至高無比?サクヤ龍王!
浦島は一角鯨龍王に勝利した。
そして蛟魔王はサクヤ龍王と対峙していた。
私は蛟魔王(乙姫)だ。
私の龍神界に入り込んだ侵入者の正体。
それは死んだはずの私の姉のサクヤ龍王と一角鯨龍王だった。
二人は私の先代の四海龍王でもあり、歴代最強と謳われていた。
私は一角鯨龍王を浦島に任せ、サクヤ龍王と対峙する。
「それにしても厄介だな」
それでなくとも強敵なのは間違いないのだが、カミシニと呼ばれる神殺しの血を持って現れたのだから。もし私が応龍の盾を所持していなかったら、直ぐにでも決着が終わっていたに違いない。この応龍の盾はカミシニの障気からも守れる万能の盾だから。
「乙姫?もう終わりですか?」
サクヤ龍王の剣技は父である応龍ですら手こずるレベルだったと聞く。
それに龍神界の巫女でもあったサクヤ龍王の眼は、先を見透す能力を持つ。
心を読むのではなく未来を見る。
私の動き全てが無駄。
フェイントも策も全て見抜かれる。
お手上げに近かった。
「やりづらいな!」
それはサクヤ龍王の能力だけではない。
サクヤ龍王は私にとっての憧れ。
慕っていた姉様だったから。
「せぇいや!」
私の振るう龍鞭がサクヤ龍王の接近を阻み、私は思考を廻らせる。
まさに最強とも思える戦士。
しかし、そのサクヤ姉も戦場で散った。
それは凍結魔人と呼ばれる氷国の戦士によって、その身を氷の棺に閉じ込められた。
広範囲の回避不可能な攻撃であれば、通じないわけではない。
しかし、厄介なのはカミシニの能力。
私の攻撃を無力化させる力。
「まさに絶対無比のようだ」
少なくとも私にとっては覇王を相手するよりも厄介だった。
「どうしたの?乙姫。もう終わり?貴女は今、この龍神界の長なのでしょ?」
「そうだな。足掻いてみるさ」
私は龍気を高めて血流を廻らせる。
「逆鱗」
龍神族の血を活性化させた肉体強化。
いくらサクヤ龍王が未来を見透せるとしても、それは私が見ているわけではない。
思い込みで通じないと思ってはいないか?
つまり最初から私自身が無理と思っていたら、可能性を詰むだけ。
「ならば行動あるのみ!」
私は素早い動きで攻撃を仕掛ける。
「良いですわ。今の貴女の力をお姉さんに見せて?乙姫」
「そうね。出し惜しみなく!」
サクヤ龍王の剣を応龍の盾で受け止め、手にした龍鞭を振り回す。
「逆鱗・龍舞!」
不規則かつ予測不可能な鞭の攻撃が四方八方からサクヤ龍王を襲う。
「フフフ」
サクヤ龍王は残像を残しつつ私の鞭を全て躱し、私の間合いに入って来る。
これ以上接近させてはヤバい。
私は術札を撒き散らして念を込めると、その札を踏み付ける事で移転する。
札から札への空間転移。
「いくら未来を先読み出来ても、捉えられなければ攻撃も出来まい?」
「そうね。けれどそれは乙姫も同じよ」
確かにそうだ。
私の攻撃は全て空を切っていた。
「乙姫、この私を討たなければ龍神界は滅びます。今日、この日!私の手で!」
サクヤ龍王の身体が深紅に輝く。
それは逆鱗!?
「龍神界だけでないわ。天界も地上界も私達の手で滅ぼされるでしょう!食い止められますか?貴女に!」
閃光の刃が振り払われると、私は応龍の盾で防御して身を守る。
「!!」
お、重くて鋭い!?
受け止めた腕が痺れ、弾かれる。
「ぐわぁああ!」
無防備になった私の間合いにサクヤ龍王が接近し、私の頬を抑える。
すると、私は急激に力を吸い出される。
「あ、あぁぁ」
「いつまでも盾に守られていては駄目。貴女はもう解き放たれなさい」
力無く揺れ落ちる私の腕から応龍の盾が床に転がると、私は完全に無防備となっていた。
か、勝てない・・・
私は完全に戦意不能だった。
しかし、私の中で変異が起きていた。
「う、ぅうぅ」
鼓動が異常な高鳴りを見せる。
「だ、駄目、だ!この力は、だ、め」
それは私の中に封じた力。
龍神族の三種の神器。
「蛟の盾」今は応龍の盾に進化。
「聖魔神剣」龍神族に奪われ、法子によって破壊されている。
そして「忌眼」と呼ばれる魔眼の一種。
他の神器は、この忌眼を封じる為の物と言っても良いのかもしれない。
この忌眼を封じるのが盾の役目。
万が一暴走した時の為に剣があった。
しかし今は剣は無く、盾をも失った。
そして今、この忌眼は私を蝕む。
「う、うがぁああああ!」
凄まじい覇気が私の身体から放たれ、サクヤ龍王も私から距離を取るように後方へと離れる。
「貴女の忌眼を手に入れる事が、あの方より私に与えられた役目。忌眼体蝕者である貴女を私が解放してあげようと言うのよ」
呪われし私の中の力が解放される。
次回予告
ついに蛟魔王の忌眼が解放してしまった。
しかもサクヤ龍王の目的はその忌眼なのだと言う。
法子「えっ?蛟魔王さん?負けないでよ?お願いだから!」




