荒ぶる蛟魔王の叫び!!
玉龍の危機の前に現れたのは?
かつて龍神族の裏切者であった蛟魔王であった。
輝皇覇蛇と玉龍との一騎打ちの最中、
その戦いに割って入ったのは蛟魔王だった。
蛟魔王
龍神族応龍の第二子・乙姫。
その資質は龍神界の歴史の中でも類をみない。
格闘技術から高難度呪術、軍師の才。
なるべくしてなった龍王。
しかし乙姫は龍神界の三種の宝具を奪い、地上界へと逃げ落ち、そこで蛟魔王として君臨する。
その後、孫悟空の前世である美猴王や義兄弟達と共に地上界から天上界を戦乱の世と変えた。
現在は地上権を四つに分け、南の地を統治していた。
「この私が、お前に引導を与えてやろう」
「お前に何が出来る?」
「耳がおかしいのかい?まぁ、良いわ!直ぐに分からせてあげるから!その身をもってね!」
蛟魔王から溢れる龍気が立ち込める。
「蛟魔王様、僕も!」
玉龍が蛟魔王の隣へ出ようとすると、蛟魔王は左手で制して止める。
「玉龍、お前の気持ちは分かるわ。だけど、それは私も同じ。ここから先は私の戦場。手出しは無用。ほら?分からない?私、らしくなくこれ以上ないほど怒ってるみたいなのさ。だから、巻き沿いに合いたくなければ下がりな!」
「は、はい!」
その言葉は穏やかに言っているが、まるで今にも切れそうな糸を繋ぎ止めているように感じた。
輝皇覇蛇よりも蛟魔王の方が恐いと思えるほど。
「さてと、準備は良いわ」
「出しゃばり現れた事を後悔させてやろう!女!」
輝皇覇蛇の周りに光の矢が蛟魔王を囲むように出現する。
その矢一本一本が生きた蛇。
貫き喰らう矢!
「串刺しにしてやろう」
輝皇覇蛇の瞳が光ると無数に蛇の矢がの出現して蛟魔王を囲み同時に放たれた。
蛟魔王は腰から鞭を手にする。
「宝具・蛇竜金鞭!」
※コウリュウキンベン
蛟魔王は鞭を手に振り回すと、まるで園を描くように向かって来る光の矢を打ち落としていく。
「いつまで耐えられるか?」
すると新たな蛇の矢が空中に出現しては蛟魔王目掛けて雨のように降り落ちる。
「いつまでと言うのは、どっちの事だ?」
「何だと?」
蛟魔王は鞭の手を止めると同時に無防備となる?
それは同時に自分に降りかかる矢が、
全て消えていたのだ。
「な、何だと?どう言う事だ?」
理由が分からないでいる輝皇覇蛇に蛟魔王が答える。
「お前の光の矢は一種の空間転移を使用した術だな?思ったより器用だ。しかし私も空間転移のエキスパートなのだよ。つまりお前の空間術を使ったこの一帯の範囲に被せるように新たな空間転移の術を張り巡らせて貰った」
それはつまり、輝皇覇蛇の放つ蛇の矢が全て蛟魔王の空間転移で歪ませた別の地点へと飛ばされたのだ。
更にその転移先は?
離れた場所の空間が歪み、輝皇覇蛇の降り注ぐ蛇の矢が出現し、
隠れていた蛇神兵達を頭上から降り注ぎ貫き消し去る。
「お前の言うゴミ掃除をさせて貰ったよ。私も自分の手をお前ら蛇の血に染めるのは気持ち悪いのでな?都合よく使わせて貰った」」
もうこの戦場には蛇神兵の残党は一掃され、輝皇覇蛇、蛟魔王に玉龍しか残っていなかった。
「雑魚が消えようが痛くも痒くもない」
「それはそれは、ならこれもプレゼントしよう」
すると新たに空間が歪み、蛇神の光の矢が今度は輝皇覇蛇に向かって降り注ぐ。
「ふん!」
輝皇覇蛇は全身に覇気を覆い降り注ぐ矢を打ち消した。
「舐めた真似を!」
「蛇神と龍神のハーフだってな?ん?人間でもあったのか?中途半端だな」
その言葉に輝皇覇蛇は蛇龍の剣を抜くと蛟魔王に向ける。
「先ずはその口を斬り裂いてやる!」
輝皇覇蛇の斬撃を蛟魔王は蛟の盾で全て受け流し鞭を振り回しながら対抗する。
互いに退かない!
「す、凄い」
玉龍は二人の戦いに巻き沿いにならないようにする事で精一杯だった。
「やはりその程度か?進化する前の俺となら良かったが、今の俺は究極の力を手に入れた!お前が中途半端だと抜かした力こそ、真の王の力だ!」
輝皇覇蛇の龍と蛇の交わった攻撃な気が蛟魔王に押し寄せる。
流石に最強の蛟の盾でも持ち手の蛟魔王の体力が持たなかった。
「蛟魔王さまぁー!」
玉龍の心配する叫びに、
「案ずるな!見せてやろう!これが私の力よ!」
すると龍気が高まり覆っていく。
「龍神変化唯我独尊・蛟!」
その身に蛟の鎧を纏った蛟魔王から発する力は爆発的に膨れ上がり、更に!
「逆鱗」
龍神族の奥義である逆鱗で更に桁が上がる!
「蛟魔王様の龍神変化に逆鱗まで?ほ、本気だ!蛟魔王様は本気で戦っていらっしゃる!」
蛟魔王の本気を見た者は少ない。
かつて青龍王との一騎打ちの対戦試合でも本気を出さずに引き分け、その実力の底を見た者はいない。
魔王時代でも義兄弟達ですら、蛟魔王の真の実力だけは未知数だと思われていたから。
高術、格闘、戦術家、どれを取っても一級。
本気を出す事も人生に数少ない。
そして、必殺技を出す事も無かった。
「不死のお前を倒すのに時間をかけてはいられないからな?見せてやろう、私の奥義をな!」
「馬鹿目!」
輝皇覇蛇もまた逆鱗を発動し力が膨れ上がり応戦する。
すると蛟魔王の背後に龍が出現する。
それは二体の蛟!
両手を揺らすと蛟は強烈な覇気を発して咆哮する。
「金蛟剪!」
※キンコウセン
二体の蛟は輝皇覇蛇に向かって行く!
「その技はもう見たぞ」
それは青龍王の奥義の事。
二体の天龍と地龍を交差させた衝撃で相手を倒す。
しかも青龍王は更に進化させ右龍と左龍まで出現させ、四体の龍で襲わせ攻撃したのだ。
「二体で俺を倒すと言うのか?力不足だ!」
余裕を見せる輝皇覇蛇は以前よりパワーアップしている。
既に見切った技で倒されるはずなかった。
「解放・蛇竜金鞭!」
それは手にした鞭。
鞭は生きた龍へと代わり、同じく蛟の龍として輝皇覇蛇に向かって左右から襲い掛かる。
「青龍王の猿真似か?その技はすでに見切っておる!」
四体の蛟龍の同時攻撃。
まるで青龍王の最終奥義の模倣。
「の、はずなかろう!」
すると最後に蛟魔王自身が一直線に突進する。
「五蛟舞!」
※ゴコウマイ
四方攻撃の蛟龍を受け止める事で防御が手薄になった敵に向かっての蛟魔王の全身全霊の力を込めた直接攻撃。これが奥義・五蛟舞だった。
「ウォおおおおお!」
その拳は凝縮した龍気の塊。
そこに蛟魔王の腕力が加われば破壊力は桁違い。
接近する蛟魔王に対し輝皇覇蛇は笑みを見せていた。
「この俺を倒す事は勿論、触れる事も出来んぞ?俺の王としての力を見せてやろう」
輝皇覇蛇の膨れ上がる力が四方から食らいつく蛟龍を寄せ付けず押し返していく。
そこに蛟魔王が拳を振り上げ突っ込む。
「自滅するが良い!女ぁ!」
蛟魔王の拳が輝皇覇蛇の防御壁に直撃する。
「舐めんじゃないよ!」
蛟魔王の拳は輝皇覇蛇の防御壁を消し飛ばしたのだ。
「くっ、馬鹿な!」
輝皇覇蛇は予想を上回った蛟魔王の破壊力に驚きはしたが、蛇龍の剣に覇気を籠めて抜刀し受け止める。
互いの力が衝突した時、軋んだのだ?
「!!」
その破壊力は最硬!
その威力は極限!
受け止めた輝皇覇蛇の剣が木っ端微塵に消し飛ぶ。
「そんななまくらで私の拳を止められるなんて思ったのかい?もう少し見る目を養っておいた方が良かったね?けど、手遅れだ!井の中の蛙よ!」
蛟魔王の拳は輝皇覇蛇の胸に直撃した。
砕け散る鎧。
鈍い音と共に胸が貫かれ骨と肉が飛び散った。
「ぐほぉ!」
輝皇覇蛇はそんな状態でも蛟魔王の頭を掴もうと力を入れた時、蛟魔王は貫いた拳のまま輝皇覇蛇を地面に向けて叩きつけたのだ!
「良いざまだ、地べたに這う偽物の王!」
その力は圧倒的だった。
これが蛟魔王の実力!
「お、女ぁあああ!」
地べたで怒り叫ぶ輝皇覇蛇を見下ろす蛟魔王。
「そう言えばお前は不死体だったね?その秘密もこの地へ来る時に、弟の白龍王の戦いがその命と引き換えに教えてくれたよ」
すると蛟魔王は辺り一帯に新たな空間を展開する。
「お、お前は何を?」
その直後、空間の歪みから何かが落下した?
「あれは!?」
玉龍はその塊を見て驚愕する。
その塊は輝皇覇蛇とそっくりの肉の塊、器だったからだ。
「これは、どう言う事なのですか?」
玉龍の問いに蛟魔王が答える。
「これが奴の不死のカラクリさ」
輝皇覇蛇が得意とするのは空間転移術。
その能力で別の空間に貯蔵しているであろう蛇の矢を出現させて攻撃を仕掛けていた。
しかし貯蔵しているのは武器だけではないと言う。
それは新たな肉体と言う器。
つまり戦いの中で消耗し崩壊した器を脱ぎ捨てて、空間転移より呼び寄せた新たな器に魂を入れ代える。肉片こそ残っていて魂さえ消えていなければ入れ換えは用意。
それが輝皇覇蛇の不死のカラクリ。
「だから入れ代わる前に消す!」
蛟魔王は転移されて来た新たな器に龍気を放つと、崩壊するかのように消滅した。
「王とか口にする割りには臆病かつ保守的な不死だな?しかし種さえ分かればもうお前には再生はさせないよ!」
「お、おのれ!おのれ!おのれぇええ!」
蛟魔王に踏まれて抵抗出来ない輝皇覇蛇は悔しがりながらも暴れるが動けやしなかった。
新たな肉体も手に入らなければもう復活出来ない。
万事休すだった。
「もう諦めるのだな?」
「ぁああ」
絶望に落ちた輝皇覇蛇は初めて自分の状況が死を間近に迫っていると実感し恐怖したのである。
し、死にたくない
こんな場所で終わりたくない
それは本能が発する生への願望。
生への執着。
その強き思いが呼び起こしてはいけない者をこの地へと引き寄せたのだ。
「んな!?」
蛟魔王は全身に電撃が直撃し硬直する感覚に陥る。
う、動けない?
それでも蛟魔王はその元凶が上空から発する障気からだと気付き見上げた。
それは輝皇覇蛇とは全く別者の、しかも比べ物にならない脅威が迫っている事に驚愕した。
「蛟魔王様、アレって??」
「間違いない。まさか私の本能が逃げるように告げているよ」
二人が見上げる先の空中で亀裂が走る。
そして綻びた場所から巨大な腕が覗き見えたのだ。
しかしそれは?
「アレはまさか!!」
すると空中の次元が割れて中から巨大な影が落下して来たのだ。
けたましい音を立てて大地に落下し轟音と砂煙が立ち込めて広がっていく。
「蛟魔王様?」
その隣にいた玉龍が蛟魔王の変化に気付く。
その目には涙が溢れ落ちたのだ。
同時に激しい怒りが込み上げている。
「あ、あぁぁ」
玉龍もまたその理由を理解した。
その落下して来た巨大な物体とは龍!
龍神界が誇る英雄、応龍だったのだ。
しかもその上には剣を突き立てた人影がいる。
その者から発する桁違いの覇気は、合わずとも未だ見た事も無かった者すら、噂に聞く存在。
「覇王!」
覇王と応龍は別の次元に転移して二人だけの一騎打ちを行っていた。
しかし既に決着がついていたのだ。
「ふはははは!満悦だ。実に良き戦だったぞ!応龍よ?見事な死に様だったぞ!」
覇王は久しく味わう事のなかった生死の駆け引きに満足していた。
「この私が恐怖に身震いするなんてな。しかし怒りが恐怖を凌駕したわ!」
蛟魔王は飛び掛かると死した応龍の頭上の覇王に向かって鞭を振るう。
「この覇王である俺に刃を向ける者がまだ残っていようとはな?龍の一族とは実に勇猛」
蛟魔王の鞭は覇王を覆う蛇気の壁の前に消滅する。
それでも龍気を籠めた拳で飛び込んでいた。
「逆鱗・二枚、いや!三枚だぁー!」
急激な力の解放に覇王は感心する。
「面白い。だが、今喰らうにはまだ満足出来ぬ」
すると覇王の覇気が攻撃的な刃となって蛟魔王を押し返し、弾き飛ばしたのである。
すると覇王は虫の息であった輝皇覇蛇に気付く。
「ほぉ?輝皇覇蛇を倒すほどか?なら、もう少し力を養い俺の前に現れるのだ。そうだな」
覇王は懐から小壺を取ると、既に命が消えかけていた輝皇覇蛇に投げつけると割れて中の液体が染み込むように吸収されていく。
「うごぉおおおお!ち、力が漲るぞぉ!」
死にかけていたはずの輝皇覇蛇の身体は自らの治癒能力で完全再生し更に力を増して蘇ったのだ。
「奴を倒せれば再び俺の前に現れよ?さすれば喜んで相手しよう」
覇王は上空へと浮かび上がると、その場から立ち去ったのだ。
「ま、待てぇー!」
蛟魔王の叫びは無情にも消えた。
しかも目の前には蘇った輝皇覇蛇が立ち塞がる。
「お前の相手は俺だぁーー!!」
その狂気は冷静さはなかった。
輝皇覇蛇はもう目の前の蛟魔王を殺すために蘇った化け物と成り果てていた。
「そこを退けぇー!」
蛟魔王の叫びに輝皇覇蛇はその拳を振るった。
「!!」
その強烈な一撃は蛟魔王の全身に衝撃を与えて吹き飛ばす。
まるで桁違いの力であった。
「女ぁ!お前を、お前を殺してやるぞぉおお!」
輝皇覇蛇の口から放たれた破壊波が蛟魔王を直撃する。
咄嗟に蛟の盾で受け止めるも、
「!!」
瞬時に間合いに入った輝皇覇蛇の追撃が至近距離からの破壊波により蛟の盾が蛟魔王の左腕から外れて転がってしまったのだ。
「こ、この死に損ないが!」
蛟魔王もまた頭に血が上っていた。
だからこそ輝皇覇蛇の繰り出す攻撃に対応出来ずに目の前に迫った攻撃を受けてしまった。
振り下ろした剣が蛟魔王の右腕を肩から斬り裂いた。
絶叫とともに血が噴き出し、輝皇覇蛇はニヤリと笑うと「終わりだ」その言葉はトドメの一撃。
蛟の盾もなく、利き腕の右腕を失い、無防備の蛟魔王は更に放たれる破壊波の直撃を受けてしまう。
この急展開の惨劇。
場所は変わること、その光景を水晶を通した映像で見ていた法子は膝が崩れるようにその場に倒れ込む。
「これが龍の国で起きた一部始終だよ」
法子の目の前には骸骨の顔をして黒装束の魔導師の姿をした蛇神がいた。
魔導覇蛇である。
「覇王を倒す事は僕にとっても、君にとっても共通の目的だろ?だったら手を組むのが良いじゃん?そうすれば僕と君で悪の親玉倒して世界を守る主人公になれるんだって?悪い話じゃないだろ?」
魔導覇蛇は法子を勧誘していたのだ。
そして本当に龍神界は滅びたのだろうか?
次回予告
法子は龍神界で起きた惨劇を知った。
その法子を勧誘する魔導覇蛇。
法子の選択は?




