天降臨!覇王エデン討伐の切り札!?
覇王エデンと阿修羅の戦い
その戦いで世界を救えるのか?
僕は阿修羅
僕は今、苦しさのあまり心が壊れそうでいた。
僕が守らなければならなかった法子が、法子があんな奴に・・・
ソイツの名は覇王エデン。
この世界そのもの。
なら、僕は世界を破壊する。
手にした黒炎が一気に膨れ上がると、無尽蔵に向かって来る大蛇を消し去っていく。
いくらエデンの身体の一部とはいえ、この大蛇を相手していても時間の無駄だとは分かっていた。
僕は己の存在を無にする無神速の動きで全ての攻撃を擦り抜けているように思うが、
この奥義も完璧ではない。
使い続ける事が出来ないのだ。
だから時折変化を解除しては攻撃を繰り返さなくてはならない。
無数の大蛇が絡み合い融合し、天にも届く程の巨大な化け物の中心にいるエデンに向かっていた。
エデンは上半身が人の姿で下半身はこの巨大な化け物と一つになっていた。
「カァアアアアア!」
すると前方に見えたエデンに変化が起こっていた。
傷付いている身体が見る見ると回復して、再生していたのだ。
「再生する前に討つ!」
僕の繰り出した拳は目覚めたエデンの掌で止められたのだ。
それでも僕は力を更に込めて突き出す。
「法子の仇は僕が討つ!」
閃光が弾けるように僕を吹き飛ばした。
するとエデンが顔をあげて僕を見ている。
それは獲物を狙う目だった。
「ワタシに抗う小賢しい虫けらは全て討ち払うまで。あの小娘のようにな!」
「!!」
それは法子の事か?
僕の怒りが最高潮にまで膨れ上がる。
僕の掌が燃えだすと新たな仮面が出現する。阿修羅の仮面は僕の魂の形。
その形状で能力が変わる。
「面怒苦砕」
僕の周りに圧縮された高熱の光が浮かび上がると、レーザー光線のようにエデンに向けて放たれる。
大蛇を貫きながら風穴を開け、その先にエデンの姿が再び見え隠れした。
「そこか!無神速!」
一直線にエデンに突入する僕は金色の魔眼の力を集中させる。
「魔眼よ僕に力を!」
無数の大蛇の猛襲も僕を捉える事は出来ない。
透き通るように僕はエデンに接近して、魔眼の力を込めた拳を放つ。
「魔眼を持っていても真の持ち主でなければ恐れるにたらず。その持ち主は既に始末した。もうワタシを止められる者は存在しない」
すると再びエデンの身体が緑色のオーラに覆われ、ウロボロスの破壊の気が僕に向かって放たれたのだ。
「う、うぐぅうう!」
僕は無神速を使っていたはずなのに、その力の渦に飲み込まれる。
それでも僕はこのチャンスを逃さない。
「ノウマク・サマンダ・ボダナン・ラタンラタト・バラン・タン!」
僕が自分の真言を唱えると、僕の手に燃え盛る仮面が出現して再び被る。
「无面・虚運天」
僕の最終形態。
本来なら力の代償にして記憶と魂を削られるのだけど、この金色の魔眼使用時には何も失われないですむらしい。僕の背から新たに四本の腕が出現させ金色の力を掌に集中させる。
「ハァアアアアア!」
六本の腕を交差させながら金色の力を回転させながら凝縮させ、圧縮する。
「これで決める!」
僕は渾身の力を込めて圧縮させた力を放つ。
閃光が走り、光の刃のようにエデンの胸を突き刺していた。
「なっ、なっ??」
エデンは自分の胸に刺さる光の刃を見て驚愕していた。
体内から沸騰するように湧き上がるのは魔眼の光?
魔眼の力はエデンにとって猛毒のようなものだった。
皮膚を溶かして肉が爛れる。
「ウグゥグワァアアアア!」
苦しみもがくエデンにとどめを刺すために接近したその時、エデンは目を見開くと同時に大地から急激にエネルギーを吸い出したのだ。
それは地上の木や花を枯らし、湖を干からびさせ、動物達は突然倒れ出し、海には見渡す限り魚が浮き始めた。地上と引き換えに自らを再生させたエデンは僕に受けたダメージを再生させていく。
エデンを倒すためには本当に世界を破壊する事になるのか?
「そうか、なら破壊しよう。法子のいない世界なんて何の興味もない」
僕の思考は極めて真っ直ぐだった。
少なくとも今の僕は短絡、自暴自棄になっているのかもしれない。
だから、答えは一つ。
「僕の全ての魔眼の力をエデンに」
それは自爆だった。
魔眼の力を限界を超えて暴発させて僕もろともエデンを葬ってやる。
「クォオオオオオオオ!」
もう何もかも終わらせる。
そう覚悟した時、強制的に僕に向かってテレパシーが入って来た?
「阿修羅よ!お主が時を超えた理由を思い出すのだ。エデンを倒す答えがそこにあるはず!」
その声は太白金星の声だった。
太白金星は僕が時の鏡から抜け出す際に助けられた。
だが、もうそれも意味をなさない。
法子のいない世界なんて・・・
そう思った時、僕は手に残る温もりを思い出した。
それはアータルとミストが最後に僕の手を握った時に感じた温もりだった。
彼らとの出会いで僕は託された。
「世界を救う」
しかし僕にとっての世界は法子であって、法子のいない世界に興味も価値も感じられなかった。
と、そこに太白金星のテレパシーに乗せて孫悟空が声を届けて来たのだ。
「阿修羅!頼む。法子が守ろうとしたこの世界を守ってくれ!この世界の未来を俺様達は法子に託されたんだ」
「法子に託された世界」
孫悟空の言葉は僕の価値観を変えた。
「そうか、法子が守ろうとした世界は僕が守る」
同時に時の修行での体験が思い出される。
そしてこの状況を打破出来る解決策が過ったのだ。
迷込んだあの世界で知った旧祖神、始祖神、壊祖神の戦い。
あのエデンがその超越した神であるのなら、アフラマズラとアンラ・マンユはその侵略から自分の世界を守れた。その鍵となったのがメシアの存在。
もし本当に僕の中にメシアの力が宿っているのなら、コレを使えば?
僕が手にしたのは時の世界から唯一この世界へと持ち込んだモノだった。
「光のリング」
このリングにはアフラ・マズラの力が宿っているはず。
世界の終わりに現れた壊祖神から世界を救った手段。
「そうか、僕にはまだやるべき事が残っていたんだね。僕の歩いて来た道にも意味があったなんて」
僕は手にしたリングにかけたのだ。
だが、エデンも僕を始末するために、いや?この世界に生存する全ての生き物を根絶するために動いたのだ。
「このワタシの膝下で湧き出した穢らわしい虫ケラ共よ、今、この時まで生かせてやったワタシからの恩恵をその命をもって捧げ返して貰うぞ」
エデンの大地からエネルギーを引き出す力が急上昇していく。
同時に身体から猛毒とも思える障気がエデンを中心に広がっていく。
僕の命をかけて法子が守りたかった世界を救ってみせる。
その為に必要なアイテムはこの手にある。
アフラ・マズラの力が込められた光のリングが!
僕はリングに金色の魔眼の力を注ぎ込むと、リングは発光して僕に力を与えてくれたのだ。
「これが光の最高神の力?アフラ・マズラの力なのか?これなら!」
漲る力は僕の姿を変えていく。
「光明阿修羅!」
光の鎧を纏い、僕の力は更に跳ね上がる。これならいける!
僕はエデンに向かって攻撃を仕掛けた。
「天地万浄」
その一撃は天地を裂く程の威力だった。
雲を貫くエデンの身体が聖なる光の剣で斬り裂かれる。
だが、エデンも同じく無限の力ウロボロスを解放させたのだ。
「この世界を一度消し去り、再び新たな世界を創生させてやろう」
エデンは大地からエネルギーを一気に吸い上げると、その付け根から滅びが始まったのだ。大地は塵と化しながら広がっていく。そして引き上げた力は僕に向かって放たれたのだ。
「ウグゥオオオオ!」
僕はその攻撃をモロに直撃を受けたが、リングの力で持ち堪える。
もしリングが無ければ間違いなく僕の身体は塵と化していたかもしれない。
同じく広がる滅亡は地球を生き物の住めない世界へと変えていく。
「させるかよー!」
「オラも!」
「私も!」
孫悟空達が残り少ない力を振り絞り、防御壁を張りながら滅びの進行を止めていたのだ。
そして牛角魔王、蛟魔王、鵬魔王、目覚めた百獣王に万聖龍王。
更にこの世界に生きる全ての者達が命をかけて、生命エネルギーを注ぎ込む。
「我々も今戦場で戦っている者達だけに頼るな!今、俺達に出来る事を!」
ナタクが戦場で叫ぶと、次々と神軍も妖怪も力を合わせてその場で膝をついて大地に手を置き力を注ぐ。
その場には影の一族も、青鬼一族の黄袍怪もいた。
「私達も出来る事をしましょう」
「致しましょう!」
「我らの力をお使いください」
鹿力大仙、虎力大仙、羊力大仙。
天界の武神達も連なっていた。
「お、俺も!」
玄徳は青龍刀を大地に突き刺して力を注ぎ込む。
次々と加勢する生き残りをかけた戦いだった。
だけど
正直、矛盾している。
これではエデンに力を与えているみたいじゃないか?
けれど止めてしまえば僕達の生きる世界は滅びてしまう。
これでは時間の問題ではないか?
皆が力尽きたら、世界が滅びる。
放っていても世界は滅びる。
僕が攻撃を与える度に孫悟空や力を注いでいる皆が力尽きるのが早まるのだ。
つまり僕が皆を殺す事になる。
「僕はどうすれば?」
完全に詰んでしまった。
せっかくリングを手にしたと言うのに。
僕が手をこまねいている間も滅びは広がっていた。
大地にエネルギーを送る者達も力尽きていき次々と倒れていく。
時間がない・・・
するとエデンはこの状況を好機と再びエネルギーを吸い上げる勢いを増す。
大地がエデンを中心に障気を撒き散らしながら濁流のように広がっていく。
もうこの勢いを止められる者はいない。
世界が終わる?
誰しもがそう思った時、突如天から光明がさして、五つの光が降りて来たのだ。
「あ、あれは!」
孫悟空が叫ぶと二郎真君が答える。
「まさか天が降りて来るなんて!!」
「天だと?」
天とは天上界を統べる王達の事であった。
そしてその存在は世界中に希望を持たせたのだ。
持国天、増長天、広目天、そして金吒、恵岸行者、ナタクの父親である多聞天こと毘沙門天の姿であった。この四武神を総じて四天王と呼ぶ。
そして最後に現れた天に僕の本能が揺さぶられた。
「アイツは僕の敵!」
だが、何故僕がその神に対して敵対心を抱いているのかの理由は分からない。
けれど魂が騒ぐのだ。
「奴を倒す!」
僕はエデンよりも先に現れた最高神に向かって行くと、攻撃を仕掛けていた。
それに気付いた四天王が立ち塞がろうとするが、その行為を制した最高神は僕に向けて力を放ったのだ。
「!!」
その拒絶の覇気は突進していた僕を押し止めると、更に身体を拘束させる。
「愚か者。お前が戦うべき敵を見誤るな!お前が倒すべきは」
最高神が指さしたのはエデンだった。
すると最高神の手から何かが飛んで来て、自由になった僕の手に収まる。
「こ、コレは?」
手にしたソレを見て僕は驚愕する。
何故ならそれは見間違う事なき闇のリングであったから。
それは僕の光のリングと共鳴していた事で間違いないと確信する。
しかしあり得ない。
何故なら闇のリングはウルスラグナが持ち去ったはず?
なら、最高神はウルスラグナなのか?
見上げたその者の姿はウルスラグナとは別神だった。
そしてその最高神は告げる。
「我が名は帝釈天。天上界の王。阿修羅よ!その力を手にエデンを討て」
僕は答える。
「例え強大な力を持つリングを手にしたとしても、地上からエネルギーを吸い出して再生するエデンを倒すなんて事どうやって?」
帝釈天は答えたのだ。
「その為に我らが降臨した」
「えっ?」
四天王達が四方向へと飛び去ると、エデンを中心に印を結び唱える。
するとその身体から金色に光り輝くオーラが広がりつつ巨大な結界を作り上げたのだ。
「聖天の壁連気」
そのオーラを見て牛角魔王が反応していた。
「あれは聖天の力か?」
「聖天の力?」
紅孩児の問いに牛角魔王は拳を握りしめていた。
「羅刹女の奪われた力だ・・・」
「えっ?母上の?」
これはまた何か因縁があるようだけど、今の僕には分からない事だった。
そして帝釈天が僕に言った。
「一時的に地上界からエデンを切り離す。そのタイミングを狙い撃て」
「!!」
それは与えられたエデン討伐の賭け。
全てが僕の肩にのしかかる。
僕の戦いは終わらない。
次回予告
帝釈天の与えたチャンスで阿修羅は覇王エデンを倒す事が出来るのか?




