覇王エデン!持ちこたえろ金色の戦士達!
覇王エデンが世界を取り戻す時、全てが無に帰す。
しかし金色の魔眼を持ちし戦士達が立ち塞がる。
俺様は孫悟空
俺様達が覇王と戦っていた時、沙悟浄と鉄扇は白蛇の巫女に覇王の正体についての情報を知り得ていた。
「そ、そんな・・・」
白蛇の巫女が語るは、自身が覇王の巫女として選ばれた話だった。
本来、白蛇の一族は特殊な能力を持つ事があり、崇拝されていた。
その力の根源は大地の気の流れを読み取る事が出来る事。
白蛇の巫女はその能力が特別長けていた。
その力で真理を覗き見た時に世界の始まり、星の始まりを見てしまったのだ。
この世界は始祖神をも凌駕する一人の超越神によって生み出された。
その存在の名はエデン。
無から世界が誕生した際に現れた旧祖神であり、地球と呼ばれるこの星はそのエデンより誕生した。
その経緯は複雑であった。
エデンは他の旧祖神と異なる思想のため、仲間達に存在を消されたのだ。
そして残された肉体は球体の星として使われたのだ。
その星の名は地球。
しかしエデンの魂は完全には消えてはいなかった。
再び肉体を得て蘇ろうとしていたのだ。
エデンの魂の欠片は手足の無い生き物として現れた。
その姿こそ蛇神の始まり。
エデンは神が作りし世界を滅ぼし、自らの変わり果てた地球を再び自分のモノとして取り返そうとしていた。そこで蛇神族を創造し、この世界を牛耳る神たる存在の前に再び現れたのだ。
「つまり私達はそのエデンって神様から作られた世界の上に生きているって事ですね?そしてそのエデンって神様が私達を排除して蘇ろうとしていると?」
「そうよ・・・お前達が相手に出来る次元が違うのよ!だからこそ那我羅様はエデンを自らの身体に封じたまま復活を食い止めていたと言うのに」
「えっ?それって?」
白蛇の巫女は確かに覇王エデンの巫女として選ばれた。
しかしその器たる資質のあった那我羅に特別な感情を抱いてしまったのだ。
那我羅の目的はエデンを永遠に自らの身体の中に封じる事であった。
その為には成長が必要。
強者と戦い、エデンを抑え込む精神力が必要であった。
那我羅は白蛇の巫女には告げていた。
「この俺が相手にしているのは、とてつもなく強大。しかしエデンの好きにはさせん。俺を選んだ事が奴の運の尽きだ」
「那我羅様・・・」
「俺は誰にも束縛もされんし、操られる事は性に合わん」
しかしエデンの意思は徐々に那我羅の魂に呼び掛けては、誘惑して来た。
〈超越した力を与えよう〉
那我羅には甘い誘惑は通用しないが、洗脳に近い意思に抗うには、自らが強く有らねばならなかった。
強者との戦闘。
覇蛇を誕生させて自らと戦わせる事。
これは自身を強者にさせるために那我羅の意思で行っていたが、それは全てエデンに仕組まれていた。
エデン復活の鍵。
それは那我羅が敗北する事だったのだ。
「それじゃ私達は覇王を倒す事が出来ないじゃないのさ?那我羅を選んでもエデンを選んでも私達の居場所ないじゃない?」
鉄扇に対して白蛇の巫女は答える。
「エデンが蘇った以上、どちみち私達に居場所なんてないわ。そうか、だからあの救世の娘は・・・気付いていたと言うの?」
それは法子の事だった。
法子は覇王との一騎討ちの中で覚醒し、那我羅を追い詰めた。
しかし命を取らなかった。
その理由が初めて分かったのだ。
しかしその行動も全て俺様が壊した。
俺様が那我羅を倒した事で、その中にいたエデンが那我羅の身体を手に入れて復活してしまったから。
「全て手遅れなのですね」
「そうさ。全て終わりよ・・・那我羅様のいないこの世界で生き延びても私には意味がないわ」
すると沙悟浄が立ち上がる。
そして鉄扇の傷付いた手を握り真っ直ぐと瞳を見て答えた。
「鉄扇ちゃんは待っていてください。必ず戻って来ますから」
「嫌よ!私も行くわ!」
沙悟浄は首を振ると、優しく答える。
「嫌いになっちゃいますよ?」
「うっ!」
鉄扇は顔を赤くして頷く。
沙悟浄は絶望的な話を全て聞いたにもかかわらず、再び戦場に出向こうとしていたのだ。
「お前は馬鹿か?全て手遅れ!お前が行こうが早死にするだけだと何故分からない?この世界はもう終わりなのよ!」
沙悟浄は振り向き白蛇の巫女に答える。
「はい。確かに私は馬鹿です。だから決まってる答えなんて分かりません。まだこの世界が存在しているのですから、まだ何とかなっちゃうかもしれないって思ってたりしてるんですよ〜」
その時、白蛇の巫女は気づく。
沙悟浄の瞳が金色に光り輝くのを。
「それに私だけでは確かに無理ですけど、今も抗って戦ってる兄貴達や仲間達がいるんです」
そして沙悟浄は飛び立ったのだ。
俺様達がいるこの戦場に向かって!
覇王の正体は、俺様達が生きているこの大地?この地球と呼ばれる世界そのもの。
その思念体こそ蛇神の意思であり、那我羅の身体を手に入れた覇王エデンなのだ。
さて現場に戻すぞ?
俺様は今、五行獣神曼陀羅陣発動のために時間を必要としていた。
その為の時間を八怪、紅孩児、二郎真君が金色の魔眼を発動させてエデンに挑む。
「うぉらぁあああ!」
八怪が釘鈀を振り回して斬りかかると、覇王は軽々と剣で受け止める。
「オラは破壊の申し子らど!」
すると覇王も気付く。
手にした剣が勢いに負けて粉砕したのだ。
堪らずに手放すと、上空へと瞬間移動していた。
「逃がさんぞ!」
先回りした二郎真君が三尖両刃刀を手にエデンが移動した先に攻撃を仕掛ける。
「お前がこの戦争の現況であるなら、俺がお前を必ず倒す!それは武神としてではなく友のために!」
二郎真君の額が割れると、第三の眼が出現し、更に勢いを増す。
「天界も直に滅ぼすつもりだ。早かれ遅かれ全てを無に返す。私にはその権限があるのだからな」
二郎真君の突き出す三尖両刃刀を紙一重で躱しながら、その両掌に圧縮させた蛇気が膨れ上がっていく。
しかもその大きさは一気に膨れ上がったのだ。
「滅びよ、我が身体に湧いた蛆虫ども」
エデンは両手に作り上げた巨大な蛇気玉を二郎真君に向かって飛ばした。
「蛇魔打弾」
その凄まじい膨大な蛇気弾は二郎真君を飲み込もうとしていた。
「太陽の魔眼!」
そこに紅孩児が全身を金色の炎で覆い飛び込むと、エデンの蛇気弾が内部から一気に燃え上がり消滅した。だが、エデンが放った蛇気弾は二つ。
「クッ、もう一つあるのかよ!」
もう一方の蛇気弾が迫る直後、
「私に任せてくださーい!」
それは沙悟浄の声だった。
上空から飛行雲から落下しながら両掌を合わせると、念を込める。
すると沙悟浄の瞳が同じく金色に光り輝いたのだ。
「千手活波」
沙悟浄から放たれた閃光は向かって来た蛇気弾を浄化の光で消し去ったのだ。
「お待たせしました〜!私も皆さんと一緒に戦わせて貰います!未来のために!」
へへへ。
沙悟浄、やっぱり生きていたのだな。
再び、一緒に戦えるなんて嬉しいぜ!
「金色の魔眼を持ちし者共がこの場に六体も現れるとはな。ワタシとお前達、どちらかが根絶やしになるまで戦い続ける運命か。それも良かろう。今、この時をもって終わらせてやろう!」
今、金色の魔眼を所有するのは陣形に集中して動けない俺様と百獣王、そして戦っている八怪、沙悟浄、紅孩児に二郎真君だった。
「多少、我が体に傷が付くだろうが見せてやろう。お前達が相手にしている者が何なのかと言う事を!」
「!!」
直後、静寂が襲った?
何だ?
まるで嵐の前の静けさのような?
この感覚は?
すると目の前のエデンの身体から異様な力が噴き出して来たのだ。
その時、誰も動けなかった。
全身が金縛りに合ったかのように目の前のエデンの豹変から目が離せなかった。
その額に蛇神の紋章が浮かぶ。
アレは?二匹の蛇がお互いの尾を飲み込もうとしているのか?
「これがウロボロス。無限の力だ!」
「!!」
その場にいた全員が本能的に恐怖を感じてしまった。
今まで命懸けで培った戦歴が子供騙しのように思える。
今、相手している相手は次元が違うと。
「畏怖せよ。お前達に選択肢はない。滅びの選択肢以外はな!」
だが、その圧倒的な敵を前にしても
「関係ねぇら!オラはこの足を止めねぇら!なんぴたりともオラを止める事は出来ねぇら!」
「そうですよ!私達が怯んだら、今までの全てが無駄になります!どんな困難も必ず道はあります!だから、どんなに強大な相手だとしても私達は前へ突き進みます!」
八怪と沙悟浄、俺様の信頼出来る兄弟弟子。
共に悲しみを乗り越え、義兄弟達とは別に強い絆で結ばれた同士なのだ。
「俺様も負けないぞ!俺様は決めたんだ!俺様がこの世界を悲しみのない世界にしてやると!」
紅孩児。
共に強くなる事を誓った俺様の親友。
どちらかが本当に苦境に陥った時に、必ず助け合えるために。
「そうだ!俺もまた武神としてではなく、二郎真君として戦おう!」
顕聖二郎真君
天界大戦で俺様と一騎討ちをし、この俺様が追い詰められたがほどの天界の武神。
互いに全力で戦って分かった。
もし出会う場所が違えば酒を交わせる良い友になれたと感じた。
しかしまさか本当に共に戦えるなんてな?
まったく不思議な縁だぜ!
「かかって来るが良い!愚かなる者達よ!」
エデンの手に八怪に破壊されたはずの覇蛇の剣が出現する。
この戦いは熾烈を極めた。
エデン相手に魔眼を持った四戦士の戦い。
「くぅわ!もう俺の力だけでは抑えきれないぞ!マジによ〜!」
龍脈の気を使い大地が崩壊するのを抑え込んでいた万聖龍王が限界に来ていた。
が、そこに新たな龍脈が光となって大地の揺れを止めたのだ。
「これは?そうか、戦っているのは俺達だけじゃないって事か。なら俺ももう一踏ん張りしないとな!」
それは遠く離れた場所からの援軍。
生き残った龍神族の民が大地を通して力を注ぎ込んでいたのだ。
また今もなお龍神兵達と戦っているナタク率いる天界と地上の軍隊。
そして力無き民の地を守っている太公望。
更には戦場にいない地上に生きる妖怪や聖獣、神族までもが大地に向けて力を注ぎ込んでいたのである。
「ワタシの恩恵で生きている虫ケラが何処までも生意気な!」
直後、ウロボロスの力が障気の蛇となって戦っていた八怪達に絡みつき動きを止め締め付けたのだ。
「ぐわぁああああ!」
高熱を帯びた猛毒で四戦士達の魔眼の力が消えて地面に落下していく。
「ふふふはははは!魔眼の力を持っていようが、揃わなければ恐れるに足らず。残るはあそこで何か悪あがきをしている連中を始末するだけだな」
エデンはまだ陣が完成していない俺様達を標的にしたのだ。
マジかよ?もう限界か?
「もい良い!このまま俺様は戦う!」
しかし先走る俺様を蛟魔王が制止する。
「もう少しだ!もう少しなのだ!耐えろ!不十分だと返り討ちに合うだけだぞ!孫悟空」
「しかしよ!」
「今は信じて集中するのだ!」
だが、一刻を争う。
エデンはゆっくりと俺様達に向かって来ているのだ。
そして俺様達に剣を向けて斬撃を放とうと振り上げた。
「!!」
その時、一瞬冷気が一帯を覆う?
同時にエデンが剣を振り上げた姿勢で凍り付いていたのだ。
な、何が起きたと言うのだ?
すると異色の気を持つ者が戦場に近付いて来たのだ。
「お前達の策に乗ってやろう。僅かだが私が時間を稼いでやる」
その者から発する気は神気と妖気が混ざり合っていた。
神族?それとも妖怪?
しかし発する圧は始祖神に匹敵した。
「まさか、アイツ?」
俺様はソイツから金角児と銀角児の気配を感じ取った。
「大上狼君、参ろう!」
すると覇王を覆う氷が粉砕して中から再び現れたのだ。
「覇王よ!我が七星剣の輝きを見よ!」
七星剣とは天上界最高の剣。
その輝きは星をも砕くと言われていた。
「お前は始祖神か?お前からはワタシを封じ込めた旧祖神の臭いがする。良かろう、再びワタシに挑むのであれば今度消されるのはお前達だと知れ!」
大上狼君は七星剣に全ての神妖気を吸わせると、渾身の一振りを放つ。
星の煌めきは氷結しながら迫る覇王を凍り付かせ絶対零度の氷の棺に閉じ込める。
しかしエデンの蛇気によって再び粉々になると、二度三度と七星剣を振るったのだ。
七つの光が絶対零度の氷狼となってエデンに襲い掛かる。
「太公望の奴め!私を時間稼ぎに使わせた事は後で必ず借りを返させるぞ」
大上狼君をこの戦場に送ったのは前線に出ていない太公望だったのだ。
だが、上狼狼君の力はエデンには及ばなかった。
「消滅するが良い!始祖神よ!」
エデンが覇蛇の剣で大上狼君に向けて斬ろうとした時、
「私の仕事は終わった。少なからず足止め出来たようだぞ」
「何?」
直後、凄まじい力がエデンの前方で天地を繋ぎ、世界が異変に騒ぎ始めた。
「待たせたな!」
今、俺様の声が世界に響き渡る。
次回予告
孫悟空が?
この絶望的な状況を変えられるのか?




