美猴王と麗華の物語
麗華の目的は美猴王との幸せ。
新たな生を送る事だった。
法子と沙悟浄は孫悟空を取り戻せられるのか?
私は法子
私は孫悟空に会わせて欲しいと訴えるけれど、麗華さんは拒否したの。
「残念だけど美猴王は貴女達に会わせない。彼は私と暮らす。私が彼を独占するのよ!」
「孫悟空が望むなら、それでも良いわ!けど、それは孫悟空の口から聞いて判断するわ!だから会わせて」
すると麗華さんは首を振る。
「貴女達では無理。いかに望んでも、強い力の前では無力。何もかも全て奪われるのだから」
それは彼女の経験から。
彼女の記憶からの回答なのかも。
「教えてあげる。私と美猴王の事を!」
それは三百年前、彼女は崖上から落下して来た妖怪を見つけたの。
金色の猿の妖怪。
その妖怪は崖上の地上で起きている妖怪達の戦争の真っ最中だったらしい。
彼女はその妖怪を村の皆に隠れて治療して看病した。
何故、妖怪を?
理由は本能だった。
心が、その妖怪に惹かれてしまった。
一目惚れに近い感情だった。
そして目覚めた妖怪の名は美猴王。
そして元気になった美猴王は、戦争から離脱して麗華さんと夫婦になっていた。
幸せな時を過ごす二人。
しかし、この全てが暗躍する魔王の手の内にあったの。
この崖下にある人間の村は、その地を任されていた魔王の実験地域だったから。
魔王の名は錬体魔王!
(えっ?錬体魔王って?あの?そう言えば昔は最低最悪のどうしようもないマッドサイエンティストだったって…)
錬体魔王は人間達を使って人体実験を繰り返していたの。
この村の人間達はその為に集められたモルモット。
その実験とは人間を鬼人化させ、魔王軍の兵隊にする事だった。
ある晩、その計画は突然始まった。
麗華さんは攫われ、美猴王も取り戻そうと走り回ったけれど、間に合わなかった。
麗華さんは実験に使われ、鬼人となった。
既に意識は無く、獣のように襲いかかるだけの鬼人となった麗華さんを、美猴王は涙を流してその手で時を断ったの。
それが二人の別れ。
永遠の別れ…だと思っていた。
「しかし私は主様に新たな生を貰い受けたの!しかもこの世界では美猴王が昔の記憶を残して転生していると言うじゃない?だから私はやり直すのよ!失った全てを私の手で取り戻す!」
「!!」
彼女の思いは本物だった。
たとえ人で無くなったとしても、その一途な思いは間違いなく本物。
だけど、私は知っている。
カミシニ!
カミシニとして復活した者は、既に過去の存在とは別の何かになっている事を。
私は昔、蚩尤鬼人と化したカミシニ能力を持つ化物と戦った事がある。
確かに生前の記憶はあるけれど、その中身は別の何かになっている。
つまり?カミシニって化物の中に別人の記憶を入れるような者。
中には本人だと思い込む者もいたけれど、カミシニとは別の意思を持った化け物なのよ。
しかも死に際に残った負の感情や、生前思い残した事、後悔や恨み、そう言った闇を助長しているのよ。
そして私の目の前にいる麗華さんは、負の感情を持った残留思念をエネルギーに新たな意思を持ったカミシニって化け物。
「やっぱり戦うしかないわね」
私は掌に気を籠めると、龍の錫杖が出現して握ったの。
そして隣にいた沙悟浄も頷く。
「やっぱり話し合いで帰ってはくれないのね?なら仕方ないわ。私も殺したくはなかったけれど、私と美猴王の邪魔するなら消えて貰うわ!」
すると麗華さんの額から角が浮き出る。
鬼人のカミシニなのね。
そして指先から伸びる爪を刃に襲いかかって来て、私は錫杖で受け止める。
「孫悟空は私のお供なの!だから返して貰うわ!」
孫悟空は絶対に取り戻してみせる!
そんなこんな。
次回予告
法子と沙悟浄が孫悟空を救出に来ていた時、孫悟空は今?
法子「出番が無くなっているわよ?そろそろ活躍しなさい?孫悟空」




