白龍王、玉龍、龍神界の脱出!
玉龍は白龍王から語られた龍神界と蛇神族の戦いの結末を聞く。
そして二人は?
玉龍に事の全てを話した白龍王。
龍神界は滅びた。
けれど民は残ったのだと。
この龍神界には今、白龍王と玉龍しか龍の民は残ってはいなかった。
そんな時、残された龍神界が揺れ始めたのだ。
その現況は赤龍王が命がけで封じ込めたはずの輝皇覇蛇であった。
その姿は全身火傷の怒りの形相だった。
「この気は?まさか生きていたと言うのか?」
白龍王は身震いする。
戦士として戦うか?それとも?
白龍王は立ち上がると玉龍に命じる。
「今から私と君は龍神界を捨てて新境地へ向かう」
「!!」
それは逃げる事を意味していた。
「私は奴とは戦えない。私の血が奴の目的。私が龍神界の鍵なのだから」
白龍王は幼き日の事を思い出す。
かつて病弱で力も並の龍族より劣っていた事。
それでも幼少の白龍は周りからチヤホヤされていた。
何故なら父親は龍神界の英雄であり統べる応龍。
それに一番上の長女は若くして四海龍王となった。
そして二番目の姉もまた才児で、次期四海龍王と誰もが認める乙姫であったから。
だからこそ無力な白龍も特別扱いされていた。
その事が真面目な白龍は自責の念で苦しみ、人目に付かない場所で隠れて特訓していたのだ。
そんな姿を見て声をかける者がいた。
「女みたいな細腕だな?無理だ!無理!そんな修行では怪我するだけだぜ?」
その者は四海龍王の一人、炎龍王の一人息子であった赤龍であった。
自分より歳上で、名も龍神界では噂になる程の実力のある少年だった。
「何か僕にようですか?」
ムッとしながら赤龍に答える白龍。
「俺はお前のように努力する奴は嫌いじゃない!だから忠告してやる。お前にあった訓練をしろ!」
そう言うと赤龍は白龍の前から消えたのだ。
「僕にあった訓練?」
白龍は赤龍の言葉が頭から離れなかった。
ある晩、宴会に呼ばれた白龍は二人の姉と共に参加すると、そこで舞を初めて見た。
その動きは華麗で優雅、まるで流れるような身のこなしで舞っていた。
次に姉のサクヤ龍王が剣を手に剣舞を披露したのである。
「剣舞と舞か・・・」
白龍は防御力が乏しく、決定的な攻撃もなかった。
なら?
そこで白龍は一番上の姉に習い舞を始めた。
そんな姿を乙姫は意味も分からずに見ていた。
何せ乙姫は身体強化だけでなく数千の高度な術にも長けていて、まだ若くして龍神城の軍門書を全て読み切った天才だったから。
それでも才能のない白龍は自分のイメージする力を手に入れるために努力を惜しまなかった。
その成果は直ぐに現れる。
龍神兵の訓練中、立ち合いの中で相手の攻撃を全て躱す。
その動きは相手の攻撃を触れさせなかった。
しかし攻撃を仕掛けた時に、
「!!」
攻撃は効かずに逆に相手の攻撃が命中して意識を失ってしまったのである。
目覚めた時、白龍は自らの手を見て考える。
「この手に刃をか」
そして姉の剣舞を思い出す。
「僕の僕だけの力を手に入れる!」
白龍は全ての気を一点に集中させる修行を試みる。
全身の防御力を捨てて手刀に籠める。
やがて大木を手刀で切断出来るようになる。
舞のような動きで躱し、一点集中させた手刀が相手を裂く!
その戦闘術は白龍の実力を上げて結果を出していく。
訓練生の試合では負け無し、最下級の訓練士から最上級にまで駆け上がる。
そこでは五行の術を学ぶ。
白龍は五行の術の中で風気を得意とした。
風気を今の舞と手刀を使った戦闘スタイルに混ぜ込み、独特の攻撃と防御を特化させた。
気付けば天才少年と呼ばれていた。
皆は流石は応龍の息子と讃える中で、白龍は再び出会った赤龍の言葉が胸を射抜く。
「努力したな?」
その言葉に救われた気がした。
やがて赤龍とは義兄弟のように仲良くなる。
その後か?同い年の黒龍と知り合う。
四海龍王の父親を持ちながら禁忌を犯した反逆罪の子であった黒龍に対して、蟠りなく接する。
後の龍王の出会い。
そんなある日、白龍達は城内探索を決行する。
城内にはまだ入った事のない場所が数多くあり、冒険のようだった。
まだ彼らは子供だった。
その時だ。
結界の間に入ってしまったのは。
三人は目の当たりにする結界にヤバいと思い逃げ出そうとした時、足を躓かせた白龍は膝から血を垂らしてしまう。その血が結界を揺るがせたのだ。
後に応龍にこっぴどく叱られた。
白龍もそこで父親である応龍に聞かされた。
応龍の子供の血が龍神族の秘宝である三種の宝具の封印を解く鍵である事を。
盾をサクヤ姫、勾玉は乙姫、剣を白龍。
この宝具こそ龍神族が天界に恐れられる本当の理由。
それだけの力を持ち合わせていると。
輝皇覇蛇の狙いは三種の宝具。
狙われるのは自分。
だから戦士の誇りよりも今は宝具を守る事を優先しなければならなかったのである。
「それに」
白龍王は玉龍を横目で見る。
白龍王は玉龍を連れて外に出た。
向かうは、転送の扉だった。
まだ蔓延る蛇神の兵に見付からずに転送場所にまで辿り着ければ何とかなる。
二人は気配を消しながら移動を続ける。
しかし二人の前には転送場所に群がる蛇神の兵が待ち伏せしていた。
「まさか転送の間を嗅ぎつけていたとは」
幾重にも厳重な結界を張っていた。
それでも龍の民の臭いを嗅いで脱出ゲートには蛇神達が逃げた龍の民を追うべく転送装置を使おうとしていたが、空間転移の術かアイテムが無ければ使えない装置だったのだ。
その状況に白龍王は戦う事を決意する。
「私が戦っている間に玉龍、君は脱出ゲートの門を通るのだ!良いね?」
「白龍王様!それはなりません!白龍王様は生きなければなりません。ここは僕が囮になって蛇神達を引き寄せます!そのうちに!」
「!!」
その言葉に白龍王は驚く。
まさか臆病な玉龍の口からそんな言葉が出るなんて思ってもみなかったから。
「やはりあの者達との旅は影響力があったのだな」
しかし玉龍を守れずに自分のみ助かるような事は白龍王には出来なかった。
それに並の蛇神兵なら白龍王の力があればそう時間はかからないと自負していたから。
しかし状況が変わる!
突如強い力が上空から降りて来て、その場にいる蛇神兵諸共消し飛ばしたのだ。
その正体は輝皇覇蛇であった。
「何処だ!白龍王!逃げても無駄だぞ?お前の身体には俺の血の臭いが匂っているからな」
「なんだと!?」
まさか気配を消していても臭いで突き止めて来るとは思ってもみなかった。
「それでは例えこの場を逃げおおせても、いずれ追って来るわけか。腹は決まった!」
「白龍王様?」
白龍王は戦う事を決意する。
「玉龍、私が戦っている間に逃げよ!これは命令だ!」
「そんな」
「その代わり任務を与えよう。玉龍、お前が信じる強き者達を救援に向かわせてくれまいか?」
それは法子達の事を言っていた。
しかしそれは玉龍を逃がすための答弁なのだと玉龍も理解していて、自分が足手まといなのだと気付く。そして仕方なく頷く。
すると白龍王は玉龍の頭に手を乗せて擦った。
「お前はきっと、強くなる。何せお前は」
その直後、目の前に輝皇覇蛇が飛び出して来たのだ。
「見つけたぞぉー!」
直ぐ様、白龍王は玉龍の手を引っ張り転送装置の方へと投げ飛ばすと、ゲートが開いて光が玉龍を包み込みゲートの中へと消える。
「逃さんぞ!虫けら!」
しかし先に白龍王は転送装置に龍気を放って入口を破壊したのだ。これでもう邪魔は出来なかった。
「何処までも邪魔立てして!殺す!」
「この命、無駄にはせん!」
白龍王は玉龍を庇うために戦う。
が、転送される玉龍の目に最後に写ったのは、輝皇覇蛇の剣が白龍王を貫いた場面だった。
「白龍王さまぁーーー!!」
転移されていく玉龍には何も出来ずに消えていく。
次回予告
玉龍を逃がすために残り輝皇覇蛇と戦う白龍王
玉龍は空間転移されながら思う事は?




