亀裂??二人の孫悟空??
二郎真君の帰宅を待つ法子一行。
待っているだけでは何も始まらなかった。
は〜い!
私は法子です。
二郎真君さんが中々戻って来ないので、私達は待ちぼうけも仕方ないからナタクの屋敷に遊びに来てるの。そこで私達にも関わる事件が起きてるって聞いて、お仕事のお手伝いしてます。
それはね?
天界の下級層で起きた家畜を襲った犯人がどうやら孫悟空って事らしいの。
「らしいの。じゃねぇよ!俺様は無実だ!」
孫悟空は言い張るけど、目撃情報が孫悟空に一致していたの。
だから真実を調べる為に現地に向かったのだけど、あれ?やっぱり孫悟空なの?
「やってられるかよ!」
孫悟空は皆に信じて貰えずに両腕の拘束具に頭突きして破壊し逃走してしまったの。
孫悟空の逃走にナタクの妹の貞英ちゃんは連れて来た武神さん達に追わせて捜索中。
もう、どうなってるのかしら?
「沙悟浄がいたらもう少し楽に犯人見付けられるのにな〜」
因みに沙悟浄と鉄扇ちゃんは別件で地上界へ向かっていたの。
それは以前に私達が訪れた遺跡のある場所。
そこに天竺についての情報があるかもしれないの。
だから私達は自分達の案件から解決しないとね。
「法子、孫悟空の事は良いのかい?」
「問題ないでしょ?孫悟空だし」
「いや、猿らから問題じゃないらか?」
阿修羅と八怪は心配そうだけど、私は気にしないで先を急ぐ。
「今は私の好奇心が優先よ」
「あ、そ?」
二人は黙ってる。
何か私の事、分かってるじゃない?
現場の養牛場に着いた私達は、何か大型の獣に食い散らかされた残骸を見たの。
「これは酷いわね」
「既に孫悟空に五頭襲われたみたいよ」
貞英ちゃんは完全に孫悟空を犯人だと思い込んでいるのね?
そこで私は逃げた金色の大猿の気配を術札に覚えさせると、折りたたんで紙飛行機にして飛ばす。
そして飛んで行く飛行機を私達は追っていたの。
きっと向かう先に真犯人がいるはずだから。
「あっ!」
養牛場のあった村から離れた森の方へと紙飛行機は飛んで行く。
私達は紙飛行機を頼りに森の中に入り追って行くと、目の前で突然私の紙飛行機が弾けて消えたの。
それって見えない結界があるの?
私は印を結んで結界に向かって念を送ると、結界は硝子が割れるように消えた。
「どうやらこの先に何かあるのは間違いないようね?」
「怪しいらな?」
「行くかい?」
「勿論よ!」
私は阿修羅と八怪を連れて結界の中へと入ったの。
するとそこには!
「何、此処?」
そこは石造りの宮殿だった。
「怪しいはね?どうやらビンゴのようよ」
宮殿の中からは何かとてつもない強大な妖気を感じたの。
けど、こちらには阿修羅と八怪が付いてるし心配ないわね?
私は二人を引き連れて宮殿の中へと入ったの。
何かの気配は感じる。
けれど突然襲い掛かって来る分けじゃないみたいね?
私達が侵入した事に気付いていないのかしら?
警戒しながら奥へと入って行く。
「何か音しないらか?」
「血の匂いがするよ」
確かに嫌な臭いがしたの。
しかも変な音がする。
まるで噛み砕くような異音。
この先の奥からね?
私達は宮殿の奥の扉を開けたの。
「あそこよ!」
私達の視線の先には何か大型の獣が貪るように家畜の牛を食べていたの。
そして私達に気付くと、食すのを止めて立ち上がったの。
「えっ?嘘?本当に?」
それは間違いようもなく孫悟空の獣王変化した姿だったの。
「そ、孫悟空なの?本当に?」
すると、金色の大猿は私達目掛けて襲い掛かって来たの。
「!!」
その鋭い爪が私に迫ったその直後、
「てめぇが俺様のソックリさんかぁー!ぶん殴る!」
飛び込んで来たもう一匹の金色の大猿が押さえ込み、取っ組み合いになったの。
「孫悟空の本物来たぁ〜!」
そこに武神を引き連れて貞英ちゃんが宮殿に入って来たの。
「法子、アイツが犯人?」
「そうよ。だから孫悟空は潔白よ」
「そのようですね」
けれど、何者なの?
あの孫悟空のそっくりさんは?
すると孫悟空の方が蹴り飛ばされて壁に直撃して落下したの。
えっ?孫悟空が力負けした?
孫悟空は頭を押さえながら元の姿に戻ると、金色の大猿に向かって怒鳴ったの。
「俺様の前に正体を現せ!この偽物」
すると金色の大猿は正面に立ち、そして初めて声を出したの。
「どっちが偽物だろうな?」
「何だと?コラァ!」
声質も同じ?
すると相手側の金色の大猿の姿が人の形へと変わっていく。
そして私達の前に現れたその姿は?
えっ?えっ?えっ?
「孫悟空が二人?」
それはもう本当のソックリだったの。
けれど、よく見ると・・・?
相手側の孫悟空の方が少し猿?
顎髭にもみあげが長いし、体毛が腕とかチラホラ見えたりする。
「おい!俺様のソックリさん!勝手に俺様に化けてるんじゃねぇよ!著作権知らねぇのか!こらぁ!」
「何を勘違いしているか知らないけどよ?俺様は孫悟空じゃねぇ!俺様は」
「誰だよ?」
するとそっちの孫悟空は名乗ったの。
「俺様は聖天大聖・美猴王様だぁ!」
えっ?美猴王?ソレって?
「そうか?なら、俺様じゃないのだな?なら、良いかぁ〜」
とか、おい!孫悟空?あんた馬鹿?
私は孫悟空を呼び寄せると、その場で頭を叩いたの。
「いてぇ〜な?何だよ?」
「阿修羅、説明してやって?」
「う、うん」
美猴王てのは孫悟空の転生前の姿なの。
だから奴が美猴王のはずないのよ。
その事を説明すると、
「こらぁー!俺様は孫悟空で、元美猴王なのだぞ!何をふざけてるんだ!お前!」
「ふざけてるのはお前の方だ。俺様の名を語る偽物の分散で!」
「何だと?」
「俺様こそ真の美猴王様だ!俺様は俺様を語る偽物を懲らしめに来た。覚悟しろ?偽物野郎!」
「はぁ〜??」
すると美猴王は孫悟空を指さして言ったの。
「お前は美猴王だった記憶を何処まで覚えている?お前は美猴王だった時の事を本当に自分だと思っているのか?」
「何だと!?」
すると孫悟空が狼狽えたの。
「えっ?どうしちゃったの?孫悟空?言い返してやれば良いじゃない?」
そんな私の疑問に阿修羅が答える。
「孫悟空は美猴王だった記憶の半分も覚えていないんだよ」
「えっ?何それ?」
阿修羅が説明するには、孫悟空が美猴王だった時、暴走した阿修羅を止めるべく身を挺して守ってくれたと言うの。けれど、二人は互いに消滅した。
その際、孫悟空と阿修羅の魂は融合して一つとなったのだけど、
三百年の月日をかけて孫悟空として転生した。
けれど孫悟空は阿修羅と分離した後に呟いた事があるらしいの。
「俺様は何者なのだろうな?」
それは孫悟空が時間が経つにつれて、孫悟空として生きるうちに過去の、美猴王の記憶が薄れている事を伝えたの。孫悟空が言うには、美猴王だった記憶は三百年の月日で転生する間、五行山結界の暗闇の中で見た夢での記憶らしいの。
孫悟空は嘗て美猴王だった時の半分以下しか魂が残っていなかった。
それも転生の後遺症かと思っていたけれど、
「ソレって?もしかして?」
「俺様が俺様じゃないって事か?そんな馬鹿な事あるか!だったら今の俺様は何者だよ?間違いない。俺様は俺様だと俺様が断言するぜ!俺様が言うのだ。間違いない!」
するともう一人の美猴王は告げた。
「今のお前は俺様から分かれた魂の欠片だ!そして俺様はお前を再びこの身に取り込んで本当の美猴王として蘇るのだ!」
「何だと!?」
「心当たりあるだろ?力を使えば使うほど魂が押し潰されるような痛みを?それは魂が中途半端だからだ!」
「マジか?俺様、恋煩いかと思っていた・・・」
いやいや、そこはボケる所じゃないからね?そもそも誰に恋してるのよ?
「そう言うわけだから消えてくれや?偽物の孫悟空よ?」
「何だとぉ!」
が、そこに阿修羅と八怪が立ち塞がる。
「僕は今の孫悟空に加担するよ」
「オラはお前とは何の関係もらいら。らから、こっちの猿の味方するらよ」
そうよね。
私も美猴王に向かって答えたの。
「私達の孫悟空を奪うなんて許さないわよ?本当に貴方が本物の美猴王だったとしても関係ないわ」
「人間、お前に言われる筋合いはねぇーよ!」
直後、美猴王が私に向かって襲い掛かって来たの。
その行為に孫悟空、阿修羅、八怪は庇うように構えたの。
「えっ!?」
けれど同時に左右の壁が砕けて何者かが飛び出したの。
「えっ?えっ?何?何なの?」
そして阿修羅と八怪に飛び掛かって攻撃して来たの。
その攻撃に阿修羅は抵抗して拳を打ち込むけれど、強固な盾によって止められる。
嘘?阿修羅の攻撃を止めるなんて何者?
けれどその正体は直ぐに分かった。
けれど信じられなかったの。
「ど、どうして?何故?」
阿修羅の拳を受け止めたのは龍神界にいるはずの蛟魔王さんの応龍の盾。
「蛟魔王さん?何故邪魔するの?」
けれどそれだけじゃなかった。
「ウグルッウウウ!阿修羅と殺り合うの俺俺、楽しみだぞ?」
百獣王さん?
それに八怪の動きを止めているのは、
「また蛇神に操られてないらか?」
「当然だ」
それは牛角魔王さん。
けれど八怪はもう一人の相手に怒りを露わにしていたの。
「またオラから奪うつもりらか?今度はオラがお前を破壊するらぞ!」
その視線の先にいたのは孫悟空達と因縁のある鵬魔王だったの。
そして孫悟空と美猴王が衝突する。
互いに相手を弾き飛ばし美猴王が着地すると、そこに牛角魔王さん、蛟魔王さん、百獣王さん、鵬魔王が出揃う。そして美猴王が叫んだの。
「俺様美猴王は再び天界相手に喧嘩を売る!この義兄弟と共にな!」
その姿に孫悟空はショックを受けていた。
何せ牛角魔王さん達が自分の敵として立ち塞がったのだから。
コレってどういう状況なの?
まさか共に戦った者同士が敵に??
分からない事ばかりで混乱するわ。
そんなこんな。
次回予告
かつての六大妖魔王の五人が敵に?
しかも孫悟空と美猴王はどっちが本物なのか?




