対決!孫悟空と沙悟浄!?
兄弟子の孫悟空相手に沙悟浄はどう戦うのか?
私は沙悟浄です!
まさか私が孫悟空兄貴と戦う事になるなんて思ってもみなかったです。
憧れでもあり、頼り甲斐のある兄貴。
支えられるように今まで頑張って、励んで、力を付けて来たつもりなのに。
まさかこんな状況になるなんて。
けれど私は負けられない!
「行きます!孫悟空兄貴!今の私の全力を見てもらいます!」
私は印を結んで天を指差すと、暗雲が空を覆い雷を孫悟空兄貴に降り注ぐ。
「雷念動呼散暗」
※ライネンドウヨサンアン
孫悟空兄貴は雷撃を躱して移動するけれど、私の呼んだ雷は孫悟空兄貴を追い続けて行く。
「面倒くさい!なら消してやるぜ!」
孫悟空兄貴は駆けながら印を結ぶと、その身体が輝いて分身が何体も出現する。
「分身ですか?雷よ!孫悟空兄貴の分身を消し去るのですよ!」
次々と雷撃によって消えていく孫悟空兄貴の分身。
しかしその本体は既に対策をしていた。
「伸びろぉ!如意棒!」
すると天に伸びた如意棒で、私の出した暗雲を掻き混ぜながら散漫させたのです。
「あっー!私の雲ぉ〜」
さらに如意棒には私の暗雲から発していた雷を帯び、そのまま私目掛けてふり下ろしたのです。
「あわわ〜。私の雷を奪ったのですか〜?」
私は指を交差させて足下に散らばした術札を踏み付けると同時に、孫悟空兄貴の如意棒が轟音とともに私に直撃したのです。
「どうやら片付いたようだな?」
勝利を確信した孫悟空兄貴は一呼吸すると、手にした如意棒を背後に向かって振り払ったのです。そこには術札から私が飛び出して移動していたのでした。
私が踏みつけた札は空間転移の札。
そして孫悟空兄貴の背後に移動したのですが、どうやら見抜かれたみたいです。
「!!」
けれど孫悟空兄貴は如意棒を私に直撃する寸前で止める。
「危ねぇ〜な?罠か!」
飛び出したのは私の姿をした土像でした。
そしてもし孫悟空兄貴が如意棒で触れていたら、大爆発していたのです。
そして本体の私が孫悟空兄貴の前に現れ、降魔の宝杖を構える。
やはり孫悟空兄貴の野性の感?
戦闘に至る危険察知の能力は脅威です。
あの戦闘センスこそ孫悟空兄貴が格上の敵を相手にしても生き残れた理由。
昔、三蔵様が私に仰っていました。
恐怖や不安、心配や疑念。
それは確かに戦いで足を引っ張る。
けれど、無視しては駄目だと。
それは経験から来る危険察知能力であり、戦闘中にその能力を如何に判断して危機から逃れ、好機に転じるかが戦闘に置ける勝利の鍵なのだと。
そして無鉄砲に思える孫悟空兄貴は、ずば抜けてその能力が長けているのだと。
さらに三蔵様は私に仰ってくれたのです。
「私にも孫悟空兄貴に負けないセンスがあるのですと」
臆病は勇気に変えて、如何に課題解決するかで好機と化す。
考えて考えて、考え抜けば道は開く!
私は孫悟空兄貴の次の行動を予測し判断し、思考を廻らせたのです。
そして同時に孫悟空兄貴も、
「やりずれぇ〜奴だな・・・」
私に対して同じく思考していたのです。
まるで対局している気分でした。
孫悟空兄貴には今、聖獣が奪われた事で五行の術は使えない。
遠距離から術での戦いでは私に利があります。
しかし体術や肉弾戦といった接近戦で戦えば私に敵う手段は無いし、一気に立場をひっくり返されるかもしれません。
なら、孫悟空兄貴に勝つには?
私は覚悟すると降魔の宝杖をしまい孫悟空兄貴に近付いたのです。
肉弾戦?それは無謀な策。
私は敢えて術での戦闘ではなく接近戦を選択したのです。
「おもしれぇ。敢えてそう来たか?」
恐らく私の有利な戦いでは対策を廻らせてくるに違いないです。
ならば意表を突くのが私の結論でした。
それに今、私が戦っているのは孫悟空兄貴ではなく、嘗ての魔王である美猴王。
なら、打つ手は有ります。
そしてお互いに目の前にした時、
「流石の俺様もお前の次の行動が読めねぇぜ?この奇策は無鉄砲な愚策か自暴自棄か?それともこの状況をひっくり返すような策を考えているのか?」
「どうでしょうね〜?試してみますか?それとも退きます?」
「ナメるなよ?この俺様を誰だと思っている?天下の美猴王様だぜ!ここまで虚仮にされて手を出さないわけないだろぉー」
孫悟空兄貴は妖気を拳に込め石化した一撃必殺の拳を私目掛けて放ったのです。
「華王石拳!」
この拳を受ければ私はひとたまりもないのは分かっています。
だからこそ、そこに勝機があるって!
私は孫悟空兄貴の呼吸に合わせていました。
決して逆らわずに、合わせるように、そして一つにしたのです。
「ウッ!?」
その直後、孫悟空兄貴は今起きた状況を理解出来ずにいたのです。
突然、視界がひっくり返り、吸い込まれるように身体が宙を浮いていたのだから。
「合気」
それはまさに術か魔法を受けたように感じたに違いありません。
法子様が得意とし、孫悟空兄貴は知っているけれど、美猴王にとっては未知の技。
相手の力を利用して倒す合気なる奥義だったのです。
初めて受ける技に孫悟空兄貴の身体は宙を一回転する。
「ウグゥオオオオ!」
「このままひっくり返したと同時に結界を張って、孫悟空兄貴を封印します!」
が、私は事もあろうに孫悟空兄貴を見誤っていたのです。
「ぬぅおおお!」
記憶の中では初めて受ける合気でも、孫悟空兄貴の身体は無意識に反応して動いていたのです。
倒れるよりも先に自ら地面を蹴り出して加速し、私の繰り出した合気のタイミングを外して私の袖を握り、地面に着地するなり私を反対に合気で投げたのです。
「えっ!?」
私の足は地面から離れ、身体は空を回転しながら完全に投げ返されたのです。
「がはぁ!」
地面に背中から直撃した時、私は全身の骨が砕けるような衝撃を受けました。
そして孫悟空兄貴は倒れた私の首に手刀を突き出したのです。
「うぉおおおお!河童手裏剣!」
私は直前で頭の皿に神気を込め閃光を放たせ、目眩ましを放ったのです。
「な、何ぃいいい??」
孫悟空兄貴の手刀は私の頬を切り裂きながら地面を貫くと、私は転げるようにその場から逃れたのです。
「クソぉおお!」
孫悟空兄貴は手刀を抜き視界が戻ると、ふらついている私を見つける。
「もう逃さないぜ?俺様の妖気弾でその身ごと消し去ってやるぞぉ!!」
孫悟空兄貴はまだ朦朧として動けないでいる私目掛けて渾身の妖気弾を放ったのです。
閃光と凄まじい圧力が迫る中で、私は考えていたのです。
「骨を切らせて・・・勝利を掴みます」
私は掌に神気を集中させて、私の一か八かの奥義を繰り出したのです。
「一発逆転・他力本丸!」
孫悟空兄貴の神気弾は私の掌に触れたと同時に流れるように弧を描き、軌道を変えながら孫悟空兄貴に跳ね返したのです。
「なっ!?」
孫悟空兄貴は自らの妖気弾の直撃を受けて吹き飛ばされ、
聳える塔に衝突して白目を向いて動きを止めたのです。
「法子さん・・・後は、お願い、します・・・」
私はそこで力尽きて倒れたのでした。
次回予告
それは美猴王と麗華の過去。
その過去は告げてくれた。
法子「沙悟浄、本当によく頑張ったわ!次話は私が頑張る番ね?
えっ?出番ないかも?何それ?」




