その時、姫伯邑考は好機と動けぬ私に襲いかかろうと近付いて来たのだ。
「宝の持ち腐れのようだったな?お前の眼を刳りぬき、俺が頂戴してやろう」
が、姫伯邑考の消耗も激しく、その(・・)攻撃に抵抗出来ずにいた。
一瞬だった。
立ち上がった大上狼君が飛び出すと七星剣を姫伯邑考の胸に突き刺したのだ。
「七星の光に焼かれろ!」
「ぐぇええええ!」
姫伯邑考の内部から光が皮膚を破り、突き抜けた。
発狂と悲鳴をあげながら姫伯邑考は後退しつつ、胸に突き刺さった七星剣を抜いて叫ぶ。
「この剣は餞別に貰う!俺はこのような場所で死んでたまるか!この身が再生した後、必ず復讐してやる!その日まで震えながら生きるのだな!あはははは!」
そう言うと、姫伯邑考は飛び出すようにして山頂から飛び降りて私達の前から逃げたのだ。
撃退出来たのか?
私は朦朧とする中で、大上狼君が動かずに倒れている姿をみて這うように近づくと、涙を流して叫んだのだ。
「おい!死ぬなよ!おい!まだ私には教わる事は沢山あるだろ?私一人にカミシニを任せて死ぬんじゃねぇーよ!」
すると大上狼君の身体は狼の姿となり、彼を中心に覆うように凍結していき、まるで氷の棺に閉じ込められた。
いや?これはまさか?
「そうか、自らの能力でカミシニの侵蝕から肉体の消滅を止めたのか?」
大上狼君はカミシニの血に侵され動けない身体を氷の棺に封じる事で時を止めたに違いない。
「なるほどな。あんたを救うためにはあのカミシニを始末し、奴の血の呪いを解けと言うのだな?全く自分自身を人質にして私を逃さずに働かすつもりだったのか?そんなんで私が言う事聞くとでも思っていたのか?何とか言えよ!こらぁ!大上狼君!!」
棺の中で何も答えない大上狼君に私は溜息をつき、呟く。
「あんたの口から聞き出すためにはあのカミシニを始末しなきゃならないな。仕方ない。道のりは長いが待っていろよ」
それから私は怪我が治り、動けるようになった後、残る修行を自主的に行い、そして我流で磨き上げた。
「あの姫伯邑考って奴はカミシニの中でも上級らしいからな。手始めに実戦で下級の連中から倒して腕を磨いていけば、いずれ辿り着けるはずだ。まぁ〜何とかなるだろう。こう見えても私はカミシニを終わらすために生まれてきたようだからな」
姜子牙、十六歳。
たった一人の私の戦いが始まったのだ。
次回予告
一人旅立った姜子牙が向かった先は、妓楼?
男の戦いが始まる。
法子「はっ?何?それ?」




