麒麟の覚醒!?白龍王の最期!
玉龍が守りたいと願う意思が奇跡を起こした。
その者は突如現れた戦士!
輝皇覇蛇に胸を貫かれるはずの白龍王を寸前で救い、
しかも不可能なはずの空間転移の最中、その道を時を超えて逆行し、再び戦場へと姿を現したのだ。
知る者なら目を疑う。
あの臆病で何も取り柄がなかった者が、気高い戦士として変わり果ててそこにいたのだから。
「玉龍、なのか?」
助けられた白龍王は玉龍の背中を見て驚きを隠せなかった。
「どうして戻って来たんだ!戻って来たら無駄死にじゃないか!」
白龍王の叫びに玉龍は答える。
「僕はもう逃げたくありません!もし逃げたら、二度と僕は前に歩き出せない。僕はもう昔の僕にはなりたくないんです!」
その言葉には意思があった。
いつもビクつき、後ろを歩き自分の思いなんて人前では見せなかった玉龍が。
「本当に変わったんだな」
それは法子一行に玉龍を預けた事。
その旅が、この短い間に玉龍を変えたのだと。
確かに箱入り状態だった玉龍には幾ら訓練をさせようが変わりなかった。
けれど旅の経験が玉龍を戦士に変えていた。
法子、孫悟空、阿修羅に八戒、沙悟浄。
決して諦めずに意思を貫き不可能を可能にして来た彼らとの旅の経験が、
もしかしたら?自分にも?自分も、そうなりたい!
と刺激を与えたのは間違いなかった。
「何事かと思えば龍神の童がしゃしゃり出ただけか?丁度良い。俺は龍の民は女子供関係なく皆殺しにするつもりだったからな」
輝皇覇蛇は玉龍に向けて閃光の蛇気を放ったのだ。
この一撃で終わった。
かに思えた!
しかし輝皇覇蛇の蛇気の矢は地面に突き刺さると、玉龍の姿が消えて上空へと移動していた。
「小賢しい!だが、上空でもう逃げ場はないではないか?所詮は童!」
上空に飛び上がった玉龍に向けて新たな蛇気の矢を放つ。
「!?」
しかし落下して来る玉龍は空を蹴り、高速移動しながら蛇気の矢を躱していく。
「馬鹿な!何だ?あのガキは!?」
それには白龍王も驚く。
玉龍の身に何が起きたのか?
その身から発する龍気は膨れ上がりながらその動きはより速く、
その身を光の矢の如く輝皇覇蛇に向かって斬り掛かる!
「いつまでも調子に乗るな!消えろぉー!」
輝皇覇蛇の振り払った剣と玉龍の抜刀した剣が衝突する。
「うわぁあああ!」
玉龍は弾き飛ばされ地面に転がる。
「軽いな?幾ら素早くとも、その程度のか弱き攻撃力では造作も無い」
しかし玉龍は剣を地面に突き立てながら立ち上がる。
しかもその目はまだ闘志が消えてなかった。
「僕は教わったんだ。諦めなければ希望は消えないって!法子さんが言った!孫悟空さん、阿修羅さん、八戒さん、沙悟浄さんが僕にそう教えてくれたんだぁー!」
その直後、玉龍の身体が光り輝く?
「四霊変化唯我独尊・麒麟!」
それは無意識に唱えた真言。
気付くと、その身には麒麟と呼ばれる聖獣の鎧が纏われていた。
麒麟
孫悟空の聖獣である四聖獣よりも格上の聖獣。
龍神界の英雄である応龍。
牛角魔王の聖獣である霊亀。
紅孩児の鳳凰。
そして麒麟。
その四体の聖獣の事を四霊獣と呼ぶ。
更に麒麟はその中でも特殊な役割を持っていた。
聖獣の神である黄龍の代わりに聖獣を統べる事を代理任された種なのである。
その麒麟の鎧を纏った玉龍の姿は神々しく猛々しい姿でその場に立っていた。
その目撃者である白龍王は確信する。
かつて隕石と共に現れた玉子の中より産まれた双生児。
それが黄龍王と玉龍。
黄龍王の輝きに双生児であった玉龍は産まれながらに全ての力を奪われてしまったのではないかと危惧されていたが、それは違った。
覚醒が遅れていただけ。
それが何かのキッカケで目覚めたのだ。
龍神界の壊滅?
龍王達の戦死?
白龍王はその全てを否定し、その覚醒の原因が運命の出逢いだと確信した。
「僕はお前を倒して、また皆さん達の所に戻らないといけない!」
玉龍は閃光の動きで斬りかかる。
「いつまでも調子に乗るなぁー!」
邂逅もまた背後に現れた蛇気の矢が無数に出現して向かって来る玉龍に放つ。
「うぉおおおお!」
向かって来る光の矢を軌道を変えながら避けて輝皇覇蛇に向かって突っ込む。
「だが、先程同様お前のような童の軽い攻撃など通用しないと知れ!」
輝皇覇蛇は蛇気を剣に集中させると玉龍を一刀両断にせんと振り下ろした。
「確かに僕の攻撃は軽いけど!」
瞬間、輝皇覇蛇に接近する玉龍が間合いから消える?
「何ぃ??」
直後、懐に飛び込む影がいた。
その接近は玉龍に気を引かせていた事で出来たチャンス。
玉龍は自身の攻撃で輝皇覇蛇を倒す事は出来ずとも翻弄し撹乱出来る。
だからこの場で有効な攻撃が出来ると信じた者に託したのだ。
「は、白龍王!」
白龍王は玉龍の目配せの策に気付き、このチャンスを狙っていたのだ。
そして、自身の持つ最高の攻撃を以って輝皇覇蛇にぶつけたのだ。
「舞い散れ逆鱗」
逆鱗の力を両掌に籠めて、風気を凝縮する。
「神風百龍乱舞!」
それは凝縮された風を纏う龍が白龍王から噴き出すように放たれると次々と輝皇覇蛇に襲いかかる。
「くっ、か、身体がう、動かぬ??」
風気が全身に絡み付きながら輝皇覇蛇の身体を締め付け無防備状態にしていた。そこに次々と風龍の衝撃がダメージを与えていくと、その再生力が間に合わずに徐々に皮膚が綻び始める。
「う、ぐぅうわああああ!」
しかし輝皇覇蛇の身体は発光しながら脱皮をしようと新たな身体を再構築しようとする。
「二度と甦らせん!逆鱗三枚!」
逆鱗の過剰な解放に両腕の骨が軋む。
その姿を見て止められない事は玉龍も心得ていた。
そして百体の風龍の波が輝皇覇蛇の抵抗空しく再生をさせずに肉体を崩壊させたのだ。
「皆の仇を、取らせて貰ったぞ」
白龍王もまた限界の死力を尽くして膝をつく。
その腕は完全に砕け、もう上げる事も出来なかった。
しかし腕を失ってでも倒すべき敵だった。
そこに玉龍が駆け寄る。
「流石ですー!白龍王様!」
その目は憧れの龍王に対して輝かせていた。
「玉龍、お前の成長を義兄弟達にも見せてやりたかった。輝皇覇蛇を倒せたのは、お前のお陰だよ?玉龍」
「そ、そんな!めっそうもありません!」
だが、その時!
突然、二人は鳥肌が立つ!
何故なら、二人の目の前で信じられない事が起きようとしていたからだ。
倒したはずの輝皇覇蛇の身体が痙攣するかのように動き出して、崩壊寸前の身体が起き上がったからだ。
「馬鹿な!?まだ起き上がれると言うのか?奴はどこまで不死身なのだ!」
すると輝皇覇蛇の声が二人に聞こえてくる。
「正直、俺自身も終わりかと思った。だが、極限状態の中で俺自身知らなかった真の力が呼び起こされたようだ!お前達はもう助からない。この力こそ俺のみが許された力なのだから!」
身体から龍気と蛇気が融合し、形となって新たな鎧を構成して身に纏う。すると血管が膨れ上がり血が全身を廻りながら活発になる。鼓動が激しく鳴り上がると、輝皇覇蛇は更に強大な力をもって二人の前に立ちはだかったのである。
「これこそ俺が待ち望んでいた龍蛇の鎧!これに龍神族が封じている黄龍の剣を手に入れさえすれば、俺は覇王すら凌駕するだろう!あはははは!」
その存在感は大地を揺らし始め、崩壊寸前だった龍神城が耐えきれずに崩れ始める。
「さて、先ずはこの力の試すには都合良い」
輝皇覇蛇は二人に視線を向けると、激しい閃光が台地から無数に出現し突き上げるように二人に迫る。
「!!」
逃げる事も避ける事も間に合わなかった。
「風防外圏擁止!」
※フウボウガイケンボウシ
咄嗟に飛び出していた白龍王が玉龍を守るように気流の防御壁を張ったのだ。
閃光の刃は気流の壁を貫きながらも、
「逆鱗!」
もう腕は動かなかった。
砕けた骨が肉や皮を貫く。
その痛みに耐えながらも、死力を尽くす。
「白龍王様!」
その姿に玉龍が叫ぶ。
白龍王は背中越しに言葉をかける。
「もしかしたら私はこの日のために。いや?青龍王も、赤龍王も、黒龍王も、玉龍を育てるために生きる使命だったのかもしれないな。ならば私は役目を貫く!否、これは私の意思!」
直後、輝皇覇蛇の攻撃と白龍王の防壁を中心に炸裂するように一帯が爆発した。
そこには防御壁に守られて残された玉龍が残されていた。そして風の壁が消えたと同時に、玉龍は急ぎ足で駆け寄る。
その先には全身が衝撃によって致命傷を受け、その場に身動きせずに立ち往生している白龍王。
「うわぁあああ!」
玉龍は治癒の気を送るが、もうその傷は治らない事は分かった。
そして急激に魂の力が消えていく白龍王に抱きつき涙する。
「玉龍、無事で良かった。これで私は本望だ。そして願わくば、生きてくれ!生きて、私達が守って来た龍神族、いや、この世界を守って欲し・・ぃ」
そこで魂が消えて崩れるように白龍王はその場に倒れて玉龍の胸で逝ったのだった。
残された玉龍は黙って立ち上がる。
輝皇覇蛇は笑みを見せて歓喜する。
「白龍王が死んだようだな?ふふふ。これで俺の望みが叶ったぞ!」
その意味は直ぐに分かった。
残されていた宝具の結界が消えていたのだ。
そして輝皇覇蛇の視線の先には白龍王が死んだ事で消えた事で消えた結界から、神々しくも強烈な力を発する剣が突き刺さっていた。
輝皇覇蛇は剣に向かって一歩、足を向けたその時、目の前に玉龍が立ち塞がる。
「ゆ、許さない!絶対に許さないぞぉー!」
「何が許さないと言うのだ?この今の俺にはお前の虫ケラのような力では俺の前進を止める事は勿論、触れる事も出来ないだろう。それだけの力の差があると気付け!」
輝皇覇蛇がその足をまた一歩進ませた時、
「!!」
その荒ぶる玉龍の覇気が爆発する。
再び、玉龍が覚醒する!
次回予告
輝皇覇蛇に対して更なる覚醒の玉龍が挑む!
しかし不死の輝皇覇蛇をどうやれば倒せるのか?




