それが彼女のためだから
龍神界が滅びた。
信じられない法子の前には同じ世界から来た魔導覇蛇がいた。
私は法子
私は魔導覇蛇に龍神族で起きた戦争を聞かされて絶望していたの。
龍神族とは旅で出会った縁があったから。
蛟魔王さんは最初のコンタクトは感じ悪かったけれど、干支十二神殿での戦いでは助けてくれた。
四海龍王の赤龍王さん、白龍王さん、黒龍王さんは孫悟空と玄武の件で協力してくれた。
それに龍神界に足を踏み入れた時には沢山のお土産も貰ったの。
その旅のお陰で私は阿修羅と玉龍君と知り合えたのだから。
「本当に全滅したの?蛟魔王さんは?玉龍君は?ねぇ?どうなったのよ?」
私の問いかけに魔導覇蛇は答える。
「既に龍神の国は跡形もなく消えたよ。僕の偵察眼が消滅の光に巻き込まれて消えたから間違いないと思う」
「そんなぁ・・・」
「そんな事より僕との協力関係はどうする?絶対に損ないしメリットだらけでしょ?どう考えても?」
私は黙り込む。
今はそんな事を考えてる余裕もないのに。
「それに僕には頼もしい配下達がいる。君にも何人か配下がいるようだけど心許ないだろ?だからさ!」
「うるさい!」
私はカツンときて怒鳴りつける。
「なぁ?何を怒ってんだよ??意味分かんない」
私は睨みつけて答える。
「私の仲間を悪く言わないでよ!」
私の凄みに魔導覇蛇は狼狽える。
「確かに貴方と手を組むのは悪くないと思うし合理的だと思うわ。けど私は私の仲間達と覇王を倒してみせる!だから貴方は邪魔しないで」
「馬鹿か?君は?君の仲間が束になっても覇王には手も足も出ないに決まってる!けれど僕なら覇王を倒す手段があるんだよ!それに僕が覇王を倒せば世界中に称賛される。そうこの異世界を支配して手に入れる事だって夢じゃないんだよ!」
「・・・・・・」
私は溜息をついたの。
「そうそう。それよ?」
「はっ?」
「何が世界平和よ?征服する気満々じゃない?覇王も貴方も一緒よ?少なくとも私は貴方と手を組まない。出直して!」
そう言うと私は部屋から出て行こうとする。
「!!」
その直後、私は金縛りに合って動けなくなったの。
「何を??」
すると目眩がして私はその場に気を失う。
残された魔導覇蛇は、
「やっぱり洗脳しなきゃ駄目なのかな?それが彼女のためだから」
そんな物騒な事を呟いたの。
その時!
蛇神城が突如揺れだしたの!?
「な?何が!?まさかもう覇王が帰還したのか?ちょっと待てよ!」
突然の出来事に慌てふためく魔導覇蛇は空中に原因と思われる映像を映し出す。
外に映し出されたのは?
「潜入じゃなかったのか?」
「うるさいら!」
「仕方ない。正面から突破するしかあるまい」
その現況は三人の武神。
ナタクに二郎真君さん、八怪の姿だった。
八怪は到着早々、破壊弾を蛇神城に向けて放ち直撃させたの。
それを叱るナタクと二郎真君さん。
「法子君に探索宝貝を忍ばせていた事が良かったよ。彼女は直ぐに俺達から逃げてしまうからな」
って、二郎真君さん?いつの間に??
それ犯罪よ??
「全く世話の焼ける女だ」
ナタクは遠い目をする。
「ここはオラ一人で十分ら!お前たちは戻っても良いんらぞ?」
八怪は一人焦っていた。
それは私が目の前で拐われた事の責任感。
そして仲間意識なの。
八怪達の襲撃に対して魔導覇蛇は腹立たしく思っていた。
「まさか取り返しに来るとは思わなかった。けれど返さないよ?彼女僕は運命の人なんだからな!邪魔はさせない!」
すると魔導覇蛇は私を念動力で移動させてベットに寝かせた後、思い付いたように部屋を出て広間に姿を現す。
「魔導覇蛇様!先程の揺れは?」
そこには既に九蛇達が出揃っていたの。
「まだ大老九蛇と握手九蛇は帰還出来てないようだな。少し転移の距離が遠過ぎたか。あの二人には悪い事をした」
九蛇の大老九蛇と握手九蛇はこの蛇神城を手に入れる際に邪魔であった軍蛇覇蛇軍と妖輝覇蛇を転移させた後、直接始末させるために一緒に飛ばしていたの。
だからこの場にいるのは七人。
「どうやらこの私の城に三人ほど侵入者が入り込んだようだ。そこでお前達に命ずる!その者達の首を私の前に持って来るのだ!」
九蛇達は頭を垂れる。
「この俺が三人共々始末して参ろう」
その九蛇は全身が甲殻類の全身鎧を纏っていた。
「僕達にも残してよ〜」
「そうだそうだ!」
姿形とも瓜二つの双子の九蛇。
「うふふ。私はあの男を喰らいたいわ」
若い娘の姿をした九蛇はナタクに目を付ける。
「あんまり城を傷付けるなよ、お前ら」
両眼を眼帯で隠した九蛇。
「ぼ、僕は恐いよ」
と、幼い姿をした九蛇もいた。
そして最後に髪の長い美しい九蛇が前に出る。
「私達、九蛇は魔導覇蛇様に忠誠を誓います」
その九蛇は一際強い力を持っている。
「頼もしいぞ?女帝九蛇よ!お前達がいる限り私も枕を高くしていられると言うもの。ふははは!」
すると女帝九蛇の合図で全員その場から消えて持ち場へと移動したのだった。
「魔導覇蛇様、私めは例の地下牢獄に監禁しているあの者の始末をして参りますわ」
「あの者?ん、あぁ!あの者か!そうか、うむむ。どうしようかな〜」
魔導覇蛇は悩み込む。
「あの者はまだ手を加えなくても良い。後々私自ら手をくだすのでな」
「くっ、そうですか。分かりました」
女帝九蛇は不満そうな顔をする。
「何か不服か?」
「いえ、魔導覇蛇様の仰せのままに」
しかし魔導覇蛇は女帝九蛇の隠している苛立ちが何なのか理解していた。
それは嫉妬だった。
何せ地下牢獄に監禁している者は絶世の美しさを持つ蛇神だったのだから。
その姿を見た魔導覇蛇は「殺すには惜しい」と監禁したの。
そして部屋には私まで生かして残してる。
そんな理由からの嫉妬だった。
「やはり異世界転生は女子にモテモテが定番だよな〜やっぱ!うふふふ」
ほくそ笑む魔導覇蛇。
そんな時、部屋に取り残されていた私は自力で金縛りを解いていたの。けれどまだ身体は自由に動かないし、どうやら念入りに霊力の流れを止められているみたいで力が入らなかったの。
「あの馬鹿〜」
私はふらつく頭を支えながら壁伝いに移動する。
すると、
「あっ!」
私は壁際の隠し部屋が開いてそこに入ってしまう。
「あいたたた。此処は何?」
そこは実験室のようだった。
そしてそこには離れた場所を映し出す例の水晶も置いてあったの。
私は好奇心で手に取る。
正直、見たいモノは沢山あった。
この蛇神城に今起きている事。
離れ離れになった孫悟空と阿修羅の居場所。
沙悟浄の事も気になるし。
でも、やっぱり一番気になるのは!
この世界に来る前にまで観ていたアニメとドラマの続きよね!
ってのは半分、冗談よ。
そもそも未来の番組なんて見えないし、この水晶を見るために霊力が必要なの。
だったら今、一番気になる事を最優先に観なきゃ駄目よ!
私は水晶に霊力を注ぎ込む。
力が抑えられているから上手く見れないわ。
けれど、気合いよ!
見たい場所をイメージしてチャンネルを変えるようにしてトラッキング機能で画像を調節する。
ような感じ?
すると水晶から光が灯しだして再び映像が浮かび上がる。
その場所とは?
場所は再び、龍神界!
映像はリアルタイムで龍神界を映し出す。
そこは廃墟と化していた。
もう何も残ってはいないの?
すると映像はアップするかのように場面を映す。
そこには腕を失い、全身ボロボロの蛟魔王さん。
そして庇うように玉龍君が生き残っていてくれたの。
「よかった!無事だったのね!」
けれど、その目の前には?
「ぐわぁはははははは!俺が王だぁー!王なんだぁー!覇王、俺に慈悲をかけたつもりだろうが、今に見ていろ!必ずお前も俺が倒す!」
そして倒れている蛟魔王さんと玉龍君を見下ろす。
「だが、その前にお前たちを始末してやろう。これ以上なく無惨に殺してやるからな」
二人に迫る狂気と化した輝皇覇蛇。
しかしそこには?あら?
「何だ?お前は?何処から現れた?」
本当に何処から現れたのか?
その者は突如目の前に現れたの。
その姿から龍神族の鎧を纏っているから蛟魔王さんと玉龍君の味方なのだと思うけど、玉龍君にはその者に見覚えがなかったの。
「あ、貴方はだ、誰ですか?僕達の味方?それとも?」
玉龍君の問いに龍の鎧を纏ったその人は答える。
「ん?俺か?俺は浦島だ」
えっ?浦島?だ、誰よ??
そんなこんな。
次回予告
再び龍神界に話が急展開。
しかも目の前に現れたのは浦島と名乗る男だった。
浦島と蛟魔王の物語は↓
天上天下・美猴王伝説!
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