光照らし希望の降臨!オン・マイタレイヤ・ソワカ!
世界は阿修羅によって救われた。
しかし、阿修羅も虚無の穴へ消えようとした時・・・
希望の光が差し込んだのだ。
僕は阿修羅
僕はエデンを道連れに虚無の世界へと消えようとしていた。
虚無の空間に入った直後、僕は力が消失した。
それはエデンも同じだった。
この虚無では何者も無力となるようだ。
これで終わりか・・・
その時、僕は感じた。
熱くて力強い光の温もりを。
太陽の如き眩しさの中に見える人影。
黄金の聖獣麒麟に跨った神々しい存在。
僕は一瞬、その姿に法子を被らせて見てしまったが、それは有り得ない。
何故なら法子はもうこの世にはいない。
いないはずなのに!!
しかしその光の主の気配は人では無かった。
法子とは違う別格の存在。
そして微かにミスラの魂を過らせた?
何故?
すると声が響き渡る。
「転生変化唯我独尊!」
すると眩い光が広がり天地を照らした。
そして出現した存在は?
神々しい神の姿だった。
「私の名は弥勒。世界を救うために現れた希望の光」
その出現に最高神である帝釈天と四天王達も驚愕していた。
「この時代のこの世界に降臨するとは。これが世界の救済か?それとも」
帝釈天に毘沙門天が口添えする。
「このような時の流れは今まで無かったはずだ。何が起きていると言うのだ?」
帝釈天は無言だった。
が、一言呟いた。
「まだ半人前だな」
「それはどう言う事だ?」
すると弥勒と名乗る神は、大声で叫び直した。
「なぁ〜んて!私は私よ!まだ頭の中がごちゃごちゃするけど、私は正義の女子高生!三蔵法子よ!」
の、法子?
本当に?生きていたのか?
すると手にした金の錫杖を虚無の穴に向けて投げ込んだのだ。
「!!」
金の錫杖は僕を擦り抜けて、僕を掴んでいたエデンの胸に突き刺さる。
「おっ、おぉおおお!」
エデンは掴んでいた手の力が抜けて僕を手離して虚無に消えていく。
「行って!」
そこに虚無の世界へ麒麟に乗った法子が飛び込んだのだ。
そして吸い込まれていく僕の手を掴んだ。
「本当に法子なのかい?」
「多分ね?」
すると法子は麒麟に僕を乗せると、
「勢いで入っちゃったけど玉龍くん、戻れそう?」
「大丈夫です。まだ穴は閉じてはいませんから。それに今の僕なら!」
この麒麟は玉龍なのか?
しかし虚無の空間では何者も無力となるはずだった。
にもかかわらず、
麒麟の玉龍は虚無への入り口だった次元の穴に向かって駆けだしたのだ。
閃光が閉じていく虚無の穴から飛び出すと、法子は僕に叫ぶ。
「阿修羅!今よ!」
「分かった!」
僕は両手を交差すると、
「結」
覇王エデンを残して虚無の穴はこの世界から消失したのだ。
「お、終わったのか?これで?」
けれど法子は首を振って答える。
「まだよ?今から一番大事な事をするわよ!だって私が今ここにいるのに、あいつらがいないなんておかしいもん!」
そ、それって?
「何か今なら何でも出来ちゃう感じなのよ。何せスーパー法子だからね?それに私の中に何か知識が沢山流れ込んで来るのよ。悪酔いしちゃいそうだわ?お酒飲まないけど」
「の、法子?君は何をする気?」
「まぁ〜見てて?」
法子は手を合わせて唱える。
法子を中心にその背後に十本の杖が出現する。
そして指を交差させ、瞳が金色に光り輝き出したのだ。
「オン・マイタレイヤ・ソワカ」
すると今度は時を刻む曼荼羅が出現する。
その光景を見ていた帝釈天が険しい顔をしたのだ。
「禁忌を犯すつもりか?止めよ!」
直後、四天王達が武器に手を置く。
「禁忌は何があろうと許容出来ぬ」
四天王達が法子の行為を阻止しようと襲い掛かって来たのだ。
それに気付いた僕は法子の邪魔をさせないように四天王達の道を塞ぐ。
「邪魔はさせない」
けれど四天王の力量は個人レベルで僕と同等に感じられた。
リングの力はもう残ってはいない。
「それでも法子は今度こそ僕が守る」
僕の魔眼が光り輝き攻撃的な力を放つけれど、四天王達は聖天の力を解放させ僕の魔眼の力が弱まっていく。そして僕の両腕を広目天、持国天が掴み抑え込まれたのだ。
そこに増長天が剣を手に振り下ろされる。
そして残る毘沙門天が法子に迫ったのだ。
このままでは法子が!
そう思った時、
「待たせたわね?お帰りなさい」
空間が歪み、結解が現れたのだ。
そしてその中にのみ時が遡る。
すると消滅したはずの彼らが現れたのだ。
「何がなんだか分からないが、声がした。やっぱり法子なのか?」
「お、オラ、信じていたらよ・・・」
「私達を救ってくれたのですね?」
それは消滅したはずの孫悟空、八怪、沙悟浄だった。
法子は指定した空間だけ時を遡らせ、失った者達を再生?復活?全ての言葉が適さない。
無かった事にしたのだ。
死者の肉体を、魂を、存在した時に戻すなんて、神、最高神にすら不可能。
超越した神の禁忌の秘術。
犯した者は大罪。
全ての神にとっての反逆。
だからこその禁忌なのだと。
その禁忌を法子は三人を取り戻す為に知っても知らずか迷う事なく使った。
「確かに私の学校にも校則はあったわ。基本、私は優等生だったと思う。勉学以外ではね?ルールは確かに大切よ?敢えて破ろうとも思わなかったわ。けど破らないと変わらない事もある。破る事で失ったモノを取り戻せるなら、私は喜んで悪い子ちゃんになる!初反抗期よ!」
法子の言ってる意味は分からなかったけれど、多分間違った事は言ってないと思う。
例え間違っていたとしても僕は法子を支持する。
勢い付いた僕は押さえ込む広目天、持国天を振り切り、刀を振り下ろす増長天の剣を躱した。
「僕はもう死ぬ気はない!」
すると法子に迫る毘沙門天には再びこの世に存在を許された孫悟空、八怪、沙悟浄が道を塞いだのだ。
「これ以上は行かせねぇよ」
「オラを倒してからでないと、一歩も行かせねぇらよ!」
「私も通しません!」
三人の瞳は金色に輝く。
「金色の魔眼所有者か。探し求めていた力が、こうも揃うとは」
毘沙門天は怯む事なく剣に手を置いたその時、天より響き渡る。
「両雄、剣をおさめよ!」
帝釈天の言霊はこの場にいる全ての動きを止めたのだ。
こ、コレは?身体が動かない?
次の瞬間、帝釈天は法子の隣に瞬間移動していた。
「何をする気?」
警戒する法子の額に帝釈天は掌を置くと、何かをしたのだ。
「お前ぇーーー!」
僕が怒りに暴走しようとした時、
「案ずるな。施しただけだ。この娘から禁忌の時間逆行の仕方を消した」
「えっ?」
法子は頭を触りながら考え込む。
「あれ?思お出せないわ??」
「その力は世界の流れに歪みを作る。そう何度も使われては困るのでな」
それだけ告げると帝釈天は法子にそれ以上何もせずに飛び立つと、飛翔馬に乗りこの場にいる全員に告げた。
「確かに禁忌を犯したその娘は大罪。しかし覇王エデンを討伐した事はこれ以上無い功績に価する。よってこれ以上その娘に手を出す事は禁じる」
それだけ告げると帝釈天は四天王を引き連れて天へと帰還したのだ。
そして残された僕達は・・・
互いの顔を見合わせた。
「ようやく私の一行が誰一人欠ける事なく全員揃ったわけよね?皆!お帰りなさい」
その笑顔は眩しく、今までの戦いが無かったように感じられた。
それだけの癒しがあった。
僕達の長い戦いは、法子のこの言葉で終わりを告げたのだった。
次回予告
何故、法子が?




