牛角魔王の葛藤と勝闘(かっとう)??
法子達一行は仙界にて分散されてしまった。
そして、仲間達も今、カミシニの力を持つ八仙によって襲撃に合っていた。
俺は牛角魔王。
俺の前に現れたのは八仙の鍾離権、呂洞賓であった。
奴らは俺達に対して臆する事なく正面から現れた。
すると腰の鞘から貫く剣を抜き、その足が地から浮くと同時に斬り掛かって来たのだ。
その動きは突風!
気付いて振り返った時には背後から剣が振り払われ、俺の首筋に迫っていた。
「ぬっ!」
俺は本能で身を躱して避けると、鍾離権の突き出したニ撃目が俺の眼前に迫る。
「抜刀!」
俺は鞘から抜刀した剣で弾き返すと、その場で踏ん張り抜刀の斬撃を繰り出し反撃した。
俺の剣は空を切り、まるで霧を斬った感触だった。
「仙界にもこれ程の猛者が存在していたとは」
天界、地上界の猛者と戦い、蛇神の戦士とも死闘を繰り広げて来たが、今まで戦って来た猛者とは違う。正直言えば、やりにくい。
仙術を使うと言えば孫悟空やナタクも同じだが、それでも力と力のぶつかり合いにはなる。
しかし今戦っている鍾離権(しょうりけんの剣術は、虚を突き、戦わずに相手を斬る剣術なのだ。そして俺と共に戦っていた万聖龍王も苦戦していた。
大槍を振り回して接近を阻んでいた。
「ウォオオオオオオ!来るなら来てみやがれ!」
万聖龍王と戦っているのは八仙の呂洞賓。
コイツも仙闘剣術を使うのか?
「ぐぉおおおお!」
「ぐわぁあああ!」
俺と万聖龍王は奴等の剣に弾き飛ばされる。
「はぁ、はぁ。やりにくい、力の消耗が激しい」
「おい?牛角魔王!カミシニ相手の戦いは初めてか?奴らに触れられたら消耗するだけだぞ?」
「分かっている!」
俺も先に剛力魔王、怪力魔王、刀剣魔王に襲撃にあった時に、カミシニの力は身に沁みて感じた。確かに嘗ての仲間であった者達の襲撃に戸惑いがあったのも本当だが、あのカミシニの能力で思い通りに力が出せないまま捕らわれたのも事実。
すると、俺達の前に出る者がいた。
「退け!私、出る。奴ら、カミシニ、私、戦える」
それは剛力魔王だった。
「力、温存。私、任せろ」
すると剛力魔王は両手から血を自在に操りながら、大型の斧を両手に出現させたのだ。
「剛力魔王、我らが主様を裏切った罪は死を持って償って貰おう。我が剣の塵としてやろう」
呂洞賓は向けた剣を揺らすと、
「!!」
気付いた時には間合いに入り、剛力魔王の眼前に呂洞賓の剣が振り下ろされていた。しかし剛力魔王は焦る事なく大斧を振り上げて弾くと、そのまま振り回して攻撃する。
「私、見縊るな」
剛力魔王は確かに強い。
カミシニとして甦ったからだけではない。
そもそもの力量は俺や蛟魔王が惚れ込む強さ。
単純な怪力だけでなく、冷静かつ、精密な戦い。
何せ過去に敵として俺達の前に現れた時には、この俺が負けそうになったくらいだし。
「何を見学している?お前達の始末は私だぞ?」
すると、俺達の前に鍾離権が現れる。
「カミシニを相手に俺も考え無しに出向いたわけではないぞ!」
俺は印を結び、唱えたのだ。
「四霊変化唯我独尊・霊亀」
俺の身に漆黒の霊亀の鎧が纏われる。
すると斬り込んで来た鍾離権の剣を大型の盾で受け止めたのだ。
しかもその盾にはカミシニの力をも弾いた。
「俺の霊亀の盾は応龍、玄武と並ぶ最強の盾!カミシニの血をも撥ね退けてやろう!」
「ならば牛角魔王の首は私が跳ねてやろう」
互いの剣が衝突し、衝撃が大地を揺らした。
こいつ、力も桁違いか?
「これでも喰らうが良い。金丹火候の術」
すると真っ赤な球体が幾つも宙に浮かび上がり、俺に向かって飛んで来たのだ。
「ぐぉっ!」
俺は盾で受け止めるも、業火爆発して俺を吹き飛ばす。
「我が金丹火候を受けても耐え得るか?」
鍾離権はカミシニの血を手にした剣に集中させると、剣がうねり出して障気を発する。
「血砕剣・青龍剣法!」
振り払われた剣撃はうねりながら軌道を変えて俺に向かって来た。
俺は剣で受け返すも、押されつつ霊亀の盾に頼った時、俺の足下に火炎球が転がっていた。
「爆砕砲火」
「しまった!」
俺の足下で火炎球が爆発して俺は炎の渦の中に巻き込まれてしまったのだ。
火柱が俺を獄炎に閉じ込める。
「何やってんのぉー!」
そこに万聖龍王が印を結び火柱に向かって、
「せぇいやーーー!」
大槍を振り下ろすと釣り針が飛び出して火柱の中の俺の首に引っ掛けて釣り竿のように引き出したのだ。
「ぐぉお、た、助かったぞ、ごほっ!」
「やれやれ、ここは俺に任せておきな?カミシニとの戦い方は俺の方が心得ているようだからよ」
「何だと??」
万聖龍王とは特に見知った仲ではない。
かつては地上界を支配した最強の魔王の一人であり、蛟魔王が認め、蛇神族との戦いでは覇蛇とも互角に戦ったと聞いたが・・・それに龍神界に侵入したカミシニを既に一体、倒したとか?
魔眼を持たずにどうやってカミシニを相手に戦い勝利したと言うのだ?
「お前に出来るのか?」
「そのために乙姫さんに代わり俺は来たのだぞ?」
「そ、そうか。なら見せてみろ」
「慌てなさんな!」
万聖龍王は印を結ぶと、奴を中心に異様な力を感じる。
「まさか、この気は!?」
この寒気がする力には心当たりあった。
「蛇龍変化唯我独尊・輝光」
唱え終えた万聖龍王の姿は信じられない事に蛇神と龍神が融合した鎧を纏っていたのだ。
「お前、ソレは?」
「俺は龍神の力だけでなく、蛇神の中でも覇蛇の血をも持ち得た特別な漁師だからな」
そして鍾離権に向かって突進すると、その力を持って大槍を突出したのだ。
「ぬっ!?」
鍾離権の持つカミシニの呪いを跳ね除け、間合いに入り込むと、その連撃が繰り出される。
「こ、コヤツ?何が起きたと言うのだ?」
カミシニの間合いに入れば神力の半分以上が削られるはずなのに、元の強さ以上の攻撃力を持って攻めて来る万聖龍王に鍾離権は防戦一方になる。
その戦いを見た俺は気付いたのだ。
「まさか蛇神の力はカミシニに通用すると言うのか?」
その俺に万聖龍王は叫びながら答えた。
「それも覇王エデンの血を持つ覇蛇の力限定だがな」
覇蛇の血だと?
その時、俺は笑みを見せたのだ。
「なるほどな。このカミシニ相手の戦いでは足手まといになると危惧していたが、この俺にも!いや、俺にも出来る事はあったと言うわけか!あはははは!」
俺は大声で大笑いすると、意識を高めて気を集中させる。
そして俺自身が封じた力を呼び覚まそうとする。
「二度とこの力を奮うつもりは無かった。この俺自身が忌む力だったからな。しかし俺には戦わねばならぬ!」
俺は思い出していた。
かつて地上界の戦場を義兄弟達と駆け回り、地上界制覇を目標に戦い続けた懐かしき思い出。
その中に奴らもいた。
剛力魔王、怪力魔王、刀剣魔王、それに数多くの仲間達。
奴らは義兄弟とも変わらぬ戦友だった。
その命を道具として、カミシニとして操り俺の前に差し向けた。
「許せぬ!許せぬぞぉおおおおお!」
俺の中の血が騒ぎ出す。
次回予告
牛角魔王の覇蛇化は成功するのか?
そして剛力魔王は呂洞賓に勝てるのか?
法子「皆、頑張ってね~」




