再び交わる天界三兄弟の絆!
手下の妖怪をお供に金蝉子一行お供が参戦。
しかしこの戦場には天界の武神も忘れてはいけなし。
私は法子。
この状況は私達にとってどっちに転ぶの?
マダムの蛇神城の通路を歩む金蝉子の後を金吒さんが追うように歩きながら状況を説明する。
「先に向かったのは確かお前の弟だったな?」
「そうだよ。ナタクだ」
「いつか見たガキか」
「それよりあの蛇神を相手に大丈夫なのか?あの三人の手下?手助け必要ではないのか?それとも捨て駒にするつもりなのか?」
「放って置け!俺が自ら鍛えてやったんだ。もし死ぬようなら容赦せん。俺があの未熟共を殺して一から鍛え直すまでだ」
「あ、そぉ・・・」
何か滅茶苦茶な事言ってないかしら?
不憫な三人ね・・・
「なら話を戻すぞ?」
金吒さんは金蝉子は状況を伝える。
この蛇神城の当主は真蛇王マダム。
そして強力な大蛇王が守護していて、聖獣の白澤と金吒さんの弟である恵岸行者(木吒)さんが捕らわれ、贄にする事でマダムは更に強大な力と百メートル級の大蛇王の軍隊を千体以上産み出せると。
「状況はそういう事だ。理解したか?」
「俺には関係ない。俺はただムカつく奴らを跪かせ、打ちのめすまでだ」
「なるほど。つまり金蝉子は蛇神を倒す。俺は捕らわれた弟と白澤を救い出す。これでお互いの邪魔はしないし協力関係取れるわけだ?」
「ハァ?俺はただ」
「金蝉子も俺の弟に恨みかってるのだろ?ここで一つ恩でも与えて置けば、後々動きが楽になると思わないか?何なら俺から一言言ってやるよ?」
「余計なお世話だ!」
恵岸行者(木吒)さんは金蝉子を単独で討伐するために地上界にいるの。
すると二人は通路を抜けたの。
「!!」
抜けると同時に上空が影に覆われる。
それは百メートル級の大蛇が金蝉子達が通路を出て来た所を踏み潰そうとしていたの。
「相手をしろ」
金蝉子が命じると、背後より駆けて来た大柄な妖怪が巨大な大蛇の尾を受け止める。
大柄と言っても自分の数十倍以上ある大蛇を掴み上げて、柱に向かって投げ飛ばしてしまったの。
な、何て怪力なの??
その妖怪は白き身体の長い鼻を立て、見える二本の牙が貫くように伸びている。
あ、あれ?あれ?
私、この妖怪見た事あるわ!
確か〜そうよそう!
かつて錬体魔王さんが太古の化石に妖気を籠めて錬成して生み出した妖怪を上回る妖恐。
の生き残りだったかな?
確か昔、唯一戦場に現れずに眠っていたところを再び目覚めさせたんだったわね。
マンモスの妖恐・黄牙白象!
「フゥオオオオオオオ!」
そして駆け出し投げ飛ばした大蛇に襲いかかる。
「さて先に向かおう」
「とんでもない化け物を仕えさせてるな?」
「そうか?」
金蝉子達の侵入はマダムの城塞では大事になっていた。
しかし城塞の外も中でもこの侵入通路に追い付く事が叶わなかったの。
まるで迷宮。
近付こうにも新たな通路が現れ逆方向や来た道を行ったり来たり。
はたまた同士討ちまで始める始末。
一体、何が起きていると言うの?
「あの妖怪の幻術のようだな」
金咤さんは金蝉子の前を率先して歩く小柄な老人の妖怪の仕業だと気付く。
黄眉大王
その幻術は神をも謀る魔性の力。
何者も解く事は出来ないとか。
金蝉子は黄眉大王のみならず他の妖怪達にも金の輪で逃げられないようにしていたの。
「全く年寄り妖怪の扱いが荒いわい。と、言っても儂は戦闘には不向きじゃから身は安全じゃがのぉ〜。ふひゃひゃひゃひゃ〜」
しかし残る大蛇王達は侵入者の動きに合わせ、マダムに気付かれずに始末しようと動き出していた。
そして通路の先に広がる闘技場のような場所に出る。
そしてその先に新たな通路の扉が見えたの。
「どうやら道が分かれているな」
「なら俺は右に向かうとするよ。こちらから弟達の気を感じるしな」
「なら俺は左へ向かわせる。胡散臭い気を感じるからな。それまで暫し俺はここで茶を飲むとしよう」
「はっ?」
金蝉子は腰を下ろすと黄眉大王が急ぎ用意した茶を飲み、饅頭に手を伸ばす。
「初任務だ。良い仕事をして来い」
金蝉子に命じられて先に向かった妖怪がいた。
「何故、俺がこんな事を」
ブツブツと文句を垂れながらも、額に嵌めた金の輪が外れない事にイライラしながら左の通路の先で待ち構えていた新たな大蛇王の前に姿を現したの。
「お前一人か?俺は大蛇王ボルグ。どうやら他の連中は逆の道に向かったようだな?まさか小者が迷い込んで来ようとは!早々にかたずけ、逃げた連中を追うとしよう」
「それは違うぞ。何処に目を付けている?いらぬなら、その眼を貰うぞ?」
金蝉子の手下の妖怪は大蛇王ボルグの前にその姿を見せる。
魔術師のような黒いマントを脱ぎ捨てると、その姿に私は見に覚えがあったの。
額に見える第三の瞳。
そして全身に現れる瞳が開く!
あいつって百眼魔王よ!
百眼魔王。
西の遺跡で私や孫悟空達を苦しめた魔王。
けれど私達の絆で倒したはず。
本当にヤバい奴だったんだって〜
まさか、生きていたなんて!
「俺の眼差しにお前は狂い死ぬ」
そして逆の通路に向かった金吒さんは地下に続く道を見付ける。
「ナタクは下か?」
そして飛び降りると、地下は闘技場になっていた。
そこにはナタクが大蛇王ガウを相手に苦戦していたの。
金吒さんはナタクの戦いを見ながら一度足を止める。
ナタクは連戦が続き、消耗している。
それでも闘志は消えてはいなかった。
「壊れるまで戦い続ける戦闘人形か・・・」
金咤さんは思い出す。
ナタクは三兄弟の中でも異質。
産まれて間もなく一度殺された弟。
そして手にかけたのは実の父。
それでも宝貝の身体に魂を移して甦った弟。
兄で有りながら弟であるナタクに恐怖する事もあった。
闘う姿は機械と同じ。
心無く敵を葬り、任務を果たす。
本当に自分の弟なのだろうかと疑問も過ぎる。
二郎真君さんや楊善さん、そして捲簾さんと絡むようになって多少なりとも変化は出てきた。
時折見せる感情に安堵したくらい。
しかし戦う時の姿を見る度に心が痛くなる。
「その戦いでは己を壊してしまうと何故気付かないのだ!」
そんなナタクを見る事は無くなる。
金吒さんはお釈迦様のもとに弟子入りし、弟の木吒さんは観世音菩薩の弟子になり家を出たから。
「俺はナタクを見て見ぬふりをした」
大蛇王ガウの障気がナタクの身体に絡み付き身動きを止められる。
「か、身体が動かぬ!?」
ナタクにはもう障気を祓う力が残ってはいなかった。それでも力任せに障気を破ろうとする。
強引な脱出方法はナタクの身体を痛め、ミシミシと音が響き渡る。例え宝貝の肉体だとて限界がある。
その時、閃光の如き神光が障気を消し去ったの。
「ナタク。待たせたな?兄が来たぞ」
「恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしくあるものか。俺はお前の兄で、お前は俺の弟だからな」
ナタクは返答はしなかった。
ナタク自身、兄と呼ぶ事に躊躇していたから。
無意識に遠慮し、距離を取っていたから。
「そしてもう一人の俺の弟、そしてお前の兄がこの奥にいる。必ず救い出すぞ!」
「無論」
金吒さんはナタクに命じる。
「ここは俺が引き受けた。お前は木吒を救出に迎え!時間が無い事は理解しているだろ?」
「・・・」
本来なら「問題ない」と意地を張るナタクだけれど、この奥から微かに感じる恵岸行者さんの神気が急激に奪われて魂の力が消えかけていたの。
ナタクは頷くと、雷気を全身に纒い奥へと続く通路へと飛び込む。
「この俺を無視して逃しはせんぞ!」
その行く手を阻む大蛇王ガウがナタクに追いつき腕を伸ばそうとした時、その腕は弾かれる。
「弟の喧嘩に手を出すのはどうかと思うが、代わりに相手をさせてもらう」
「邪魔をしたな?ならお前を先に八つ裂きにして、先の者にお前の首をもぎ取り目の前で潰してやろう」
「出来るかい?お前にこの金吒を倒せるものなら倒してみせよ!弟達は兄である俺が守る」
金吒さんの神気が膨れ上がる。
大蛇王ガウは舌を伸ばして己の指先を舐めながら笑む。
「どうやらお前も狩りがいがあるようだ」
そして先に向かったナタクには侵入者に気付いた蛇神兵が襲いかかる。
ナタクは稲妻の如き動きで次々に蛇神兵達を寄せ付けずに斬り伏せたの。
たとえ消耗していても下級の蛇神兵相手にはナタクに敵うはずなかった。
そして地下最下層に辿り着く。
「くっ!これは!?」
ナタクがそこで目の当たりにしたのは、恵岸行者さんが植物のような蛇神の身体に取り込まれ石化した状態で力を吸収され続けていたの。
ナタクは助け出そうにも道を塞ぐ植物の蔓が塞ぎ邪魔をして通れなかった。
そして何より棘が鋭利な刃のように傷付ける。
この植物の蛇は城の最上階にまで伸びているに違いない。そして恵岸行者さんの力を強引に吸い出し送っているの。その目的は拘束不可能な白澤を掴まえているための結界拘束に使われていたの。
恵岸行者さんはぐったりして身動きしていなかった。
まだ吸い出されている力を感じるから生きてはいると思うけれど、それでも時間の問題だったの。
「問題ない」
ナタクは棘の蔓の中に入り込む。
身体を切り裂き、半身半宝貝の身体からは血と神気が漏れ出していたの。
痛みはある。
それでもナタクは兄である恵岸行者さんを救おうとしていた。
それはナタクの父親への想いがそうさせていたの。
「兄上が死ねば父上が悲しむ。この俺の命で代わりになるのなら」
ナタク?
それってどう言う意味?
かつてナタクは一度死んでいる。
それは自害。
しかしその裏にはもっと辛い真実があった。
幼きナタクを殺そうとした者がいたの。
しかも、それがナタクの父親だったなんて。
ナタクは父親の手で殺される事よりも自らで死ぬ事を選んだの。
しかし再び甦ってしまった。
戦闘人形闘神ナタクとして。
しかしナタクはそれでも自分を殺そうとした父親に認められようと数々の戦場に飛び込み戦歴を重ね、数多くの功績をあげ元帥にまで上りつめた。
それでもまだ足りない。
だからこそ自らの命を顧みずに父親に愛されていた兄達を救う事はナタクにとって優先だったの。
勲章よりも功績よりも、父親は実の子である兄達を愛していたから。
そんな、犠牲的感情悲し過ぎるわ
ナタクの血は植物の棘から吸収され蔓を通して染み込んでいく。
その流れは恵岸行者さんにも伝わる。
血と同じく感情までも。
微かに指先が動く?
「ナタクゥウウウウウウウ!!」
ナタクの感情に呼び覚まされた恵岸行者さんがナタクを叫ぶと、その生気が蘇ったの。
「ナタクー!お前が父上のために生きるなら、俺達兄は弟であるお前を守る支えとなろう。忘れるな!私達は間違いなく兄弟なのだからなぁー!うぉおおおおお!」
恵岸行者さんから神気が高まり、石化が剥がれ落ち、身体を拘束していた蛇神の蔓を力任せに引きちぎり脱出し、着地と共に塞がる棘の蔓をかき分け目の前のナタクを抱きしめたの。
兄の指から垂れる血を見たナタクが呟く。
「俺のために血を?」
「ナタク。流れる血がお前との絆を深めるなら、私は幾らでも血を流そう。だが忘れるな?例え全ての血が失ったとしても、お前との兄弟である血は絶える事は決してない」
そしてナタクの腕を掴み、握りしめる。
「済まなかった。今までお前と父上との確執を見て見ぬふりをしてしまい」
「兄上のせいではありません」
二人は肩を借り合い上層へと向かう。
そこにはもう一人の長男である金吒さんが戦っている最中だったから。
しかし二人は上りつめた場所で衝撃を受ける。
そこには金吒さんが血だらけで床に倒れていたから。
しかも大蛇王ガウの他にもう一人立っていたの。
大蛇王モルツ。
「結界が綻び始めたと聞いて見にくれば逃げ出してしまったようだな?面倒くさい。おい?お前、直ぐに戻って結界の一部に戻れ!お前がおらんと結界が役立たずなんだよ!コラァ?」
そして倒れている金吒さんの頭を踏み付ける。
その行為にナタクと恵岸行者さんは怒りに飛び出していたの。
「しゃらくせー」
新たに現れた大蛇王モルツは向かって来たナタクに殴りかかると、その腕が巻き付く蔓に止められ、顔面にナタクの蹴りをくらい吹き飛ぶ。
蔓を鞭のように使ったのは恵岸行者さんだった。
「弟には手を出させん!」
そしてナタクが金吒さんを抱きかかえる。
「油断するな、もう一人いるぞ」
「!!」
すると部屋の中を蠢く何かがナタクと金吒さんを見えない攻撃で弾き飛ばす。
「うぐぅわあああ!」
壁に直撃する寸前、二人に蔓が絡みつき受け止めると、そのまま恵岸行者さんの隣に着地する。
すると透明だった新たな大蛇王が姿を見せる。
大蛇王モルツ
大蛇王ガウ
大蛇王スビエ
三体の大蛇王に対して今、
金吒さん、恵岸行者さん、ナタクの神族三強三兄弟が揃い相手する。
そんなこんな。
次回予告
バトルは更にどっかんバトルへと突入。
あちらこちらで戦いが始まる中、
他の地でも動きがあった。




